SESACのBeverly Kenneyのナゾは、いつまで経っても解決できない | 続・公爵備忘録

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ジャズ・オリジナル盤の音質追及とエリントンの研究。

SESACのBeverly Kenneyは、コレクター時代に最も欲しかったレコードだったけど、一部しか入手できなかった。65才になったら完全に足を洗うつもりなのに、いまだに全貌が判らなくて悶々としている。

 

もしオリジナルをお持ちの方がいらっしゃったら、ぜひ教えて頂きたいというお話。

何が判からないのか、まずそこから話を始めさせてください。



筆者はSESACのレコードを集めていた時期があって、片っ端から買い集めていた。そうしていると、『他にこんなのがあるよ』とメールを送ってくるセラーもいて、次々に珍しいレコードが入手出来た。

その中の1枚がEddie Safranskiのレコードで、Beverly Kenneyが歌っている曲が2曲入っていた。マジか!と思った。



ジャケットにはVol.4と書かれていて、シリーズ物のようだから、少なくともあと3枚はあるはず。Vol.5以降があるかもしれないと思った。

 

がぜん興味が湧いてきて、それからずっとSESACのEddie Safranskiをさがしまくった。

 

 

 

5年ほど経って、Vol.3が見つかった。


 

このLPにもBeverly Kenneyの歌が2曲入っている。

 


ずっと探していると、シナトラ・ソサエティがSESACのBevery KenneyをまとめたLP/CDを発売。

これにはビックリ仰天した。



 

全10曲。SesacのBeverly Kenneyは10曲あったのか!

今までに入手したLPには1枚に2曲づつ入っているから、10曲ということは全部で5枚あるのか?

それからというもの、見たことのないVol.1、 Vol.2、Vol.5を探し続けたけど、今日まで見つからない。

同じジャケットデザインだろうか?やっぱり1枚に2曲づづなのか?

お持ちのコレクターさん、教えていただけませんか?


以下はSESACレーベルの説明です。ご存じの方は読み飛ばしてください。

SESACはラジオ放送局のためにレコードを作ったレーベルです。

当時全米にあったラジオ局の総数は知る由もありませんが、恐らく数千はあったはずです。SESACはそれらのラジオ局を顧客として、番組制作の素材として“音”を提供しました。

だから音楽だけでなく、色んな効果音(電車の音、鳥の鳴き声など)をレコードにしました。完パケ(完全パッケージ:番組すべてを作り込んだLP)として、トランスクリプションというレコードも作りました。

そういうレーベルなので、SESACのレコードには際立った特徴があります。

ジャケットが簡素。ラジオ局用なので、ジャケットにお金をかける必要がなく、画一的なデザインです。ただEPは一般家庭向けで、個別デザインのジャケットに入っています。

1曲が短い。Eddie Safranskiのレコードも1曲が短く、それ以外のLPも、だいたい2分、長くて3分。それは番組の素材として短い方が使い勝手が良いからです。Just A Minuteという、1分のシリーズもあります。音楽としては物足りないですけど。

一方、トランスクリプションというのは素材ではなく、番組としてオンエアしますので長いです。スタジオ録音でもMCが入っていたり、何曲も繋がっています。

近年では、音の素材はデジタル化され、LPレコードを素材として使うことがなくなり、SESACのレコードは処分されて、中古市場に出回ることがあります。

ただ、ラジオ局以外は持っていないですし、使われなくなっても倉庫に仕舞い込まれると、市場に出回らないので、数は少ないです。

エリック・ドルフィーが入ったチコ・ハミルトンのLPなんか、コレクターが探し求めるのでお高くなっていますが、人気があるのはごく一部だけ。ほとんどのLPは5~10ドルで入手できます。あくまで音の素材ですからね。鑑賞に耐えるものは少ないです。