TR/ST 『The Destroyer - 2』
YouTubeでBOY HARSHERというダーク・ウェーブのユニットをオススメされ、そこから色々と進んで行ったら出てきた。このアーティストはどうやらバンドやユニットではないようで、ソロのプロジェクトらしい。
この最新作が素晴らしく良い。
ダーク・ウェーブって言葉から連想させるドロドロとした感触はほぼ無く、エレクトロ味も薄い。ひたすら内省的で毛穴が引き締まるような孤独な冷たさ。冬にはもってこいだ。
COLDPLAY+エレクトロか~、上手い表現。ただこう…、しみったれた「ロンリー」ではなく「ソリチュード」に近いと言うか。そのしみったれた感じもいいのだけど(笑)もっと凛としてる感じと言うか。透明過ぎるピアノの旋律とかもう…、静かに胸をえぐられるみたいだった。危ういダークな音が実はしっかりと影で支えていて、それ故に透明なところが純度高く浮かび上がってくる。
なんかこうやって書くと、暗くてダラダラしてるようなイメージになってしまうけど、全然そんなことはなく。あとちょっとでも振れたら叙情的な世界になり過ぎる気もするし、アンビエント的に内側に入り込み過ぎて退屈な作品にもなりかねないのに、そこをポップ・ミュージックとして成立させてる本当にハイレベルな作品だと思う。
こういう音って、ありそうでなかなか無い。大抵は途中で飽きて止めるか、スキップしてしまうし。でもこれは聴き出すと引き込まれて飛ばさずにずっと聴いてしまう。流せなくなると言うかね。そして、短いとすら思ってしまう。飽きっぽい自分にしたらほんとに珍しい。
これな、もう2、3曲入れて10曲程のフル・アルバムにしても良かったのに。でもその食い足りなさのお陰なのか、また聴きたくなってさらにまた聴いてしまう。『The Destroyer - 1』も出てるから、二枚組的な感覚なのかな。こっちはもっと黒っぽいエレクトロ味が強かった。本領はこっちなのかな。まるで黒と白の対のようなアルバム。