デペッシュ・モードは、好きか嫌いかで言えば間違いなく好き。だけど凄く好きかと聞かれれば、そうでもない…て答えになってしまう。


エレクトロニック系が好きなら頻繁に目にして、避けては通れないレジェンドな存在。遡ること20年以上前か、試しに『Construction Time Again』を買ってみた。それはインダストリアルを取り入れ出したと紹介されていたから。だが全然ピンと来ず…。まず打ち込みっぽくないなと。その頃と言えば、ソフト・バレエが大好きでもっとエッジが効いたハードなモノを求めていたから、ナイン・インチ・ネイルズやKMFDMとかのインダストリアルの方に行っていた。80年代的なモノに嫌気がさしていたというのもあるけど。

森岡賢的な世界のニューロマやシンセポップも好き。だけどデペッシュは聴かない、そんな日々。それからだいぶ間が空いて、知人が持っていた『Music For The Masses』を聴く。お、前より好き。だけど、なんか最後まで聴く気になれない。暗いのは別に好きなんだけど、なんて言うかダルくて途中で飽きる…。

その次は『Violator』。おぉ、これが一番いいな。完成度高い。でも、やっぱりダルいなぁ。これでもうちょっとパンキッシュと言うか、分かりやすくテンポが速くて攻撃的な感じがあればいいのになぁと。でも好き。

『Black Cerebration』暗くて重たい。全体的なトーンが似てて、ダルい。せっかく買ったのに全然聴かない。ヴィンス・クラークが居た初期の方は、全然違って軽めのエレポップだと書いてあったので手を出さず。そう言えば、ヤズーも買ったのに全然聴いてない。

そっからは完全に離れた。
『Violator』はたまに聴きたくなったけど。デペッシュ・モードと言えば、嫌いじゃないんだけど、エッジが無くてなんかダルい…、そんなモヤモヤした存在としてインプット。結局お耽美系、みたいな。

相当間が空いて、久しぶりに『Delta Machine』購入。ん?!おおぉ~、この音の感触すごい好き。この生々しい音はなんなんだ!これが噂に違わぬフラッド効果か。まぁ、相変わらずアッパーではなくダウナーだけど(笑)


そんな時、YouTubeから丁寧にもデペッシュをオススメされる。久しぶりに、「パーソナル・ジーザス」と「ネヴァー・レット・ミー・ダウン・アゲイン」が聴きたいとBest  vol.1を試したら、音がメチャクチャいい!薄い膜が1枚取れて視界がクリアになったみたいだ。リマスターされたのかな。そして、曲が、どれも素晴らしくいい!!ベストだから当然か。「エヴリシング・カウンツ」とかこんな良かったっけか?!と。Lillies and Remainsのカバーが素晴らしくて、そっちは聴いてたけど。音が丸みがあって優しくてロマンチックで。それでいて音の粒が立っていて。昔はもっとエッジ効かせろ!って言ってたのにねぇ(笑)自分の方が丸くなったのか。
初期の「ジャスト・キャント・ゲット・イナフ」とか、「シー・ユー」「ニュー・ライフ」とかメチャクチャ良かった。誰だよ、初期はこれと言って個性が無いただのエレポップだ、みたいに書いてたのは。
「エンジョイ・ザ・サイレンス」「ネヴァー・~」「ストレンジラヴ」とか冷たさが増して、目が覚めるみたいな感覚だった。こんなにいい曲だったかな。

そして、全く聴いたことがなかった「ウォーキング・イン・マイ・シューズ」「イッツ・ノー・グッド」とか良かった。さらには「ピープル・アー・ピープル」「マスター・アンド・サーヴァント」とか、メッチャいい。特に「マスター~」とか大好きで。デペッシュ・モードにこの感じをずっと自分は求めていたんだよと。どれに入っているのか早速調べたら、2曲共『Some Great Reward』ていう4枚目のアルバム。





早速YouTubeで聴いたら、いきなり「サムシング・トゥ・ドゥ」でノックアウト。そうなんだよ!こーいうの!こーいうのを俺はずっと待っていたんだ!!(泣)と。この金属的なビート感、暴れて乱れ飛んでる感じ。もう何年越しなんだ。「イフ・ユー・ウォント」とかも凄い好きだし、攻撃的な曲の反面、バラードが素晴らしく美しい。もしかしたら『Violator』よりもこっちの方が好きかも。デペッシュ・モードの中にもほんとに自分にガッツリハマる部分があったんだなぁ~と。なんか、ずっとモヤモヤと探していたパーツ、欠けたパズル、ミッシングピースが見つかったみたいで感慨深いものがあった(笑)
初期でもなく、3人になってからでもなく、『Violator』でもなく、『Construction Time Again』と『Black Cerebration』の間っていうのが盲点だよなぁ。このアルバムのこと、もっと語られてもいいと思うんだけども。これについて語っていたり、紹介されているのを見たことない。デペッシュ・モードって言って、これを薦めてくる人もあんまり居ないような気もするし。そもそもそんなに評価高くないのかな。

初めて聴いたKMFDM(Kill Mother Fuckin' Depeche Modeではないらしい)が、『NIHIL』だったように、たまたまそれが『Some Great Reward』だったら…人生変わってたかも知れないな。同じアーティストでも、どのタイミングでどれを最初に聴くかって、ほんとに重要なのかも。さらに他の作品も聴いてみようってならないのも多々あるし。そもそも手に取らないモノも星の数ほどある訳だしね。どこでどれと出会うかなんて運みたいなもので。いや、たまたまではなく今の自分の感性にハマったものが、やっと今届いたってことなのかもな。なんだかんだ言いながら、興味はあって忘れなかった訳だしね。

なんだかもう、一気に距離が近くなったように急に好きになって、俄然興味が出てきた。お、遅い…!(笑)他のも聴いたらリマスター版がとにかく音が良くて。知ってた曲でもこんなにいい曲だったか??と思うものが多くて。いかにちゃんと聴いてなかったのかっていう。まぁ、今だからこそ良さが分かってきたんだろうけども。今から買い揃えていくのかぁ。え、今からデペッシュ?て笑われそうだけど(笑)ま、嬉しい悲鳴ではある。

何にせよ、YouTubeに感謝です。もしこの装置が無かったら、知らないままに死んでたかもです(笑)