珈琲と、時間と、空間と
私はコーヒー豆の焙煎・販売店で仕事をしています。おじいさんオーナーと私の二人で立ち上げた店です。喫茶はしていません。豆の販売だけです。そんな店も、今年で13年続いています。コーヒーって、嗜好品。珈琲専門店で豆を購入して、自分で淹れて飲む、ということは、ある意味贅沢なことです。そのせいか、お客様はご高齢の方が多いように感じます。私の店はかわいくもないし、お洒落でもありません。飲食店で言うと、『定食屋』的な、どっしり古いタイプです。でも、そんな店だからか、ご高齢の方々は居心地がよさそうです。豆を買いに来ているのか、しゃべりに来ているのか分からないくらい、たくさんお話なさいます。社会のこと、天気のこと、政治のこと、孫のこと、病気のこと、将来のこと、…尽きることがないのです。「その話、前にもなさっていましたよ???(笑)」 オーナーは、人間的にとてもいい人です。いい人すぎて、商売に向いていないくらいいい人です。私は自分で喋るのは苦手だけど、人の話を聴くことが大好きです。そして、おじいちゃんおばあちゃんが好きです。そんな二人の店だから。気取らないでいい店だから。いろんな不安を一人で抱え込んで家に閉じこもったりしないで、店にいらして欲しい。コーヒー豆なんか、ほんの少し買うだけで、いえ、店のコーヒーの香りを嗅ぎにいらっしゃるだけでいい。この店があってよかった、って思ってもらえるような、そんな店でありたいな、と思っています。珈琲、時間、空間の贅沢。そんな店でありたいです。