求めていたのは
小さな展示会を観に行った。以前から好きだった画家、福田利之さん。本の表紙になっている作品 『装画の世界』。私の住んでいる地域ではない。でも、同じ四国だから、なんとか行けるかもしれない。そして、思い切って、先日の仕事の休みの日に、行ってきた。 ずっとこのところ、気持ちが沈むことが重なっていた。電車のそばに行っても、ラジオを聴いても、…何をやっても嫌な思いが頭から離れない。旅に出たかった。高速バスで2時間半。そこから1時間に1本しかない市営バスに乗って、展示会場へ行った。その日の天気予報は『一時強い雨』傘を持って、寒かった時に羽織る服を持って。…いたけれど、快晴で暑い中、歩いた。 私は足がうまく動かない。 階段も一歩一歩上がらなければいけないし、 ほんのちょっと走ることもできない。 そんな足の状態で、この旅は一生懸命だった。ちっちゃなちっちゃな展示会だった。でも、じっくりゆっくり、静かに観ることができた。母におみやげの絵葉書を2枚買って、また てとてと 歩いてバス停へ行き、30分待って、支点のJRの駅へ戻った。日帰りの高速バスの旅。使える時間はとても短い。他のことは何もしなかった。観光地には興味がない。歩いている人、その県のナンバーの車、さびれた商業施設、見たことのない行き先の電車…そういうものを、ただ眺めながら、帰りの高速バスを待った。 日が暮れるのが早くなった。帰りのバスに乗り込んだ頃はまだ明るい夕日だったのに、走っていて気がついたら真っ暗になっていた。ボーッとしたライトの灯りぽつりぽつりと民家の窓ピカーっと遠くを照らす車の光 みんな、今日はどんな一日を過ごしたのだろう何時に起きて、何をして、何を思ったのだろうそんなことを思いながら 窓の外を眺めていました。私はね。今日、ひとりプチ旅を、しました。旅の帰りは、なんだかせつない。楽しかったのか、充実していたのか、分からない。でも、旅に出たかった。私は、何を求めていたのだろう。