私はお婆ちゃん子で、しかも

ありようが似ていると言われていた。

祖母は心身共に丈夫な人で

その点も私はDNAをしっかりと

受け継いでいる。




祖母が風邪を引いて寝込んだのを

見た事がない。

風邪を引いたりするのはたるんでいる

からだ‼︎ 

病気に等ならないと思えばならない、

病は気からだ‼︎

風邪など引かないと思えば

取り込まれる事など無い‼︎と

実に非医学的な持論を持っていた。




その祖母が風邪を引いて

一週間寝込んだ。



滅多に無い事だから祖母の友達が

次々と見舞いに来てくれた。

何か食べたいものは?という

問い掛けに「柿が食べたい!」と

言った。




季節外れの柿を求めて

母があちこちの八百屋さんに行っても

手に入らなかったらしい。

そんな折、お友達の一人が

銀座の千疋屋まで買いに行って

くれた。

それはそれは立派な柿で

一体いくらだったのだろう⁈と

いう素晴らしい柿を

ゲットして来てくれた。






祖母はその柿を実に美味しそうに

食べて何と、その翌々日に他界した。

珍しく風邪を引き一週間、床に付き

次々と友達が見舞いに来てくれ

好物の柿をしっかり食べて

息を引き取った。

自死以外、自分で死を決める事など

神でも無いのに出来る筈もない。

それなのに、

まるでシナリオを準備して

いたかのように風邪を引き

親しい友を引き寄せ大好きな柿を、

季節外れの柿を、

千疋屋の特別高級な柿を、

思い切り食べてから心置きなく

息を引き取った祖母。

凄い!自由自在じゃん‼︎

そんな事が出来るものなの⁈

アッパレ、お婆ちゃん‼︎




通夜の席、焼香に来てくれた方々に

母はその柿を小さく切って

振る舞った。

「わがままを言って買って来て頂いた

柿なんです!」そう言って...




私もお婆ちゃんのような

生き方、死に方を目指したいと思う。

千疋屋の高級な柿を食べたのは

後にも先にもあの通夜だけだ。

今後もおそらく同様だと思う。

だからせめて

今際の際(今わのきわ)には

柿が食べたい!

銀座.千疋屋の高級柿が食べたい!

と言ってみるつもりだ。





〈千疋屋の高級柿を食べて死にたい!
ついでに鉄火巻きと青椒肉絲と
特上の鰻重も...
あと、豆大福とモンブラン、
  あんドーナツも食べたいです‼︎〉





  〈鉄火巻きが食べたい!〉