トレドまでは1時間30分の旅。
周囲は殆どがスペイン人のようです。
知り合い同士らしい人達が絶え間なく
お喋りしています。
車内に流れる音楽は
リリーマルレーン。
哀愁漂う刺さるメロディです。
1939年にララ.アンデルセンが
英語バージョンで広め
世界中で大ヒットした曲として
有名だという事は
日本に戻ってから調べて知りました。
車窓の眺めと余りにもマッチして
雰囲気を盛り上げていたのが
忘れられず、調べてみました。
「それにしても一時はどうなる事やら
と気が気じゃなかった!
日本とスペインの戦争が勃発したら
エライこっちゃ!と思ったよ!
どっちも引かないし...」
とセクレタリーが言い出しました。
折角、リリーマルレーンに
酔っていたのに...
「だってあの若造駅員の対応力の
問題でしょ!」
「若造って!
何なの⁈
若造なんて誰も言わないよ!
他の誰からも聞いた事ない!」
そうなのか、
誰も若造という表現はしないのか。
アンタみたいな若造にトヤカク...
これを聞いたのは幼い頃、
多分、就学前だったと思う。
祖母が交番のお巡りさんと
スッタモンダした時に放った言葉。
前後は全く分からないが
いわゆるタンカを切る台詞だったの
だろうと思う。
家に帰ってから祖母が居ない隙に
母に告げ口した。
「お婆ちゃんねえ、交番の若造に
トヤカク言われたんだよ!」と。
母はえーっ!えーっ!と滅法、驚き
何があったのか、
どういう事なのかと私にしつこく
問いただして来たけれど一切、
知らぬ存ぜぬで通した。
実際、私には何がどうなって
祖母がその時に放ったのかを
知らなかった。
と言うか、全く理解すら
していなかったのだと思う。
ただ、
「アンタみたいな若造にトヤカク」
と言ったフレーズだけがお初に耳に
する言葉だった為に新鮮で、
スッと記憶に残ったのだった。
若造とはお巡りさんの事なのかと
思っていたくらいだったので
本当に何も分かっちゃいなかった。
それから祖母が母に吊し上げられた
ものか否かは知らない。
マズイ事を言ってしまったような
気がして、私はサッサと外に遊びに
行ってしまったから...
〈スタコラサッサ〉



