マチェフ会場の入り口でルイジと
待ち合わせ予定です。
エントランスホールには
世界4大コレクションのポスターが
あちこちに貼られ目を惹いています。
ニューヨーク、ロンドン、ミラノ
パリと流行の最先端を行く
世界4大ファッションショーの開催と
並行して、
マチェフの雑貨見本市も
各国からバイヤーが入国しているので
その数たるや相当なものらしいです。
目の前のポスターはかなりの
ビッグサイズでひときわ鮮やかな
ピンヒールの真っ赤な靴のドアップ。
「スゲえェー!
ロンドンのイかれた女達もこんなの
履いていたよね⁈
蹴つまずいたら絶対に足首やられ
ちゃうよね!
バランス感覚を鍛えて
ボリショイサーカスにでも行く
つもりなのかなぁ〜?」
ロンドンのトサカヘアボーイズには
心を許したのに女の子達には
未だ手厳しいようです。
「イヤー、だってさー、
この高さだよ‼︎
こんなもの履こうとする気が知れない
でしょ!
牛若丸じゃあるまいし...
あー、店長は似合いそうだよね⁈
ロンドン橋を1本歯の高下駄で
牛若丸みたいに渡ったら
赤いピンヒールよりも目立つ‼︎
渡りながらタンカでも切れば
人だかりが出来る!
やってみれば良かったのに‼︎」
「それ、どーゆー発想⁈
何をどうしたらそういうイメージが
生まれるの⁇
頭の中を覗いてみたいものだわ!」
そこへルイジ登場!
遠くから笑顔で手を上げ「ciao!」と
近づいて来ます。
我々も「ciao」と小さく手を上げます。
未だ、チャオ!と言うのに不慣れで
ルイジのように大きな声で言う事は
ためらわれ結局、控えめに...
すると、近づいて来たルイジが
いきなり「ゾウリ!」と言いました。
又、新しい単語を覚えて来た様子。
「ゾウリ?日本の草履の事?」と
足元を指して聞いてみると
「yes!ゾウリ!」と言います。
〈新しく覚えたゾウリという日本語〉
「エーッ!スゲェ!
ルイジ、草履を知ってるの⁈
スゲェ‼︎」
セクレタリーが口を挟むと大変です。
鼻高々なのです。
別に凄い事もありません。
何処かで仕入れて来たと思われる
ルイジお気に入りの単語は他にも
幾つかあって、嬉しそうに突然、
口走るのは毎度の事、
付き合っていたらキリがありません。
そしてキリが無い事に加えて
危険性もはらんでいます。
ロンドンでの事は未だ記憶に新しく
あれ程ムカついた事を忘れた訳じゃ
ないのだし..
そうです!
「ワタシの名前は外人です!」の
たわ言と共にパフォーマンスの対価
欲しさに足元の缶にコインが入ると
思い込んでいたあの黒人と
ルイジが何処か重なって見えて
来るのです。
やはり危険!危険‼︎





