財布を取られた後、

確か、何処かのパーラーに入った。

資生堂だったか森永だったか...




友達と銀座に行くと大抵はそんな

パーラーに入ってパフェか2段重ねの

ホットケーキ、あるいは

プリンアラモードをオーダーし

ドリンクは頼まず1品オーダーのみで

何時間も話し込むのが定番だった。

つまり迷惑なガキンチョ達だったと

思う。







スタバ等が上陸する前

銀座や新宿のパーラーはとても

洒落た店だった。

銀座なら資生堂か森永か不二家。

新宿なら高野フルーツパーラーか

中村屋マンナ。




ほんのたまに六本木交差点にある

洋菓子と喫茶のアマンドにも行った。

「リングシュー食べたくない?」と

友達が言い出すと何人かで行く

店だった。




銀座の千疋屋には、数度入った。

母とデパートに行った帰りに寄った

事があって、贅沢なフルーツサンドを

食べたが、飛び切り美味しかった。

でも食事が出来るほどの価格で

友達と行くような店ではなかった。

ムリムリ、無理!...という感じだった。



そんな数々の楽しめる店の繁栄は

長期間、続いていたのだと思う。

その後、スタバの上陸で

かなりやられたと思われるが...





そもそも銀座には伊東屋に行く事が

第一目的だった。

文具好きの私は時々、銀座の伊東屋で

あれこれ吟味した後、懐ぐあいと

相談しつつ、これだけはgetしたいと

思うものだけを購入していた。




伊東屋は、拘りとクオリティーの

高さでハンズより見応えがあり

私にとって安物では無い、

贅沢なコレクションをget出来る、

とっておきの店だった。



〈伊東屋のシンボルマーク

       赤いゼムクリップ〉



     〈伊東屋.銀座店〉



そんな話をした時、行ってみたい!と

言った同じクラスの男子Oが彼だった。

そのコレクションは集めた後

何に使うのかと野暮な事を言うので

「コレクションとは使う目的がある

訳ではなく持っておきたい物だから

集めるのだ!

コレクションの原点は子供なら

メンコとかガチャガチャとかだし...」

等と説明した。




「だから目的はないが結果的に

審美眼が養われるという副産物は

あるかも知れない」と言った時

Oはその言葉にかなり心を動かされた

ように感じた。




「エッ!審美眼が養われる?」って⁈

「副産物⁈」と聞き返し多分、

これまで、ほとんど聞いた事も無い

言葉を私が言ったので心が動いたの

だと思う。

それで一緒に伊東屋に行きたい!と

言ったのだと思う。




要するに子供なのだ。 

何となく小難しい事を言われ

ほんの少し興味が湧いたのだろう!

同い年の男子は実に面白味の無い

子供だと思っていたので

行きたいなら連れて行ってやるか、

と偉そうに思ったのだった。

そう、私は同級生の男子より

遥かに偉そうだった。




そしてクラスメートにノコノコ

付いて来た結果、

思い掛け無い災難に遭い

そんな計画は一瞬にして頓挫し、

不快感を少しでも紛らわせる為に

パーラーに入ったのだった。




だから何を話す訳でも無く

伊東屋はおろか何処に行く事も無く

ただ黙ってお茶しただけだった。

何をしに銀座まで来たか分からない

虚しい日になった。




Oも私の高尚な(?)趣味に

下手な興味を持たず、

友達とゲーセンにでも行っていたら

良かったものを...




Oというのは彼の苗字で私は殆どの

男子を苗字で呼び捨てにしていた。

ちょっと強気な女の子は

同様に男子を苗字で呼び捨てに

していた。




  〈足繁く通った銀座界隈〉