建物の前にタクシーが停まった時、
ここが母の言うところの「しかるべき
場所」なのかと思った。
タクシーはエントランスに停まり
私達は中に入った。
シスターと言われる黒い布を被った
人達が行き来していたがとても静かで
色の無い世界に驚き
私は不思議な気持ちで見ていた。
⛪️
ここがしかるべき場所、今までの
Mちゃん家(ち)とは違う、
八百屋さんのMちゃん家(ち)とは
全く違うしかるべき場所。
全く想像すら出来なかった場所が、
大人が考えた場所がそこにあった。
暫く待つとシスターなる人に連れ
られてMちゃんが入室して来た。
その時の事は決して忘れないと思う。
Mちゃんがいち早く私を見つけ胸元で
小さく手を振ったので私もそうした。
「元気?」と聞くと「うん!」と
それだけで会話は途切れた。
PTA会長さんが「こんにちは!」
と言い Mちゃんがそれに返答したが
PTA会長さんの事を私が
知らなかったように Mちゃんも
知らない筈。
PTA会長さんにしろその娘にしろ
Mちゃんが会いたい人ではなかった
と思う。
先生が来てくれたら良かったのに、
クラスの誰かが来てくれたら良かった
のに、何故話をした事もない人達が
来たのだろう?
何故⁇
Mちゃんの気持ちを考えての事
だったのだろうか?
それとも考えなかったからなの?
でも、もうどっちでもいい。
私には Mちゃんに聞きたい事が山程
あった。
