Sound & Recording Magazine | when in doubt, castle.

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フリーランス編集者による、日々の備忘録。タイトルはカート・ヴォネガットのパパの言葉から拝借。           曰く「迷った時は、一か八かの勝負に出ろ!」

もう1週間くらい前になるけれど、20年ぶりくらいに
サウンド&レコーディング・マガジン』を買いました。



もちろん、巻頭の「ドリカム中村正人がスタジオを大公開!」を
読みたかった訳ではありません(曲、知らないし)。


20年前は、4トラックのMTRの使い方が知りたくて買ったけれど、
今回読みたかったのは、
「特別企画:ジャンル別コード進行のネタ帳」
という記事。


ロック、ポップス、ソウル、ジャズ、ボサノバという
5つのジャンルごとに監修者が付き、
それぞれ10曲(10パターン)のクリシェ的コード進行が図解されている、
という内容なのだけれど、この企画には、

・知識のトランスレーション(音→文字/耳→目)
・目利きぶり(選曲の妙)
・実用性(購入欲をあおる)
・専門性(高額でもリーズナブルと思わせる)

といった、「雑誌を買わせる」ために必要な要素が
見事に揃っていたため、

1:本屋で見出しが目に入り、
2:「おおっ!」と思って立ち読みし、
3:そのままレジへ向かう……。

という、雑誌購入における何とも健全な思考の流れが、
我ながら(この職業にも関わらず)久々に発動し、
この企画(10ページ)以外の百数十ページには全く興味がなかったけれど、
迷うことなく購入(¥980!)した、という訳です。


3歳からピアノを習っていたので、絶対音感はあるけれど、
なにぶん通っていたのはYAMAHA音楽教室だったので、
「耳コピはスラスラできるが、弾ける和音はトニックコードだけ」
という中途半端な状態で停滞してしまい、
「ジャズを弾きたいなぁ」と思っても、指と頭がそのように動いてくれない
という絶対に超えられない壁があるジレンマを長年感じていたのですが、
昨年、『エスクァイア』の取材で菊地成孔さんの楽理の授業に参加したとき、
その「壁」が、すごい勢いで崩れていくのを体感し(ホントです!)、
ちょっと光が差し込んできていた、という複線は、あったのですが。


せっかくですので、以下に、
どんな曲のコード進行が解説されているのか
リストを作っておきますね。
個人的には、「ロック編」にマイブラのOnly Shallowが入っているほか、
「ソウル編」「ボッサ編」がツボかな。

解説の方が、「Only Shallowは20世紀で最も美しいコード進行」と書いていましたけど、
さすがにそれは言い過ぎなんじゃないかと(笑)。
確かに美しい曲ですけどね。


http://www.youtube.com/watch?v=oiomcuNlVjk

そういえば、上記の菊地さんの授業の時、
オザケンの「ブギーバック」のコード進行そのままで、
ドリカムの何とかっていう曲が歌えるということを解説してましたっけ。


コード進行の著作権って、あるんですかね。
まあ、あるわけないか。
少なくともポップスには。



「特別企画:ジャンル別コード進行のネタ帳」 曲目リスト

ロック編
1.ザ・キンクス「ユーリアリー・ガット・ミー」
2.ボブ・ディラン「ライク・ア・ローリング・ストーン」

3.ザ・フー「マイ・ジェネレーション」
4.ザ・ビートルズ「アイ・アム・ザ・ウォルラス」
5.ジミ・ヘンドリックス「紫の煙」
6.ザ・ドアーズ「ハートに火をつけて」
7.エルヴィス・コステロ「アリスン」
8.ギャング・オブ・フォー「いたんだ物体」
9.U2「アイ・スティル・ハヴント・ファウンド・ホワット・アイム・ルッキング・フォー」
10.マイ・ブラッディ・ヴァレンタイン「Only Shallow」


ポップス編


1.ミッシェル・ポルナレフ「シェリーに口づけ」

2.ザ・ビートルズ「ストロベリーフィールズ・フォーエヴァー」
3.フィフス・ディメンション「ビートでジャンプ」

4.ミシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」

5.アメリカ「名前のない馬」

6.エルトン・ジョン「僕の歌は君の歌」
7.スティーヴィー・ワンダー「バッド・ガール」

8.ディオンヌ・ワーウィック「小さな願い」
9.ドゥー・ビー・ブラザーズ「ホワット・ア・フール・ビリーブス」

10.イーグルス「ならず者」


ソウル編
1.スティーヴィー・ワンダー「愛するデューク」

2.スティーヴィー・ワンダー「サンシャイン」
3.アース・ウィンド&ファイアー「キャント・ハイド・ラヴ」
4.ボビー・コールドウェル「風のシルエット」
5.シェリル・リン「ガット・トゥ・ビー・リアル」
6.マリーナ・ショウ「フィール・ライク・メイキング・ラブ」
7.ジェームス・ブラウン「セックス・マシーン」

8.ダニー・ハサウェイ「ゲットー」

9.ジョージ・ベンソン「ブリージン」
10.ジャコ・パストリアス「ソウル・イントロ~ザ・チキン」

ジャズ編
1.ドクター・ジョン「アイコ・アイコ」

2.デューク・エリントン「A列車で行こう」

3.グレン・ミラー・オーケストラ「ムーン・ライト・セレナーデ」
4.ビル・エヴァンス「枯葉」
5.マイルス・ディヴィス「ソー・ホワット」
6.リー・モーガン「ザ・サイドワインダー」
7.ハービー・ハンコック「カンタロープ・アイランド」

8.ウェザー・リポート「ヤング&ファイン」

9.ロニー・フォスター「Mystic Brew」

10.パット・メセニー「レター・フロム・ホーム」


ボッサ編
1.アントニオ・カルロス・ジョビン「波」
2.アントニオ・カルロス・ジョビン「あなたのせいで」
3.アントニオ・カルロス・ジョビン「コルコバード」
4.アントニオ・カルロス・ジョビン「無意味な風景」

5.カルロス・リラ「あなたと私」

6.デオダード「Baiaozinho」

7.アリー・バロッソ「ブラジルの水墨画」

8.マルコス・バーリ「ソー・ナイス」
9.ルイス・ボンファ「Manha de Carnaval」
10.イスマエル・シウヴァ/ノエール・ローザ/フランシスコ・アルヴェス「Adeus」