沈まぬ太陽 (3) | cotameba
沈まぬ太陽〈3〉御巣鷹山篇 (新潮文庫)/山崎 豊子



壮絶.
感想はこの一言に尽きます.

前巻から10数年後,「航空史上最大にして最悪」の,御巣鷹山墜落事故が起こります.
面白いというとあまりに不謹慎ですが,冒頭の緊迫感は圧巻.ぐいぐい引っ張ってくれます.
僕はこの事故をリアルタイムでは知らないので,まさにこの時の (報道などをを通した) 空気みたいなものを「体験」するかの如く読めました.描写に説得力がすごい.

事故後にやってくる,生存者の探索,救助,遺体収容,遺族による身元確認,事故機回収,事故原因究明・・・.凄惨極まりないです.
あまりに圧倒的で,先を読みたいけど読みたくない,という感覚になります.

この巻では「事故」そのものが主役みたいになっていて,物語の主人公である恩地さんは,若干ほったらかされ気味です.
事故直後からしばらくは,現場近くで遺族の世話係,その後は補償交渉の前面に立つ「遺族係」に引き抜かれ,またしても辛い仕事に当たることとなります.やっと日本に帰ってこれたのに.

補償交渉というのは何とも辛いですね.加害者である会社側はひたすら謝り倒すしかない.被害者である遺族は,たとえお金を貰ったところで身内は帰ってこないという喪失感があり,さらに身内の命を金に換えることに対する罪悪感もある.どっちも進んでやりたくない.けどやらなきゃならない.互いに傷つき,読んでるだけで精神がすり減っていく感じがします.


物語はこの後どうなるのでしょうか.
うやむやになりつつある真の事故原因.
遺族への補償,被害者の慰霊.
安全対策,信頼回復など会社の再建.
克服すべき課題が山積しています.そしてその中で主人公恩地さんはどうするのか.

次巻からは「会長室篇」です.まず会長とは誰なのか.
先が気になります.