日米の長短金利格差とドル円相場(2011年4月末時点) | COTレポートの読み方

日米の長短金利格差とドル円相場(2011年4月末時点)

 外国為替相場に影響を与える要因のひとつとして、2国間の金利格差があります。ここで20114月末時点の日本と米国の間の金利格差を確認しておきましょう。

 下記は日米の長短金利の格差とドル円相場を合わせたチャートです。10年物国債利回りと3カ月物の短期金利で比較しました。なお、ドル円相場は目盛が上下逆になっていることにご注意ください(上方向が円安ドル高、下方向が円高ドル安)。

 直近では日米間の長期金利格差(米国-日本)は2.09%となり、3月末時点と比べる金利格差が12ベーシスポイント縮小しています。基本的にドル高円安圧力がありますが、ドル高圧力が弱くなっています。

一方で、CPCD(いずれも3カ月物)でみた金利格差はマイナス0.05%となり、3月末と比べて4ベーシスポイントマイナス幅が拡大しました。これはドル安円高圧力がやや強まっていることを示唆しています。

名目での長期金利格差からみると、ドル高円安圧力が弱まっている、といえます。


COTレポートの読み方-名目金利格差201104

 外国為替相場を決めているのは、名目金利ではなく実質金利である、という見方があります。

『実質金利=名目金利-インフレ期待』、という式が成立します。ここでは、インフレ期待率を日本の国内企業物価指数(前年同月比)、米国の生産者価格指数(前年同月比)で代替させて試算します。両国の物価指数は20113月分まで発表されており、4月については3月と同じインフレ率であると仮定します。

下記は、日米間の実質金利の格差(長期および短期、米国-日本)とドル円相場を合わせたチャートです。

 日米間の10年物国債利回りでみた実質金利格差はマイナス1.60%です。3月末時点と比べるとマイナス幅が11ベーシスポイント拡大しています。これはドル安円高圧力が強まっていることを示しています。

一方で、CPCD(いずれも3カ月物)でみるとマイナス3.74%で、3月末時点と比べてマイナス幅は3ベーシスポイント拡大しました。これはドル安円高圧力がやや強くなったことを意味します。

すなわち、実質金利格差からみれば、ドル安円高圧力が強まっています。


COTレポートの読み方-実質金利格差201104

 足元の外国為替相場は米ドルの下落基調が続いていますが、実質金利格差からみてもドル安円高圧力が強まっています。

------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------