日本の実質貿易収支(2011年3月):実質貿易黒字は前月比-24.7% | COTレポートの読み方

日本の実質貿易収支(2011年3月):実質貿易黒字は前月比-24.7%

 東日本大震災の影響が出ている3月の経済統計が順次発表されています。いくつかの数値を確認しておきましょう。まず、日本銀行が算出している実質ベースの貿易収支です。

下記は実質輸出、実質輸入、および実質貿易収支をプロットしたチャートです。

20113月の実質輸出は前月比-7.99%となりました。2カ月振りの前月比マイナスです。一方で、実質輸入は前月比-1.42%となり、2カ月連続で前月比マイナスとなりました。

実質輸入に比べて実質輸出の減少率が大きいことから、3月の実質貿易黒字は前月比-24.72%と大幅に減少しました(2カ月振りの前月比マイナス)。

“リーマン・ショック”のときには、海外需要の急減により輸出が大きく減少しました。20088月から20092月までの6カ月間で実質輸出は累計で39.6%減少しました。今回は生産設備の被害とサプライ・チェーンの断絶による供給減で、向こう数カ月にわたって実質輸出の減少が予想されます。“リーマン・ショック”の時の減少率を上回るかどうかがポイントです。


COTレポートの読み方-実質貿易収支1-201103

 下記は実質輸出と鉱工業生産指数(季調値)を合わせたチャートです。“リーマン・ショック”の際には、輸出減少⇒鉱工業生産の減少、というルートを辿りましたが、今回は生産能力の減少⇒輸出の減少、というルートを辿っています。

 鉱工業生産の減少率(3月は前月比-15.2%)を考慮すれば、実質輸出はさらに減少することは確実です。これに伴い、貿易収支が赤字になる公算が強いといえます。


COTレポートの読み方-実質貿易収支2-201103

 最後に、実質貿易収支と実質実効為替レート指数を合わせたチャートをみてみましょう。足元の実質貿易黒字の減少は、タイムラグを伴って円安要因となるため、注意が必要です。


COTレポートの読み方-実質貿易収支3-201103

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------

*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。

-------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------