ドル円の購買力平価について(2011年1月時点):円高基調が続く! | COTレポートの読み方

ドル円の購買力平価について(2011年1月時点):円高基調が続く!

外国為替相場の決定理論のひとつとして購買力平価(PPP)があります。20111月時点の物価指数のデータが出揃いましたので、ドル円レートの購買力平価を試算してみましょう。

前提として、日本および米国の経常収支がほぼ均衡していた19801012月を基点とし、インフレ率として消費者物価と生産者物価(日本の場合、国内企業物価)を採用して試算します。

下記がそのチャートです。購買力平価1は国内企業物価と生産者物価で計算した値、購買力平価2は消費者物価で計算した数値です。それぞれの値と筆者が定めた一定期間のプラスマイナス1標準偏差の値をプロットしています。

 1月末時点では、購買力1は1ドル=93.26円(前月に比べると0.10円の円高、7カ月連続の円高)となっています。

1月末時点の購買力平価2は1ドル=103.67円(前月に比べると0.81円の円高、3カ月連続の円高)と試算されます。


COTレポートの読み方-購買力1-201101

 なお、下記は1975年以降の長期チャートです。趨勢として購買力平価は円高方向に動いています。


COTレポートの読み方-購買力2-201101

 下記は、購買力平価1および購買力平価2からの乖離率を示したチャートです。1月末時点の乖離率は、購買力平価1が-12.0%、購買力平価が-20.9%となっています。実際のドル円相場は理論値以上の円高となっています。


COTレポートの読み方-購買力3-201101


COTレポートの読み方-購買力4-201101

 なお、購買力平価の計算は、起点をどうするか、どの物価指数を選択するかで結果が異なってきます。それを前提とした上で活用することが大切です。

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