仮儒の動向:信用取引と裁定取引 | COTレポートの読み方

仮儒の動向:信用取引と裁定取引

 日本の株式市場は反発局面に入ってきました。ここで、信用取引と裁定取引の状況を確認しておきましょう。


 下記は信用取引の買い残高を示したチャートです。信用取引の買い残高はこのところやや減っていますが、1998年以降の推移をみればまだ高水準です。


1130信用買い貸借倍率


 下記は信用取引の評価損率のチャートです(評価損益率ではなく、評価損率であることにご注意ください)。投資家の損失が増加していることを示しています。


1130評価損率の推移


 次に裁定取引の買い残高の推移をみてみましょう。下記は株ベースの買い残高のチャートです(日ベース)。


1130裁定買い残高の推移


 11月27日時点では20億5,135万株と、まだ高水準を維持しています。現物株と先物のスプレッドが縮小すれば、裁定取引の解消売り(先物買い・現物売り)が出て、現物株の下落を促進する可能性が高まります。


 下記は投資主体別売買金額のうち、自己の売買のチャートです。この数値は裁定取引の売買をみる上で参考となります。11月22日に終わる週は5週間振りに買い越しに転じました。裁定取引の解消売りが一服したことが推測されます。

 

1130投資主体別売買金額の推移


 仮儒動向をみる限り、株式市場の売り圧力はまだ続きそうですが、目先、すぐに警戒が必要というわけではないようです。




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