仮儒の動向:信用取引と裁定取引
日本の株式市場は不安定な動きが続いています。売買代金はさほど多くはなく、仮儒(信用取引と裁定取引)の影響が強まっているようにみえます。
そこで、信用取引と裁定取引の状況を確認しておきましょう。
下記は信用取引の買い残高を示したチャートです。1998年からの推移をみると、信用取引の買い残高はさほど減っていないことがわかります。
下記は信用取引の評価損率のチャートです(評価損益率ではなく、評価損率であることにご注意ください)。投資家の損失が積みあがっていることを示しています。
次に裁定取引の買い残高の推移をみてみましょう。下記は株ベースの買い残高のチャートです。
11月13日時点では21億株と、まだ高水準を維持しています。現物株と先物のスプレッドが縮小すれば、裁定取引の解消売り(先物買い・現物売り)が出て、現物株の下落を促進する可能性が高まります。
下記は投資主体別売買金額のうち、自己の売買のチャートです。この数値は裁定取引の売買をみる上で参考となります。直近では、裁定取引の解消売りが出ていることが推測されます。
仮儒動向をみる限り、株式市場の売り圧力はまだ続きそうです。
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