米国の雇用統計(10月)から | COTレポートの読み方

米国の雇用統計(10月)から

 11月2日に発表された9月の米国雇用統計について確認しておきましょう。非農業部門の雇用者数は前月比16.6万人の増加となり、市場関係者の予想(+8万人程度)を大きく上回りました。


 過去のデータも修正され、非農業雇用者数の9月分が11万人の増加から9.6万人の増加に下方修正され、逆に8月分は8.9万人の増加から9.3万人の増加に上方修正されています。


 毎月の発表数値で一喜一憂すれば、大きな流れを見失う危険性があります。そこで、雇用統計の直近の推移をグラフで確認しておきましょう。


 下記は失業率(軍人を除く)の推移を示したチャートです。10月は4.7%と前月比変わらず、でした。このチャートをみると失業率の低下トレンドが終わったことがわかります。


1106米国・失業率


 下記は、非農業部門の雇用者数の前月比伸び率と3ヶ月平均の前年同月比伸び率を示したチャートです。


  筆者は米国の実質GDPをよく示す指標として、非農業雇用者数の前年比伸び率の3ヶ月平均の数値に注目しています。3ヶ月平均をみれば10月は+1.22%まで低下しており、米国経済が徐々に減速していることを示唆しています。


1106米国・非農業雇用者


 なお、下記は米国のGDP成長率の推移を示したチャートです。7~9月の実質GDP成長率(速報値)は前期比年率で3.8%(前期比で+0.96%)となっており、まだ成長率の減速はみえていません。



  これからの改定値が下方修正されるかどうか、また10~12月期の数値が減速を示すかどうか、注目されます。


 1106米国・実質GDP

 


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