米国の雇用統計(9月)について | COTレポートの読み方

米国の雇用統計(9月)について

9月7日に発表された8月の米国雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月比4,000人のマイナスとなり、市場関係者の予想(+11万人程度)と大きく乖離、証券・金融市場・外国為替市場が大きく混乱しました。


10月8日に発表された9月の雇用統計については、非農業部門の雇用者数が前月比11万人の増加となり、事前のコンセンサス予想とほぼ一致しました。しかも8月分が8.9万人の増加に修正され、前回とは逆の意味でサプライズの数値となっています。


 毎月の発表数値で一喜一憂すれば、大きな流れを見失う危険性があります。そこで、雇用統計の直近の推移をグラフで確認しておきましょう。


 下記は失業率(軍人を除く)の推移を示したチャートです。9月は4.7%と前月比0.1ポイント悪化しています。このチャートをみると失業率の低下トレンドが終わったことがうかがえます。


1009米国失業率の推移


 下記は、非農業部門の雇用者数の前月比の伸び率を示したチャートです。


  筆者は米国の実質GDPをよく示す指標として、非農業雇用者数の前年比伸び率の3ヶ月平均の数値に注目しています。9月は+1.26%まで低下しており、米国経済が着実に減速していることを示唆しています。


1009米国・非農業雇用者数の推移


 下記は失業保険給付件数のチャートです。直近のデータは9月28日の週まで発表されていますが、今のところ横ばいが続いています。


1009米国始業保険給付件数の推移


 ここ数カ月の動きをみると、米国経済は減速していることは確かですが、景気後退に陥ると判断するには早計のようです。
 



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涌井 良幸, 涌井 貞美
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