米ドルの下落が世界の金融・証券・商品市場に影響を与える!!
米ドルの下落が止まりません。筆者が重視しているドルインデックスをみると、下落トレンドが強まっています。過去最安値の更新は時間の問題となってきました。
ちなみにFRBが算出するドルインデックス(貿易加重実効レート:対主要国)はすでに過去最安値を更新しています。
サブプライム問題をきっかけとする金融市場の混乱に続いて、米国経済の景気後退が市場関係者の間で関心の的となっています。FRBは、米国の景気後退入りを避けるために、緊急の金利引下げを実施しましたが、FRBとブッシュ政権は、同時にドル安政策を採り始めた可能性があります。
ドル安政策は、輸出増加による生産拡大・景気拡大をもたらす一方で、輸入品価格の上昇からインフレ圧力の増大をもたらし、まさに両刃の剣となる危険性があります。
日本では、円安傾向が目立っているため、世界的な米ドルの下落(暴落?)に気付きにくくなっていますが、米ドル安がもたらす影響が各市場に広がっていることに注意する必要があります。
米ドルの下落の一方で、先進国通貨の中ではユーロの上昇が目立っています。
また、資源国通貨、中でもカナダドルの上昇が目立ちます。
対米国での貿易黒字の拡大を背景に、中国・人民元も上昇トレンドが続いています。
また、米ドルの代替通貨とみなされる金(ゴールド)価格も再び上昇基調を強めています。
ゴールドだけでなく、他の国際金融商品市況にも波及しています。
原油価格は過去最高値を更新しました。
国際商品市況の代表的な指数であるCRB指数をみると、再び上昇トレンドに入っています。
めずらしいところでは、バルティック海運指数なども急騰しています。
FRBが年内、場合によっては来年第1四半期一杯まで、金利の引き上げを行わない可能性が高いことを考慮すれば、上記のトレンドはまだ続くとみてよいでしょう。
これからのポイントは、
《1》 米国経済が本当に景気後退に陥るのか?(その場合は、世界的な需要減退から国際商品市況は下落、一方で債券が買われる)、
《2》 米国の物価上昇率がさらに上昇するかどうか?(その場合は、世界的なインフレ懸念の高まりから国際商品市況はさらに上昇、一方で債券は売られる)
など、です。
---------------------------------------------------------------------------
*当資料は、情報提供を目的としており、金融商品に係る売買を勧誘するものではありません。配信する内容は投資判断の参考として筆者の見解をお伝えするもので、内容の正確性、完全性を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。また、当資料の一部または全てを利用することにより生じたいかなる損失・損害についても責任を負いません。当資料の一切の権利は筆者に帰属しており、無断で複製、転送、転載を禁じます。
---------------------------------------------------------------------------