円の売り越し枚数が過去最高を更新! | COTレポートの読み方

円の売り越し枚数が過去最高を更新!

 外国為替市場で「円キャリートレード(円借り取引)」のポジションがさらに積み上がっているようです。

  IMM通貨先物取引・円先物取引の投機筋(ヘッジファンドやCTAなど)のポジション動向をみると、6月26日時点では、188,077枚の円売り越しとなり、1983年の取引開始以来の過去最高値を更新しました(前週に比べて売り越し枚数は26,716枚増加)。金額に換算すれば2兆3,509億円に相当します。


 これだけの円売りポジションが積み上がると、その反動も大きくなります。何らかのきっかけで、外国為替相場が逆方向に振れると、ポジション整理の円買いが殺到し、ストップオーダーを巻き込んで、予想外の円高に振れる可能性が高まります。

0702シカゴ通貨先物(円)


 市場関係者は日銀による利上げは当面ないとみているようです。その結果、他国との金利格差が維持されるとみて、円売りに安心感が広まっているようです。

0702日米の名目金利差の推移


 しかし、たとえば、日本・米国間での実質金利格差をみると、このところ金利格差は急速に縮小しています。

0702日米の実質金利差の推移


 世界的にインフレ圧力が高まっており、主要先進国を中心に金融引き締めスタンスが継続しています。そうした中で、日銀も金利を正常化したいと考えても不思議ではありません。事の善し悪しはともかく、秋にかけて、日本も利上げの可能性がある(高まる)ことに注意する必要があります。


 ちなみに、下記はドル円相場と日本銀行が算出する円の実質実効為替相場をプロットしたチャートです(月次、Y軸の上方向は円高、Y軸の下方向は円安を示す)。円の実力は1985年水準まで下落しています。

0702円の実質実効為替レート



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小澤政太郎
為替サヤ取り入門