米国10年国債利回り5%台乗せの影響は?
世界的に金利上昇傾向が鮮明となってきた。米国の10年国債利回りは6月7日には5.11%となり、5%台に乗せてきている。
2番目のグラフはT-Note先物のチャートである。先週後半に価格は急落している(利回りは上昇)。
下記はモルガンスタンレー・キャピタルインターナショナル(MSCI)社が算出する世界債券指数(米ドル建て)のチャートである(金利の動きを知るために逆目盛表示にしてあることに注意!)。これをみると、直近で長期金利が急上昇していることがみてとれる。
世界的に長期金利が上昇していることは、①先進各国の景気が堅調に推移している、②インフレ圧力(インフレ期待)が高まっていること、を示している。
長期金利が上昇すれば、投資家のリスク許容度が低下し、資金をより安全な資産にシフトさせる可能性が高まる。
ちなみに下記は、米国のS&P500と財務省10年物国債利回りを載せたチャートである。昨年の5月初旬から7月下旬にかけてS&P500指数が6.4%下落したことがあった。この時は、インフレ懸念が高まり4月下旬に10年物国債利回りが5%台にのせたあとに株価が下落に転じている。投資家のリスク許容度が低下したことが株価下落の原因ということができる。
下記はS&P500指数とS&P500のVIX(ボラティリティ・インデックス)の推移を示したチャートである。
10年物国債利回りが5%台にのせたあとにVIX(ボラティリティ・インデックス)が上昇していることがわかる。
先週末の米国の金利上昇は、投資家にとって、重要な警告を発しているのかもしれない。
今晩の米国債券市場の動きに注目したい。
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