祝島住民に対する電力会社による訴訟は、歴史的に恥ずべき「スラップ訴訟」ではないのか? | 高知・コスタリカ友好交流を創って行く会

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 この会の趣旨目的は、平和学の調査研究です。特に、国連平和大学の「ジェンダー&ピースビルディング」つまり「人間関係学」と「修復的司法」をテーマに研究中です。
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*週刊金曜日「論争」掲載 5月21日号*

★タイトル「中国電力によるスラップ訴訟は、不正義ではないのか?」

 昨年11月8日、上関原発建設に反対するカヤッカー(干潟の保全活動家で干潟の王子と称される)広島の岡田和樹君(23歳)が、埋め立て阻止行動中、海に落ち、漁船に引き上げられた。その直後、両脇にいた作業員2人から右腕をねじられる事件が発生した。岡田君は海水を飲み込んでいたらしく、現地に駆けつけた医師の診察で、意識レベルの低下と誤嚥(ごえん)性肺炎の疑いありと、救急車で柳井市の総合病院に搬送された。病院では発熱や咳(せき)が認められ、低体温症の症状があったためそのまま5日間入院となり、その後、頸部捻挫などと診断された。


 この傷害事件を、岡田君は、医師の診断書と当時現場に居合わせた人が撮影したDVD映像を添付して告訴した。

 それに対して、中国電力は、保護しただけで、再度海に飛び込もうと船上で暴れたために,危険防止のため押さえただけだと公式発表し、告訴人である岡田君を嘘付き扱いし、さらに名誉を毀損した。


 その上、12月15日、埋め立て妨害で損害を受けたと祝島漁民2名とカヤッカー2名のみに対し、約4800万円の損害賠償請求を提訴したのである。


 さて、公に意見を表明したり、請願・陳情をしたり、政府・自治体に対応を求めて行動した人々を黙らせ、威圧し、苦痛を与える目的で起こされる報復的な民事訴訟のことを「スラップ訴訟」と言う。経済的に力のある企業が原告となり、対抗勢力を被告として恫喝的に行うことが多い。被告となった個人は法廷準備費用・時間的拘束等の負担を強いられる。これらの不正義は、表現の自由を揺るがす行為として、欧米を中心に問題化しており、スラップを禁止した自治体もある。

 放射能汚染の公衆衛生被害・公害から瀬戸内のあの貴重なホットスポットを守りたい。それは、私達平和を願う者の共通認識。この平和行動は、憲法の要請に従った抵抗権の発動でもある。

 国策により19億の交付金が上関にもたらされ、推進派は、住民を支配しようとあの手この手でお金をばら撒く。それに対し、漁業権を盾に補償金を一切受け取らない祝島住民への中国電力による数々のいやがらせ訴訟は、スラップ訴訟という歴史的に恥ずべき行為ではないのだろうか。

 ところが、なんと、山口地裁の裁判官は、埋め立て工事の妨害を禁じ、妨害した場合は1日当たり500万円の支払いを命じた。何故、日本の裁判官には、日本国憲法の自然法体系に基ずく正義が理解できないのだろう。これは国際的に恥ずべき判決である。


 この判決を受け、中国電力は、4月15、16日の2日間、140名程の職員を引き連れ、埋め立てを強行しようとした。祝島漁民は当然、阻止に動いたのだが、これらは、明らかに損害賠償の既成事実を創る作為であったと推察される。

 原発をアジアや中東にまで売り込む鳩山政権とヒラメ裁判官が、日本と地球環境を暗黒に陥れようとしている。


 私たちにできることはあるのだろうか。

http://www.ihope.jp/2010/04/18134113.html

スラップ訴訟情報センター
http://slapp.jp/