前回の記事(参照:呼吸と自律神経) で、呼吸と自律神経について書きましたが、ここでは交感神経と副交感神経について、もう少しくわしく見ていきたいと思います。
交感神経は前の記事でも紹介したように「闘争か逃走か」の神経です。つまり、動物が闘うときに活動する神経です。
そのため、血液を全身に送るように心臓を強く拍動させます。
闘うためには、筋肉や心臓に多くのエネルギーを送らなければならないので、消化や排泄、免疫に関する作用が抑制され、血糖値も上がります。
一方で、闘うためには筋肉を使って運動をしなければなりません。この際、筋肉は運動のために酸素とブドウ糖を必要とするので、酸素を多く取り込み、酸素が使われた残りの二酸化炭素の放出を早めようとして、呼吸が速くなるのです。
このような「闘争」や「逃走」が終わると、今度は疲労を回復し、損傷、消耗した組織を元通りにして、消費したエネルギーを再び蓄えるような働きが始まります。
これが副交感神経の働きです。
まず心臓の拍動がゆっくりになり、血液はあまり固まらなくなります。そして消化、排泄、免疫機能が高まるのです。まさに副交感神経は「休息と修復」の神経だといえます。
交感神経や副交感神経は、自分の意志では自由にできません。
実際には外敵が近くにいないにもかかわらず、心の中でその外敵との闘争を思い起こすだけで、交感神経が活発になり、副交感神経は抑制されます。
何か心配事や悩みを思い出すと、心臓がどきどきし、血圧や血糖値が上がり、便秘になるといったことが普通に起こってしまうのです。
また、普段から他人との争いや競争を続けていると、交感神経が活動し続けるようになり、しまいには体調を崩してしまうこともあります。
こんなときに有効なのが、呼吸を変えることです。
ゆっくり呼吸することで、副交感神経が活発になり、交感神経が抑制されます。
このように、呼吸には大きな力があります。
たかが呼吸と見くびることなく、普段から呼吸と向き合っていきたいものです。