【複製】◆永久保存版・"聴く美術鑑賞"という発想とTourism(自己実現) | 異端のTourism Doctrine

【複製】◆永久保存版・"聴く美術鑑賞"という発想とTourism(自己実現)

 

以下に示した初稿は、一年ほど前にここで紹介した原稿ですが、今日、朝日新聞デジタルの記事で同じような取り組みが進んでいることが報じられていた。

どんどん進んで欲しい。

多様性というものが、社会にそして文化の醸成と伝承に息づく国であることを心から願う。

 

 

 

初稿 2020年10月12日

◆永久保存版・"聴く美術鑑賞"という発想とTourism(自己実現)

 

https://www.fukuoka-art-museum.jp/blog/12536/

 

 

 さて、美術鑑賞と云えば、美術館へと訪れ絵画や作陶作品、木彫美術品などを前にし鑑賞するという行為を想い起される人々が多いでしょう。

小職、遅ればせながら、不勉強ながら「そうではない」美術鑑賞の形があることを初めて知りました。

 不染鉄という日本画家に"教えて"もらいながら。

気付きを与えてもらいながら。そうではない美術鑑賞の形があることを、現実的に感じることが出来ました。「画が解らぬ人のために言葉を書く、言葉が読めぬ人のために画を描く」。そう、弟子に諭したという不染鉄という画家。

 

 ただ、ここで筆者がタイトルとした"聴く美術鑑賞"とは不染鉄にあってさえ想像を超えた鑑賞スタイルなのかもしれません。

 

 "目が見えない"という制限を抱えた人々が、美術・芸術鑑賞を楽しむ機会を持つために、活動する人たちが存在することを、私は今日、初めて知ることが出来ました。

それが【聴く】美術鑑賞・芸術鑑賞です。

 

 何を今さら、めずらしいことではないではないか。

そう感じる御仁もおられるかもしれませんね。

確かに、美術館などへ行くと、ヘッドセットなどを借り、作品前に行くと自動的に作品の説明をしてくれる機会やサービスは存在します。

 

が、残念ながらそれらのサービスは、制限を持たない人々が前提となったサービスであり、見えることを前提としたサービスであることが殆どでしょう。

 

 今般福岡の美術館で開催された「聴く美術鑑賞会」をサポートしているのは、完全に可視能力を失っておられる人々が中心となっており、彼らをサポートするために、「言葉」で絵画や様々な芸術を説明するサポーターさんたちで運営されているようです。

 

 私が感動したのは「学芸員」さんをはじめとする、芸術美術の専門家によるご案内ではなく、素人の美術愛好家、芸術愛好家による"説明"が基本となっていることでした。

 

 サポーターさんたちの"身の丈の目線"ほどスッと入ってくるものは無いのかもしれません。

絵画や造形物を前にし、サポーターさんたちは、色、形、表情、大きさ、ディティール・・・そして自らがその作品から感じる"印象"を、目が見えないという制限を持った人々に語り掛けるのです。

制限を抱えた鑑賞者は、サポーターたちの言葉に呼応しながら、その説明から"印象"を汲み上げ、独自の解釈まで組み立て上げてゆくのです。

 

 サポーターさんたちの取り組みも大変なものでしょう。

自分たちが使用する言葉一つで、"聞き手"が組みあげる印象は違ったものになるのです。

 

ここで私は多摩美大教授の西岡氏の言葉を思い出しました。

【美術を語る時。史実であり、根拠を突き詰めることはヒストリアンという専門家に委ねることには合理性がある。

しかし、現代。"美"そのものも、専門家が語る時代となっていることに違和感を持つ。

美とは、人それぞれであることが相応しく、みんなが同じものを美しいと思うようになってしまうことは、美の本質からは遠く、気色は良くはない。美とは、個々人のものである。】

 

 即ち、目が見えないという制限を抱えた人々に在ってすら、美とは作品に対峙したその人自身のものであり、個人の価値観に委ねられるべきものなのだ~という処に落ち着けることができるのです。

 

 この、"制限"を持った人々にあってさえ、自身の価値観で楽しむことが可能なのです。

言葉を「選択」という言葉に置き換えてみた時。

Tourism(自己実現機会)という言葉の持つ可能性には、何のハードルも存在しないことに気付けるでしょう。(ここはあまりにも解釈を歪曲しすぎているので一行打消し。)

 

誰かに与えられた旅のスタイル"観光"も良いでしょう。

しかし、光を観ることが旅の形でしょうか。

では、光が観えない制限を持った人々にとって旅とはいったい何なのでしょう。

光を観ることが観光であり旅の形という呪縛。

そろそろ解き放たれる時かもしれません。

多様性への取り組みとは、そういうことに他ならないでしょう。

 

Tourismという"ism" 、即ちイデオロギー、アイデンティティー、ライフスタイル・・・自己実現機会のサポートに携わることが出来ることこそ、旅に携わる者のダイナミズムであり、高邁な職業意識に通じるのかもしれません。

 

~了~

 

おかげさまで_______________________。

 

複製版をアップするにおいて、一部体裁を修正しております。