◆インバウンド成長率"鈍化"の読み方
◆インバウンド成長率"鈍化"の読み方
2019年の訪日観光客統計が出た様だ。
3188万人と、前年対比2.2%の成長であり、7年連続最多を更新している。
韓国との関係悪化に起因する、航空路線の運休などが影響し、全体の伸びの鈍化を招いたとしている。
最終的に、韓国の数字がどの程度になって出て来るのか。
飽くまで、予想の域を出ないが、マイナス30%前後ではないかとして眺めさせていただいている。
しかし、私は他方で違う見方をさせて頂いている。
それは、全体の数字は"鈍化"とはいえ、伸びているということ。
減った韓国からのゲストをカバーしている、東南アジア諸国、そして欧米諸国のゲストの行動形態の変容こそが見落とすべきではない、鈍化の要因として抑えておかなければならないファクトである~ということに繋がってゆく。
つい先日、今年の秋以降のための打ち合わせを、数名の専門家たちと持たせて頂いた。その際に、出ていた遣り取りにおいて、ゲストの行動形態の変容に及んだ会話があったので紹介しておきたい。
専門家Aさん「関西の宿泊施設の「値崩れ」が止まりませんね。」
専門家Bさん「その通りです。特にビジネス系チャンネルの宿泊施設の値崩れがものすごい勢いで始まっています」
専門家A「韓国の影響もあるのでしょうね~」
私 「実態として覗えるのは、延べ泊数の減少でしょう。これまで、関西の宿泊市場を支えてきた、台湾、香港、中国からのゲストが、関西の"延べ泊マーケット"を支えてきていたのですが、彼らの行動範囲が広がってきた、いや寧ろ、都市部に捉われることなく、日本国内全域に浸透し始めています。これは、宿泊市場にとっては脅威であり、一人当たりの延べ泊数が落ちることは、稼働率が落ちることに繋がっていくでしょうね。グロスの訪日旅客数は落ちることなく右肩上がりになるでしょうし、全体の日本滞在時の延べ泊数は減ることは無い。しかし、都市部の延べ泊数はこれからも堕ちて行くことが想定されます。」
というやりとりをさせていただいた。
韓国の要因が小さくないとは云わないが、韓国市場というのは、コアなリピーター市場でもある。
そして、このコアなリピーター市場は、家族、親戚、友達の家を宿泊施設にする傾向が一段と高いのである。
また、民泊施設が宿泊施設選択において、確固たるポジションを固めつつある現状に至っては、ビジネス系のホテルのコンペティターは完全に民泊施設となったことが覗えるのである。
都市部への延べ泊数の増加をどの様に動機付けしていくか、この辺りが最も面白い処であり、地方都市は、インバウンド集客のために、休眠資源の有効活用に活路を見出すという考え方にシフト出来れば、ボトムはまだまだ広げることが可能だろう。
2020年の4000万人という、矮小化した議論に発展しがちではあるが、市場の成長の方向性、嗜好の変化を織り込んだ取り組みを進めなければ、"当てが外れた"事業者が都市部に溢れかえることになるだろう。