総事業費は約664億円。鹿島はゼネコンとしての技術力を前面に打ち出し、液状化対策工事を施したうえで、制振装置や備蓄倉庫も備えた高さ約180メートルの超高層物件を建設する。12年度中に着工し、15年度に完成させる計画だ。
勝どき地区は都道環状2号線の整備、次世代型路面電車(LRT)の導入など交通インフラ整備の予定もあり、超高層物件の人気は底堅いと判断した。
震災に伴う消費者の住宅購入の手控えムードや風評被害を背景に、一時は需要が冷え込んだ東京湾岸部の超高層マンションだが、ここに来て需要が戻りつつある。都心アクセスの利便性や手ごろな価格帯などが改めて見直されている。
野村不動産は今秋、東京・東雲の物件のモデルルームを開設。12月にその物件の第1期販売を始める。東京建物なども震災後にいったん見合わ せた物件の販売や新規分譲を順次、再開した。三菱地所グループも発売を控えた物件を抱える。各社とも新規の案件では災害対策や安全性を打ち出し、それが消費者の安心感につながった面もある。
湾岸大規模マンションの開発参入は鹿島にとっても意味が大きい。同社の不動産開発部門は主力の建設部門に次ぐ経営の柱。2011年3月期の 不動産開発関連事業の売上高は571億円と、ゼネコンの不動産開発部門としてはトップクラスだが、従来は都心部でのオフィス開発などの実績が多かった。
これまで不動産大手が主導するマンション開発の共同企業体に参加することはあっても、主体的に湾岸の大型タワー物件開発を手掛けたことはな かった。不動産開発投資の幅を広げて、不動産大手が得意とする湾岸タワーマンション開発を手掛けることで、同部門の収益力を強化する狙いがある。