証券会社などが、顧客の注文を直接つないで売買を成立させる取引が拡大している。取引所を使うより手数料などが安くなるケースが多いため利用が増加。10月 の売買代金は前年同月比2割増え、約2割減った東京証券取引所1部と対照的だった。手数料収入の減少につながる取引所側も対応を迫られそうだ。
 
 

 大半の株式は取引所を通じて立会時間内に売買されるが、これとは別に証券会社などが独自の取引サービスを提供している。顧客の売り注文と買い注文を社内で付け合わせる「ダークプール」や、取引所に似た電子システムで取引してもらう「私設取引システム(PTS)」だ。


 

 いずれも、取引所に支払う手数料がほとんど発生しないため、投資家は取引コストを引き下げられる。10日には東証でオリンパス株が値幅制限の下限(ストップ安)まで売り込まれ、取引時間中に売買できなかったが、一部PTSでは売買が成立。「代替市場」として機能した。


 

 投資家の相対取引やダークプールの取引を処理する東証の立会外取引システムを通じた1部上場銘柄の取引は、10月に2兆4000億円と取引全体の1割を占めた。うち半分程度がダークプールとみられる。


 

 これとは別に、野村ホールディングス傘下のチャイエックス・ジャパンや、SBIホールディングスと米ゴールドマン・サックスが出資するSBIジャパンネクスト証券などが運営するPTSの利用も増加。10月の売買代金は1年前の3.3倍に達した。


 

 こうした取引が増えると、既存の取引所は収益が減少する。東証は「今のところ大きな影響はない」としているが、ヨーロッパ、アメリカではこうした取引が 4~5割に拡大し、取引所再編の引き金になった。海外でも取引に占める比率が数%を超えると拡大が加速した経緯があり、東証や大阪証券取引所なども、手数料の引き下げやシステムの利便性向上などを迫られそうだ。