東京株式市場で個人投資家の売買に占める信用取引比率が上昇している。ヨーロッパの債務問題などの影響で相場の先行き不透明感が根強く、現金で買う長期志向の個人 が売買を見送っているためだ。個人の売買は値動きの大きい銘柄を狙った短期的な信用取引が中心となり、投機色が強まっている。
 
 

 個人投資家の株式売買に占める信用取引の比率(5週移動平均)は、10月第3週時点で61.4%。昨年11月以来、約11カ月ぶりの水準に 上昇した。信用取引比率は東日本大震災で株価が急落し、信用取引の手じまいが進んだ3月から4月にかけていったん下がった。相場の不透明感が強まった8月 からは再び上昇してきた。


 

 10月第3週(17~21日)は個人の売買全体では4週ぶりの買い越しだった。信用取引で買い越したためで、現金取引では売り越しだった。

 

 足元では信用取引の絶対額はそれほど増えておらず、現金取引の低調さが信用取引比率の上昇につながっている。相場の方向性が見極められない ため「中期的なスタンスでは投資しにくく、1日か2日の短期売買になりがち」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)という。


 

 27日はEUが債務危機克服に向けた包括戦略で合意し、日銀が追加緩和を決めるなど重要なニュースが相次いだが、影響を受けるかどうかより値動きの大きさで取引銘柄を選ぶ個人が多かった。


 

 代表格がオリンパスで、社長交代に加え、東証が25日に信用取引残高を毎日公表する日々公表銘柄に指定したことから株価は前日比23%高と急騰。値幅の大きさが個人資金をひき付け、売買代金は954億円と東証1部で1位だった。


 

 材料をきっかけに商いが急増する低位株も目立つ。26日に2011年4~9月期業績見通しを上方修正したツカモトコーポレーションは、27日の売買高が前日比155倍に急増。27日午前に上方修正したエコナックホールディングスも売買高が前日の23倍に膨らんだ。


 

今後もヨーロッパの債務問題への対応を確認していく必要があり、個人の短期投資志向は続きそう。