大手デベロッパーが郊外のマンション開発に力を入れる。野村不動産はファミリー向けの新ブランドを立ち上げ、三菱地所は機器の一括購入などにより原価を抑え た大型物件の安定供給体制を整える。東日本大震災以降、消費者が「安心・安全」を重視、都心に比べ割安な郊外への需要シフトが一部で鮮明になっている。各 社は防災対策などを前面に打ち出し、値ごろ感のある販売価格で顧客獲得を目指す。


 
 
 

 不動産経済研究所(東京・新宿)によると、2011年度上期(4~9月)の東京都内のマンション発売戸数は、23区が前年同期比約1割減ったのに対し、多摩地域など23区以外は2割弱増えた。


 

 震災後の液状化現象などを背景に都心の沿海部などの需要が冷え込む一方、築年数が経過した賃貸物件から安全度の高い新築分譲マンションに移 りたいと考える消費者の要望は強い。都心部の物件は若い家族などには手が出ないことも多く、「都心に比べ郊外の品薄感は根強い」(長谷工総合研究所の酒造 豊取締役研究室長)。

 

 野村不動産は24日、東京都東村山市で「OHANA(オハナ)八坂萩山町」の販売を始めた。オハナは郊外型マンションの新ブランドで東村山 市が第1弾。主に子育て中の若い家族を購買対象とみており、2LDKから4LDKの間取りを用意した。販売予定価格は2500万円台から3900万円台。


 

 野村不は「プラウド」の名称で都心型高級マンションを展開している。オハナブランドのマンションは建物構造をシンプルにするなどにより販売 価格を抑える一方、非常用の水生成装置を設けるなど防災対策を強化。3年後をメドに、都心から半径30キロメートル前後の地域に新ブランドのマンションを 年1000戸の規模で供給する。


 

 大成建設グループの有楽土地(東京・中央)は千葉県習志野市に大規模マンション「ユトリシア」を開発中。今年に入り実施した第3棟の分譲で は地盤の固さや3LDKで2500万~2800万円台の値ごろ感が注目され、「(東京湾岸の)浦安に住む消費者の応募が増えた」(開発事業部プロジェクト 室)。14年秋までに第4、第5棟計約600戸を供給する。


 

 三菱地所や三井不動産などの大手も郊外マンションの供給に注力する。三菱地所は住設機器の一括購入などで原価を下げ販売価格を抑える。毎年4000戸強とみられる首都圏での供給のうち、都心と郊外が半分程度ずつで推移するもようだ。

 

 近畿圏は首都圏に比べると市場回復は遅れ気味だが、足元で改善の兆しもある。都心回帰の動きが見られるほか、郊外では千里ニュータウンなどの老朽化した大規模団地の建て替え案件が目立つ。