こんばんは
りおです

参加者どしどし募集中 12/22締切
【参加型企画】 シンイでX'masナイトちょっと加筆しました。大した加筆じゃないですが、チェヨンがウンスになぜあんなことを言ったのか、その理由を加えました
このお話気にってくださっていた方がいたら、ぜひ読み直してください
あなたのそれを貸してくれない?3本日のテーマ写真:

兄上喜んでおられますかその朝、坤成殿を訪れていたウンスに王妃が問いかけた
「医仙、この暑いのに、何故そのようなものを巻きつけておるのだ」
何故なのだ?と不思議そうな顔をした王妃は、つぶらな瞳で、ウンスを窺うようにじっと見つめる
きたか…
ウンスは引きつり笑いを浮かべる
「アハハハ、ワンビママったら、イヤだ。巻きつけるだなんて…ファッションですよ、ファッション」
予測はしていたものの、やっぱり言われてしまったかと、何とか誤魔化そうと取り繕う
ウンスは天界語を説明をするのも忘れ、上気した顔を手のひらで、冷ますようにパタパタと仰いだのだった
「ふぁっしょんとな…何であろうか。しかし、医仙。その…その、そなたの顎の赤い痕はなんだ?」
巻きつけたスカーフもどきから、隠しきれない”それ”がチラチラと見え隠れし、露わとなっていた
チェ尚宮は横目でそれを見て、無言で首を横に振る
あぁ、私としたことが…
スカーフずれちゃった?
しまった、もっと顎まで、しっかりと隠すべきだったのよ
ウンスはその場の雰囲気の気まずさから、叔母その人の反応が気になって、横目でチラリとそちらに視線を送る
じろりと見返すチェ尚宮
あはっ、そうよね
やっぱり叔母様たらお気づきよね
冷や汗がつーと頬を伝い、穴があったら入りたい、そんな泣きそうな気分になった
「ママ…どうやら虫がおるようです」
突然の言葉に面食らうウンス
叔母様、なっ、なにを…
「チェ尚宮、虫とな?」
チェ尚宮の言葉に、卓に座った王妃が、見上げ問いかける
チェ尚宮は淡々と話を続ける
「はい、チェ家は森林の近くにございます故、どうやら大きな虫が」
そう言いながらチェ尚宮は、呆れた視線を漂わせて、慌てるウンスを舐め回すように見下すと
このたわけ者が…そのような姿、チェ家の嫁がワンビママの御前に出るなど、呆れてものも言えぬ
チェ尚宮はウンスに、冷たい視線を向ける
やだっ、叔母様ったら
きゃ~何を言うつもり?
それ以上は…
叔母様やめてー!
ウンスは眸に懇願の色を浮かべて、目をくるりと見開き、懸命に叔母に訴えかけてみた
チェ尚宮は、すっと視線を逸らす
「大きな虫とな?」
「はい、ママ。女人の柔肌を食らう、悪い虫がおるようです…」
はぁ…
最悪だ、そう来たか
叔母様ったら人が悪いんだから
「あっ…」
何か思いついたように、王妃が小さく声をあげた
それは…その印(しるし)というのは、噂に聞いたことがある…その、その男が情人につける印のことか?
王妃は恥じらい、思わず頬に手をあてる
「ほぉ、それが噂に聞く…」
小さく呟きふむふむと頷いて、そして、目をいたずらに丸くさせ、ウンスを向き直る
王妃の好奇の視線がまた痛い
どこか幼げに、好奇心に満ち溢れた、うぶな王妃の姿に、ますますウンスは、小さくなっていく
「ははは…そんな虫だなんて叔母様ったら人聞きが悪い…ちょっと風邪っぽいから、喉を温めようかなぁ、なんて…」
そう誤魔化そうとする、ウンスの言葉をチェ尚宮がぴしっと遮る
「医仙。ここは、ワンビママの御前です、チェ尚宮と…」
チェ尚宮は、ウンスを睨み付け、ゴホンと大きく咳払いをした
そんな二人のやり取りが面白い
王妃がくすくすと笑う
「まぁ、良いではないかチェ尚宮。二人を見ておると、愉快な気分になる」
王妃もはしゃぐように声をあげ、三人は互いの顔を見合わせたのだ
しかし、そう言いながらも王妃の目はしばらくすると、近くの者たちを映してはいないような、そんな薄笑いを浮かべたのだった
あっ、今ワンビママは…きっとご家族のことを思い出されているんだわ
ご家族とは、もう一生涯会えない、私と同じね
ここ高麗には、頼れる方はチョナしかいらっしゃらない
せめて、私と叔母様が、ワンビママのおそばに…少しでも、ワンビママが楽しくお過ごしになれるようにしなくちゃね
ウンスにとっては妹のような…そんな幼気な王妃の姿を、ウンスはまた優しく見下ろすのだった
「では失礼します。ママまた来ますね」
「医仙、そうだ、そなたに湯殿を用意させたのだ。たまにはチェ尚宮と二人で、水入らずで過ごすがよい」
「えっ、ワンビママ本当ですか?」
「そなたは、湯を好むと聞いた。チェ家に大きな湯殿はなかろう、ゆっくりと疲れたその体を温めるがよい」
大きな風呂など要らぬ
狭いほうが何かとよいではないか…
そう言ったチェヨンの顔が思い出され、ウンスは心の中でくすりと笑う
「ありがとうございます」
喜び勇んで、大げさなほど大きく礼をする
ウンスは王妃の計らいに、ウンスは口許をおおって喜びはしゃぎ、ぴょこぴょこと、今にも飛び跳ねそうだった
ゴホン
チェ尚宮の大きな咳払いに、ウンスは、はしゃぎ過ぎている自分にはっと気づいた
そして、また、やってしまったわねと、気まずい笑みを浮かべたのだ
ワンビママが部屋に戻り、チェ尚宮と二人そこに残された

宮殿の廊下にて
「このたわけ者がっ」
チェ尚宮の活が、長い廊下にこだまするように響き渡る
その声にヒャッとなるウンス
やっぱり言われ…たよね
「叔母様ごめんなさい」
分かりきっていたその叔母の反応に、ウンスは両手をあわせ御免なさいとチロリと舌を出す
「ウンスやその姿はなんだ…そなたは、なんと情けない格好をしておるのだ」
首元に視線を向け、赤く染まったそれを指し示す
チェ尚宮は、大きなため息を漏らし、ハンッと笑って、呆れた視線を再度ウンスに差し向けた
しかし元はと言えば、その元凶を作ったのはわが甥に違いない
「チョニシへの出仕するのも遅いと聞く」
「……本当にすみません、自覚してます。気を付けよう…と、”私は”思って…いるんです…けど…その…」
はぁ…
それも、元凶はわが甥か
「最近、休みがちだとも聞くが」
「……はい、それもよく自覚してます…最近、ちょっと体がつらくて、すみません気を付けます」
体がつらいだと…
それもきっとあの馬鹿が原因に違いない
結局は全て、甥の所業だ
チェ尚宮は、ウンスを叱咤し、責めれば責めるほど、自分の甥ヨン、その男の存在を思い知らされる
あの馬鹿者が
浮かれ、はしゃぎおって、どうやら一度懲らしめねばならぬようだ
申し訳なさそうに見上げるウンスに、この方が悪いわけではないがと、目を細め微笑みかけた
「ウンスや、わかっておるのだ。あの馬鹿たれが悪いことは。しかし、あいつはこの高麗の大護軍
あの馬鹿たれの体面を考えると、表立って私が叱咤することはかなわん。そなたに、頼むより他ない」
「はい、叔母様。よくわかっています」
ウンスはこくこくと、深くうなずく
チェ尚宮もやさしい笑みを返す
ウンスのその笑顔を見つめながらチェ尚宮は、今は亡き兄への想いをその胸に、思い浮かべたのだった
この今の状況を、兄上が生きておったらどのようにお考えなるだろうか
おそらく、兄上の事だ、きっとお喜びになるに違いない
あの馬鹿の目には、光が差し込めておる。それもこれも全て、この目の前にいるお人のおかげだ
光を映さぬ死人のような目ではない、光をたたえたヨンの眸は、この方をしっかりと映しておる
しかし、あいつときたら、うつつを抜かし、国を担う役割もそっちのけで
よくもまぁ、あんなに…”それ”をこの方の躰に幾重にも刻み付け…
朝も遅れ、休みがちにさせるほどに…
はっ、なんと…まぁ…
いつまで新婚気分でおれば、あいつのその気が済むのだろうか
大概にせいと、いい加減言わねばならぬか
しかし、玩具で遊ぶ幼子と同じだな
嬉しゅうて、嬉しゅうて仕方がないのだ。やっと手にした玩具に目を輝かせ、常に傍に置いておきたいと願って止まない
そんな風に無邪気にはしゃいで
四六時中ふれていたい。そして、次から次へと、それから生み出される、新しい遊びに心を躍らせる
まぁ、4年も、恋焦がれて、待ちわびた、その方がやっと手に入ったのだから、その気持ちが分からないでもないが
あいつは、この方と過ごせる事が、楽しくて、楽しくて…情けないほどに、その身を溺れさせておる
何とも嘆かわしい
しかし、兄上もそうであった
義姉上が亡きあと、周りからの嫁を迎えよとの勧めに、聞く耳すらを持たなかった
そのおかげで跡継ぎはあいつ一人
まったく。一つのものに執着するのは、兄上から受け継いだ血筋だな
執着といえば…
あの玩具
そうだ、優しかった兄上が、”万華鏡” ただあの玩具だけは、決して私に貸してくださらなかった
私がどんなに貸してくれと頼んでも、兄上はこれだけは駄目だ譲れぬと、たいそう大切にしていた
私はどうせすぐに飽きると思った
しかし、結局、兄上は、一生涯その万華鏡を持ち歩き、時間さえあればそれを眺めて、微笑んで…
義姉上がお亡くなりになった後は、それをご覧になる時間が、日増しに長くなっていったように思う
きっと兄上にとってあの玩具は、義姉上亡きあと、寂しさを紛らわせてくれる、唯一の大切な存在であったに違いない
古びた万華鏡をさぞ大切そうに
「これは本当にいつまでも美しい。お前にもいつかその時がきたら、見せてやる」
兄上は、まだやらぬと、いたずらな子供のような顔をし、私に笑いかけたのだ
玩具とは、楽しみや喜びを与え、胸を高鳴らせる、そんな存在ではないだろうか
何故だかその事が、ヨンとウンス二人の姿に重なる。そんな風に思う私は、おかしいだろうか
あの、たわけも。その玩具だけを愛でて、片時も離さず、生涯遊び倒すつもりであろう
ウンスの身が持つか心配だ
まったく、あの男には、節度というものはないのか
おまけに、あいつが遊んでおるのではない
この方がそばにおり、あいつと遊んでくださっているわけだ…私はこの方に、感謝してもしきれぬ…
そう、兄上は、死の直前まで
それを離さなかった
兄上が死に際、その万華鏡を、私の手の上にそっと乗せ、最後に微笑まれた
そして何もおっしゃらずに、そのまま息を引き取られたのだ
”万華鏡”
あれは兄上の、遺書だった
その中に折りたたまれ入っていた、白い紙を見たとき、私の手はカタカタと震えた
兄上は、私に、この私に、どのような言葉を託されたのか
どんな言葉を残して逝かれたのか
私はどうしたらいいのか
兄上の声をお聞かせくだされ
私は藁をも掴む思いで、その万華鏡の中に隠されてた文を開いたのだ
わが目を疑った
これが、兄上の残された言葉なのか
そこに書かれていたのは…
「チェ家を頼む」
ただその数文字だった
たった一人の息子を残し、チェ家にこの私を一人残して、兄上は天に旅立ってしまったのだ
兄上これはあまりに酷かろう…
私に残してくださる言葉が、たったこれだけですか?
兄の位牌を前にして、涙が溢れて止まらなかった
しかし、チェ家を守るものは、もう私しかおらぬ、私がやらねばらならぬ
ヨンを守るのも私の役目
私は、歯茎を食いしばって、兄の位牌をまっすぐに見つめて
「チェ家を必ず守ります」
そしてヨンを立派に育てます…と、
その位牌に、強い誓いをたてたのだ
あの短い私への遺言
しかし、今思えば
兄上の想いは
それがすべてだったんだ
あの馬鹿の行く末を、そしてチェ家の行く末を、私に託して亡くなられた
兄上見ておられるか?
そして、喜んでおられますか?
私は、ヨンを立派にしてやれましたか?
ヨンの今の、幸せそうな笑顔を思えば
兄上は、よう頑張ったと褒めて下さるか?
窓の外をそっと見やれば、暖かな日が差し込めている
天にいる兄、チェヨンの父の笑顔を表すように、柔らかな日が揺らめいていた

湯殿でのこと
ウンスに無理に、隠さずともよいとは言ったものの…
あの害虫め
所かしこに食いつきおって、目のやり場に困るではないか…
想像もしたくもない甥のその姿が思い浮かんで、ぶるりと悪寒がする
ん?なんだあれは
「ウンスや、その…そなたの、そこにある、その文様はなんだ?」
「えっ、何?叔母様…何のこと?」
「ほれ、そこに、不思議な文様が描かれておるではないか」
「やだ、どこです??」
「ほれ、そなたの尻に…

このような形が…」
うそでしょ…
あっ、あの時…
「あの馬鹿…やだ、信じられない」
「馬鹿とは何のことだ?」
「やだ、叔母様、虫です、虫。どうやら、虫に食われちゃったみたい…」
ウンスは頭から火が出てしまいそうなほど、まっかっかになった
そこには、チェヨンの薄紅色の”それ”で描かれた、がたがたの”ハート”が形どられていたのだった
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