家には、沢山DVDがあります。
先日、市川某氏の出演作が配信停止になった中に
(NHKオンデマンドで配信再開されるようです)
私が所有している白洲次郎がありまして
「え、彼も出ていたの?」
とびっくりして、
引っ張り出してみたら、名前が記載されていました。
で、他にもDVDを出していたら
「岡本太郎も観たい!春の雪も観たい!」
とか言われ、
「最初に春の雪を観たい」
との事で…「ぇ、そっち?」と思いつつ。
本当に久しぶりに観ました。
映画館で観て…気にいって買いました
主演は妻夫木聡と竹内結子
主題歌が大好きな宇多田ヒカルなのも興味があって。
「ぇ、宇多田ヒカルなの?」って
嬉しいけど、ちょっとびっくりして。・・・
最近は日本語を使って美しい表現をされていますが
当時は、
「Be My Last」って、そのタイトルでいいの?!
って感じでしたかね
↑
私が自己紹介で、エンドレスリピートしていた
って書いていた曲の1つです
実際、大正の貴族社会のお話のエンディングで
曲が流れた時は
「いや・・・歌い出しの
『かあさん、どうして?』
は、ちょっと貴族社会と落差ありすぎ」
って、
奇妙な違和感がありました。
今、改めて、あの映画を見た後に
歌詞をじっくり読むと
これで良かったんだ、
これが正解だったんだ
って
心底思いますけどね
彼女は見事に本質をとらえていたのですね。
さて映画の
冒頭は幼い日のかわいらしい初恋…
「瀬を早み岩にせかるる滝川の
われても末に逢はむとぞ思ふ」
という歌を詠むシーンです。
二人は幼なじみで
「もし邪魔されて離れる事があっても
再会できるように(上の句と下の句を別々に)
御守りとして持っていましょう」
と約束します。
ある意味、婚約ですね
途中、あれやこれやあって
←お察し下さいw
(全部書いたらネタバレするのでやめます)
で、今生の別れのシーンで
あの和歌の札を返すのですよ。
言葉では言わない、言えない
でも
上の句、下の句を2つ並べて放心状態の清顕(妻夫木聡)
結ばれる御守りとして持っていた物を返す、
つまり聡子(竹内結子)は
もう今生での再会を諦めましたという事ですね。
全部は書きませんが、
この映画は一回ではわからないかもしれません。
あと
特典映像の未公開シーンを観ないと
「あなた、どこの誰?」みたいな人が
出て来たり…。
ただ3回くらい観ると、じわじわきて
「あー、日本人で良かった」
ってつくづく思います。
ちょっと日本に旅行にきてハマりました★
みたいな人には絶対に理解できません。
天皇の勅許とは何か、
何故、
宮家の許嫁を孕ませるとはいい根性だと
侯爵家のおばあさんは言ったのか?
(このあたりは平安文学の素養もいるのかも)
息子が戦死して御上からの賜金を
使わずに神棚に上げていたのに
孫が盗むのを見逃してあげたのか…。
輪廻転生とは何か?
皇族との縁談が決まった後の御妃教育、
宮家に嫁いだ後に待っている自由の制限
没落貴族…でも伯爵家のプライドと
新興の侯爵家への怨嗟(これは父親同士ですけど)
「文弱」なんていう、最近は使わない言葉に
ちょっとにやけてしまいます。
あの時代の学習院の生徒の礼儀正しさ…。
今より英語教育も大変だったでしょうに
家柄の良いエリートは他国の王子のお相手
(通訳)くらいはできてしまうのですね。
出家するとはどういう事か?
高貴な女性が現世のしがらみを捨てる方法
愛する人に罪が行かないように身を引く為に。
20歳の若い男性がどうして尼寺の門を
力づくでも開けないのか?
そこは結界であって、ただの塀ではない。
最期に「滝の下で会おう」って呟くのは
結局、あの歌の滝川の下での再会ですよね。
わざわざ鎌倉の大仏のシーンで
「あの仏陀でさえ、色々な動物に生まれ変わった
そうだ」
「どんなものに生まれ変わってもすぐにわかる」
と
言っていましたから、
あのラストは輪廻転生して
蝶になって再会を果たしたのか、
夢日記から飛び出た蝶でしたから
そういう夢を見ていたのか・・・。。
日本文化は奥深いです。
映画ですから、三島由紀夫の小説そのままという
わけにはいきませんが
大正期の貴族社会というより
千年の歴史を理解していないと
味わいつくせない世界観でした。
もちろん、これは私たちが
ちょっと「異文化研究」したところで
本当には他国の文化を理解できていない
という証左なのかもしれませんが。
ただ、この頃の邦画は元気だったんだな
ってつくづく思います。
お衣装も美術も素晴らしく美しく
馬車や部屋の中も豪華でした。
この年のアカデミー賞の優秀主演男優・女優賞は
獲得されていますが、ライバルが強すぎて
最優秀は逃しています。
そのライバルの邦画があの1年で作られたなんて!?
という位、名作がずらり。
残念ながら、配信はされていません。
何でこんなに良い作品を
18年も経っているのに配信しないのでしょうね。
繰り返し観てこそ、じわじわ来るのにな~。。
★「春の雪」DVD・時々無性に観たくなります★
↑
私の画像と違いますが、中身は同じDVD2枚組です。
★春の雪の原作・三島由紀夫著★
三島由紀夫も電子書籍化されないのですよね。
金閣寺しか読んだ事がない方は
是非、豊饒の海の第一巻だけでもどうぞ~
お読みいただきありがとうございました。