美咲はコントロールレース、コルセットの中央から長く出ている紐をしっかりと握りしめた。
またアタオカサイトが騒ぎ出した。
『続きはCMの後で』
そういうと画面から飛び出した光が壁一面に広がった。
何年か前に一部の人の間でだけ話題になった、スマホ画面プロジェクターになるみたいなインチキ商品のような趣だが、真昼間の明るい室内でもこれでもか言うほどくっきりと映し出された。
節約のために買った激安Android端末にこんな機能があったのか驚く美咲であった。
壁一面映し出されたのは、豪快にスラロームをするスキーヤーだ。
雪しぶきをまき散らして大迫力だ。
今度は高い台から飛び込む水泳選手だ。
水しぶきが上がってこれもまた大迫力だ。
早く「Skip」ボタンが表示されないかとちょっとイラつきつつもなんとなく見続けた。
さらに激しく鍋を振る料理人やら、大きく振りかぶって投げるピッチャーやら、大迫力がアクションが繰り広げられた。
最後には、派手に中に舞い上がるモトクロスレースのバイクが爆音とともに映し出された。
結局「Skip」ボタンは表示されず、元の画面に戻った。
『さて、そろそろ、コルセットを締め上げてみましょ～か』
アタオカサイトがは何言ってんだかって感じだった。
美咲はコントロールレースを握り直し、思い切り、引っ張った。
『ざ～んねん』
アタオカサイトが、してやったりとにやける、そう言えばすっかりテレビで見かけなくなったみのもんたのような口調で言った。
😈地からのDebooのざわめき👿
騙されてやんの
ウエストの部分だけがきゅっと締まって、コルセットが、ひな人形の三人官女の小太鼓(小つづみ)みたいに両端が大きく開いた。
『も～んだい』
やっぱりアタオカサイトはなぞなぞを出してくるのか。
『これらの映像はなんだったでしょ～か』
美咲はあっけにとられた。
あの画像にまさか意味があった言うのか。
ただ単に大迫力アクションが繰り広げられていただけではないか。
👼天からのAbooのささやき👼
知らない人は、ついつい派手なアクションを見るとそれがすごいことのように感じてしまう。
スキーのスラロームは素早くターンできるほど、雪は舞い上がらない。
他もそうだ。
上手くできているほど地味なものだ。
あっさりこなしてしまうのだ。
特に、モトクロスバイクレースでは、宙に飛びあがったバイクはかっこよく見えるかもしれない。
しかし、宙に浮いてしまうことにより、駆動力は地面に伝わらず、かつ、空気抵抗により減速し、上下方向に運動エネルギーを奪われてしまうというトリプルダメージで推進力を失うことになる。
そうなだ。
派手なアクションは下手糞の象徴なのだ。
コルセットも派手に激しく紐を引っ張って締め上げるイメージがある。
これもまた下手糞の象徴となってしまうのだ。
『上手に締め上げるにはどうしたらいいでしょ～か❓テレビの前のみさんもご一緒にお考えください。』
これテレビ番組じゃないだろというツッコミ入れたいと思う美咲であったが、やっぱり、アタオカサイトのペースに乗せられてしまっていた。
「うわ～、三択じゃないんだ」
『レベル2は三択ではないです。』
つづく
■作者紹介
）プロクビレイター（のAbooです。
世界中のウエストを『くびれ』させることが野望のプロのクビレイターです。
クビレイトに欠かせないものといえばコルセット
コルセットを締め上げて肋骨を引き締めることでアンダーバストからヒップにかけて整形級のボディラインを作っちゃおうっていう痩身術です。
世間ではコルセットダイエットなんて呼ばれています。
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