格闘技ファンが選手を応援する様になるきっかけは何だろうか?
旧K-1・PRIDEが消滅しボクシングを除く格闘技は一旦は地上派から消えてしまったが、昨今ではAbemaTVを中心に無料放送で格闘技を視る事が可能になり、それをきっかけに選手を応援する格闘技ファンも多いだろう。
経済的事情があったり、私の様な地方民にとってはどうしても観に行く事が不可能な興行がある場合は有料でも何でも良いので、放送して貰わないと選手の事を知る事すら出来ないので選手を応援しようがない。
私の場合は最初のとっかかりは様々だが、会場に行って直接選手と話す事によって親近感が増すパターンが多いだろうか。
私が個人的に応援している選手…
今回はその中の1人の選手についての内容のブログになる。
最近は将来のカジノを見据えて、あるいは東京オリンピックがあるからか関西でも大きな興行が増えてきてはいるが以前は大きな興行でもHOOSTCUP・修斗などの興行がたまにある程度だった。
当然そうなれば関西の強い選手は東京に進出するが、東京のジムに在籍するならともかく関西を拠点にする場合は地方出身である故かチケットの手売りが上手くいかず、強豪に勝っても次に繋げられないケースが多かった(はっきり言うが皇治は異常)。
そんな中で旧KNOCKOUTは東京の興行でありながら手売りを無くした為、地方の選手にもチャンスを与える事の出来た興行だった。
そのKNOCKOUTで一躍名を上げた関西の選手がタネヨシホである。
📀タネヨシホVS仲山大雅📀
当時無敗で東京で名を上げていたタネヨシホが関西凱旋しタイトル防衛戦をすると知り、是非試合を観てみたいと思った。
ただ当時はそのタイトル防衛戦の行われるDEEPKICK自体に行った事が無く、チケット購入もどうするか分からない状況だった。
ただ当時から親しくしている関西キック業界に詳しい方がいたので、どの様な興行なのか聞いてみた(以下X氏とする)。
私「タネヨシホがDEEPKICKで試合すると聞いたんですがご存知ですか?」
X氏「それウチの滉大が相手ですよ‼️」
私「滉大?あっ、防衛戦の相手…及川道場じゃなくてフォースクワッド所属ってなってたんで分かりませんでした。強いんですか?」
X氏「う~ん無敗ですし強いと思いますよ‼️」
私「お~楽しみです‼️」
こんな感じで行く事を決めたがチケットは完売。
運営側に問い合わせると当日立ち見席なら購入出来るとの事で、とりあえず立ち見で観る事になった。
実際行ってみると開催場所は学校の体育館の様な所でチケットは完売だが、身内だけで捌いている様な感じ(因みに立ち見でチケットを買いたいと言ったら受付の女性に驚かれた)。
関西の選手は皆技術が高いと言うより気持ちが強く、打ち合いの多い興行だった。
知らない選手ばかりだが面白い試合が多い。
そして迎えたタイトルマッチ…
その動きを表現するならば…
まさしく“流水”の動きだと感じた。
変幻自在に流れの中で左右に構えを変えながらフェイントを交え強弱の攻撃がどのタイミングでどこから来るか分からず、相手の攻撃は見切って躱してしまう…
対戦相手の研究が入れば却って鈍るであろう思考の先にある本能のままの自然な動き。
色々な強さがあるが、この動きは格闘技の強さの一つの極地とさえ思う。
まさかドンパチ打ち合う興行のメインでこれ程の動きの出来る選手が、こう言ったら何だが関西のローカル団体のDEEPKICKにいるとは正直思いもしなかった…
凄い選手を見つけた…
それを嬉しく思いながら帰途に着いた私はその時、まさかその選手の試合がしばらく観れなくなるなんて思いもしなかった(因みに帰りに前回興行のDVDを購入したら、受付の女性にまた驚かれた)。
翌年(2018年)2月に行われるとある興行…と言うか当時の滉大の所属団体のポスターに滉大の姿を見かけた私は、X氏と会った時に尋ねてみた。
私「滉大選手は東京で試合しはるんですか?その翌日にkrush観に行く予定あるんでその試合も観に行こうかなと。」
X氏「いや滉大はこの興行に出ませんよ。」
私「えっ⁉️ポスターに出場選手として出てるのに出ないんですか⁉️」
X氏「…そもそもこちらに試合がどうとかの連絡が何も無いのに勝手に写真が使われてるんです。」
私「そんな事がありえるんですか…」
その後、滉大の在籍する及川道場は所属団体を脱退…
そもそも脱退になった理由については以前及川道場に在籍していたとある選手に起因しており、あまりにもひどい内容なのでここに書くのは憚れる(因みに私はその理由を作った選手を蛇蝎の如く嫌悪している)。
まぁ人間同士の対立なんて片方の意見だけ聞いて100%悪いとは断言できないが、少なくとも私が聞いた限り及川道場には落ち度は無いし、これは断言出来るが滉大には全くもって落ち度は無い。
それにも関わらず滉大はしばらく試合が出来ない状況に陥った。
それは何故か?
現在のキック業界は大きく分ければK-1とそれ以外の村社会であり、その村社会の中で問題を起こしたとされたからだ。
まぁ端的に言えば「滉大をオタクの団体で使うなら分かってんだろうな?ウチの選手はオタクの団体には一切派遣しないし関わりにならない事になるけど良いの?」という人間が元所属団体にいるという事だ。
かくして滉大はDEEPKICKでタネヨシホを破りながら試合が出来ない状況に陥った。
…なら対立団体のK-1に行けば良いじゃんと思うかもしれないが、K-1は基本的には東京主体の団体で契約金の発生しない1試合毎に1年更新の独占契約(現在では3年独占契約)であり、地方のジムからすると地方の大会に一切出れないのは厳しい話だったりする。
…ただこんな事を言うとアレだが、滉大の試合を組まない団体は悪いとは言えない。
興行を組む以上は村社会の中で相互の協力関係は重要で、選手1人か2人の為にそれを放棄するというのは難しい。
ただそんな中でも事情を聞いて元所属団体との関係を放棄して滉大の試合を組む団体が現れた。
それがNJKF・ Suk Wanchai MuayThai Super Fight ・HOOSTCUPだった。
試合が出来る様になってから何度も滉大の試合を観る為に会場に足を運んだが、負ける事はなかったもののタネヨシホ戦の姿には程遠い姿だった。
やはり8ヶ月試合出来ずに試合勘が鈍っているのだろうか?
そんな事を思っていた時、HOOSTCUPの王座決定戦を決める挑戦者決定戦が組まれる事になった。
📀大崎孔稀VSタネ♡ヨシキ📀
📀タネヨシホVS大崎孔稀📀
勝てば試合する事になる王座決定戦の相手の大崎孔稀は、タネヨシホに大逆転敗けを喫したものの紛れもない53キロの日本人最高クラスの選手…
📀滉大VS國本真義Ⅰ📀
📀滉大VS國本真義Ⅱ📀
引き分けとなった國本真義との再戦を判定で制し、大崎孔稀との王座決定戦に駒を進めた滉大ではあったがやはり動きはまだ戻っていなかった様に思えた。
チケットを直接購入しているという事もあり滉大は試合後にも挨拶に来る律儀な選手だが、本人にも「見切りは大分戻ってきたとは思いますが、タネヨシホ選手との試合の流水みたいな滑らかな動きはまだ戻ってないと思います。名古屋のタイトルマッチまた応援しに行きます。」みたいな会話をしたのを覚えている。
…我ながら面倒臭いオッサンだ。
個人的な見解では大崎孔稀に勝てるにしてもタネヨシホ戦の流水の動きが出来るなら、五分五分くらいの勝負になるんじゃないか。
それくらい大崎孔稀は強く厳しい試合になると思っていた。
…それにしても試合間隔が空いたとは言え、そこから何戦もして戻らない試合勘が土壇場になって戻るもんなんだろうか?
そもそも試合間隔が空いて試合勘が鈍ったせいだと思っていたが、本当にそうなんだろうか?
そう思ってタネヨシホ戦の前の政所仁との試合のDVDを視てみると、良い動きはしているがタネヨシホ戦程の動きではない。
もしかして…
…こんな感じで相手が強ければ強い程良い動きになったりするんじゃ。
いやいやそんなまさか漫画じゃあるまいしw
…なんて冗談を考えながら試合当日を迎えた。
そして試合開始30秒もたたないでこう呟く事になる。
1R:ドロー(10-10)
滉大は試合開始からインロー2発を出すが大崎に躱され右ミドルを受ける。
だがそこから左ジャブを見切り流れる様にインロー→クイック左ミドル→左インロー→左フック→右ロー→ワンツー→ワンツースリー→右上段前蹴り。
個人的に観てきた選手の中でコンビネーションが速すぎて目視できないのは滉大の他には江川優生くらいである。
その後もハイレベルな攻防が続くが時折滉大が見切りからの打撃を入れ、またスーパーマンパンチを狙う。
大崎の力強い打撃にもきちんと打撃を返すのが目立つ。
ただやはり大崎は強く一進一退の攻防で1R終了。
2R:ドロー(10-10)
2Rも一進一退の攻防が続く。
手数の滉大に一発一発の威力が強い大崎。
滉大は時折スイッチしながら見切りからの打撃を入れるが、大崎は怯む様子が微塵も無く前に出続ける。滉大のハイキックが顔面を捉えるシーンもあったが大崎の打撃もクリーンヒットは無いが印象が良い。
2Rも差はつかないだろうか…
3R:ドロー(10-10)
R開始から大崎が左ミドル→フェイントからの右関節蹴り→右ロー→左ミドルとヒットさせるが、滉大は前に出て左ジャブダブル→左ボディ→左アッパー→右ストレート→ワンツー左フック→逆ワンツー→ワンツー。ここに大崎が左フックをクリーンヒットさせるが滉大は怯まず前に出て左フック。その後も目にも止まらない攻防が続く。このRは大崎の良い打撃が当たるのが目立つが滉大は全然怯まない。中盤からは滉大の左ジャブ・サウスポーにスイッチしての左ストレートが大崎の顔面を捉える。
大崎の右フックは滉大はもう見切っているか体を沈ませて躱す。
終盤まで手数が落ちず3R終了。
このRも差は無いように思えるがジャッジによっては大崎の攻勢を取ったかもしれない。
10-10 10-9 10-10の一者大崎にてEXR突入。
EXR:滉大(10-9)
滉大の左ジャブに大崎が左フックを返すも滉大はブロッキング→左アッパー→右ストレートとヒットさせ大崎を怯ませる。
そこから滉大は左ジャブで牽制し左ハイを打ち前進。大崎の左フック→右ローを躱し左フックのカウンターをクリーンヒット。さらに右ハイからサウスポーにスイッチし左ストレートをクリーンヒットさせ大崎の顔面を跳ね上げる。
速すぎて絶対目視は無理だが改めて映像で確認するととんでもない動きだな…
その後も滉大は流れの中でスイッチしながらオーソドックスからの左ジャブ・サウスポーからの右前蹴りをヒットさせるが、大崎は退かずに前に出続ける。
クリーンヒットしたわけでは無いが滉大が後ろに下がりロープの外に上体が出てしまうシーンもあった。
最後も滉大がサウスポーからの左ストレートを2発3発とヒット。
尚も退かない大崎が前に出て試合終了。
10-9 10-10 10-9にて滉大勝利‼️
HOOSTCUPスーパーフライ級初代王者を獲得した。
📀滉大VS大崎孔稀📀
😆👑👑雑感👑👑😆
結果としてタネヨシホ戦で魅せた蹴り主体では無かったものの、滉大の流水の如き動きは土壇場で復活した。
…次はDEEPKICKで一度は勝っているが東京で名を上げている政所仁との再戦。
そこをクリアしていけば次とはいかなくてもいずれスーパーフライ級最強決定戦(肘無し)が観れるかもしれない。
現在格闘技は色々な団体があり団体限定のファンが増えている様に感じる。
それ自体は間違えではないが、素晴らしい選手は関西のローカル団体にだって確かに存在する。
もし格闘技が好きな方は地元の小さな興行に足を運んでみたら、私の様に思いもよらないきっかけで応援したい選手に出逢えるかもしれない。
少なくとも私は団体よりそこで素晴らしい試合を魅せてくれる選手を選ぶ。
団体なんかどこでも良い。
強い選手はどこで試合しようが強いと思っているから m(_ _)m
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