現在と以前のK-1の一番大きな違いは何だろうか?

過去の格闘技ブームに格闘技を視ていた方は地上波だから格闘技を視ていただけであった方が大半だろうが、今でも格闘技の好きな方でありながら現在のK-1を認めない理由は正直私自身も理解できる。
強い外国人選手がいない…
以前のK-1はヘビー級を中心に回っており、大男がド突き合う華やかな舞台だった。
 
📀ジェロム・レ・バンナVSピーター・アーツⅡ📀
 
📀ボブ・サップVSアーネスト・ホーストⅡ📀
 
📀レイ・セフォーVSマーク・ハント📀
 
それに比べれば現在のK-1はまずもって外国人のヘビー級の強い選手がボクシング・MMAに流れているのは致し方無いとしても、以前のブームの時の様に金回りが良くないのかあくまで軽量級~中量級の日本人中心の興行(しかも鎖国)。
ブアカーオという強豪タイ人の存在を追い求めてかタイ人を呼んでみても、肘無し・首相撲無しでは本来の強さを発揮出来ずに噛ませ犬の様になってしまう。
 
📀武尊VSヨーキッサダー📀
 
せっかく良い選手を呼んでも、初めから野杁と試合させてしまったら良いとこ無しで負けいその後呼びようが無い。
 
📀野杁正明VSユネス・スマイリ📀
 
📀野杁正明VS ディエゴ・フレイタス 📀
 
レベルが高過ぎる外国人選手が来日しても対戦する相手が尻窄みになり離脱してしまう。
 
📀マラット・グレゴリアンVS ジョーダン・ピケオー📀
 
📀チンギス・アラゾフVS ジョーダン・ピケオー📀
 
今回のブログはそのレベルが高過ぎる外国人選手二人にこそ敗けているが、それ以外の相手…
と言うか日本人選手全てに悉く勝利してK-1では珍しく…
と言うかただ一人海外を拠点とする選手としてK-1で一定の地位を築いている選手についての内容になる。
 
👊ジョーダン・ピケオー🍕
ピケオーが初めて日本で試合したのは佐藤嘉洋戦…
かつてのK-1で魔裟斗氏のライバルとして活躍した佐藤氏だったが、今のK-1発足時には正直衰えており、新生K-1においてはサニー・ダルベックにKO敗け。
最後に第一回となるK-1世界70キロ級トーナメントに出れるかどうかで試合したのはピケオーだった。
 
 
会場でパンフレットを購入。
読んでみるとKO率11.1%というのを確認しそんな攻撃は強くない選手なのかな?
新生K-1が繋がりのあるマイクスジムから呼んだ選手だし噛ませ犬かな?
そう思っていた。
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS 佐藤嘉洋📀
 
結果としてK-1MAXに魔裟斗氏に次ぐ日本人キックボクサー…
ブアカーオをもKOした中量級の帝王とも呼ばれた名キックボクサーの競技人生は終焉を向かえる事になった。
…そこからピケオーはK-1で14戦12勝2敗。
対日本人において11戦11勝(木村ミノル含む)。
K-1は本物を呼んでいないという意見があるとすれば、私自身も同意する部分はあるがピケオーは本物だと思う。
世界のキックボクサーの中でスーパーウェルター級ならともかく、ウェルター級なら10位内にはいるのではないだろうか?
個人的には日本人キックボクサーPFPだとさえ思っている野杁正明さえ下し、現代の日本人キラーとなったピケオーの次の獲物は…
 
…ウチの子こと近藤魁成である。
17歳で木村ミノル→松岡力→ピケオーと恐らく世界でも類を見ない強敵との連戦マッチメイクには正直思う所があるが…
 
📀 近藤魁成VS 松岡力📀
 
こんな試合してしまったんだからどんな強豪と組まれても仕方ない…
勝てば価値が上がり強い相手と組まれるし、敗ければ価値が下がり弱い相手、もしくは試合自体が組まれなくなる。
それが格闘技だと私は思っている。
近藤魁成は強くこれから日本の格闘技を牽引する選手になる可能性は大いにあると個人的には期待している。
それこそキックボクサーなら武尊・那須川天心に並ぶくらいの…
今回の対戦相手のピケオーは世界的な強豪だが、どの様な特徴があるか私なりの私見を述べたいと思う。
 
左強ジャブストレート
 
 
今までブログを書いてきて何度か触れた事があるかもしれないが、オーソドックスの選手が打つ左ジャブは試合のペースを握る為であったり、ワン→ツーの繋ぎのフラッシュの用途で使われるのがセオリーだが、左ジャブを効かせる・倒す意図で運用するセオリー外の運用をする選手が存在する。
 
📀 バダ・ハリVS ドマジョフ・オスタジック📀
 
それを初めて知ったのはこの試合だった。
当時はバダハリが左ジャブ、対戦相手が右ストレートの相討ちでバダハリがKOしたのを見て、バダハリはどんだけパンチ力があるんだよwくらいにしか考えていなかったが今考えてみるとバダハリは相手に効かせる用途で左強ジャブストレートを打っていたのだと思う。
それを確信したのは同じマイクスジムの選手がオーソドックスからの左ジャブでダウンを奪っているのを何度も目にしたから…
 
📀 メロニー・ヘウヘスVS KANAⅠ📀
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS 中島弘貴📀
 
ピケオーの攻撃で一番警戒すべきはこの左強ジャブである。
 
グチャグチャな打撃
次にピケオーの特徴として上げられるのは、ピケオーがやりたい真っ向勝負が出来ず、試合がやや膠着した時に強引に自分のペースに持っていく強引な試合運びである。
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS日菜太📀
 
今では恐らく一年契約(一試合毎更新)→三年契約になったからかK-1からREBELSに出戻りした日菜太だが、現時点の日本のスーパーウェルター級の選手では正直厳しいが世界と勝負出来る可能性のある1人だとは思う。
 
 
 
だがいくら何でも相性が悪過ぎた…
サウスポーの選手は中間距離で試合を組み立てる選手が多い。
オーソドックスの選手からすると前足が邪魔であり、通常の左ジャブはサウスポーの選手に右前手で潰されるのでペースを握れない(サウスポー用の内に捩じ込む左ジャブならまた違うが)。
中間距離で左ミドル・前蹴り(三日月蹴り)でペースを握り、オーソドックスからすると慣れていない右ジャブ→左ストレート。 
那須川天心ならそれに加えて胴回し回転蹴りで仕留める。
私は個人的にこれは格闘技におけるチートの一つだと思っているが…
 
📀 那須川天心VS ロッタン・ジットムアンノン📀
 
サウスポーは至近距離にガンガン詰められると弱い。
ピケオーの様なグチャグチャま打撃で前に詰めくるタイプはサウスポーや距離を保ち勝負をしたい選手にとっては天敵だと言っても良いだろう。
 
頑丈で堅牢なガード
外国人でハードパンチャーを見ると、先入観からかボディ打たれ慣れてないだろうなと思ってしまう。
 
📀 左右田泰臣VS 木村ミノル📀
 
これは持論だが、ハードパンチャーはレベルの低い段階では相手に何もさせず早い回で試合を終わらせてしまうので、レベルが高い段階でボディを打たれると効かされてコロッと負けてしまう。
ではピケオーはどうかと言うとボディ打たれても絶対倒れないくはい頑丈。
日本に来た時からKO数の少ない選手であり長丁場の経験が豊富なのもあったのかもしれないが、普段からバダ・ハリとスパーリングして慣れていたらそりゃ丈夫にもなるだろうしガードも硬くなるだろう。
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS 野杁正明📀
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS 木村ミノル📀
 
木村ミノルは打たれたら倒れるのでともかく、あの野杁正明が真っ向勝負で敗けてしまうんだからもうどうしようもない。
真っ向勝負して勝てるのは勿論海外なら他にもいるかもしれないが、マラット・グレゴリアンでもない限り避けるべきだろう。
以上が私の考えるピケオーの大まかな特徴だと思っている。
 
戦略
ピケオーは基本的には至近距離に近付いて試合をしたい選手…
まず前提として至近距離での攻防は避ける。
敗けるパターンとして一番可能性が高いのは無理矢理至近距離の攻防に持ち込まれ連打に晒され、ボディを効かされる事だろう。
コーナーに追い詰められたらサイドステップ、組み付いてでも攻防は避けるべき。
左強ジャブストレートは勿論、至近距離ではどのパンチでも威力がある。
左ジャブの差し合いで上回れるならそれが一番だが、必ず左ジャブを打ってくるのは間違いないので一つの戦略としてはジャブの差し合いの途中で右オーバーハンドの強襲。
 
📀 中澤純VS左右田泰臣Ⅱ📀
 
あるいは左ジャブに右オーバーハンドをクロスカウンターで合わせられればとは思う(これは中々難しいだろうが)。
 
📀 アンディ・サワーVS ドラゴ📀
 
キックは右ハイ・そして打点の高いスッと伸びてくる上段膝蹴りに要注意。
前蹴り・ローキックは打つが、基本的にはミドルキックは蹴らないだろうか。
ディフェンス面は先に述べた様に丈夫で堅牢なガードが長所の選手。
…だからそれが弱点。
 
 
ガードを固める構えで丈夫なので、ガードに依存してガードさえしていれば大丈夫だと思っている部分がある様に見受けられる。
キックについてはピケオーはプレッシャーが強いので近藤魁成得意のクイック左ハイは難しいだろうが、前蹴り(三日月蹴り)・カーフキック・ヴァレリーキックは受けてくれると思う。
対日本人で上段前蹴りで唯一ダウンを喫した事があるが、これは中々作戦に織り込むのは難しい。
ただ通常時の構えは八の字ガードであり真ん中が貫通するのは確かだとは思う。
 
📀 ジョーダン・ピケオーVS 山内佑太郎📀
 
パンチについては基本は縦拳でガードを貫く意識。
そしてガードの奥の耳の裏(アンダージーイヤー)を狙う。
 
 
これは左ボディの軌道から左フックに切り替える高等技術だから難しいかもしれないが、松岡戦でも魅せた様な右オーバーハンドを狙うにしても側面(テンプル)を狙うというよりその後ろの耳の裏(アンダージーイヤー)を狙う意識。
ピケオーは木村ミノル戦。
そして山崎陽一戦の動画を視れば分かりやすいが、左ボディブローを喰らっても効きはしなくてもガードを八の字→隙間の無い縦ガードに固める癖があるので左ボディ→ボラードの様なパンチを縦拳で耳の裏に当てられれば…
あるいはボラードの様な右オーバーハンドフックでなくとも、UFCヘビー級王者であるスティペ・ミオシッチの様な側面から撃ち抜く右ストレートが打てれば…
 
📀 ミオシッチの右ストレート解説動画📀
 
 
また魔裟斗氏に指導されたであろうクラウスをKOした左フック…
ピケオーがグチャグチャな打撃を振り回してきた時にショートの左フックを合わせられれば…
また追い詰められる場面が作れるならば、魔裟斗氏の真骨頂であったコンビネーションに混ぜる右アッパー(出来れば縦拳)で狙えればm(_ _)m
 
📀 魔裟斗のアッパー📀

 

😆👑👑試合動画確認👑👑😆

1R:近藤魁成(10-9)

左ジャブ・インロー・前蹴りと繰り出し横にフットワークを刻む近藤魁成に対して、前進するピケオー…

序盤から近藤魁成がかなり良い右フックを当てるシーンがあったが、ピケオーは全く怯む様子が無い。

迫りくるピケオーに近藤魁成が飛びヒザで脅かすが、ピケオーはそれでも前進。ロープ際に追い込むが近藤魁成が巧くかわし体を反転させる。

近藤魁成がピケオーの八の字ガードの真ん中をワンツー、右ローと連打を見せるもピケオーは笑顔で小走りに駆け寄って来る。

そこからも連打をいくら打っても笑顔で小走りに駆け寄るピケオー…

近藤魁成の左ジャブでピケオーがやや怯むシーンがあり、そこから更に連打もケロッとした表情で前進するピケオー…

またピケオーが前進してきた所にバランスを崩しながらではあるが、近藤魁成の右オーバーハンドがクリーンヒット‼️

…だがピケオーは前進。

近藤魁成は鼻血が出ている様子。

近藤魁成が良い左ボディブローを当ててR終了。このRは近藤魁成のRだろう。

 

2R:ジョーダン・ピケオー(3度のダウンを奪いTKO勝ち)

2Rも更に前進するピケオー…

近藤魁成がパンチもローも当てるシーンがかなりあるも、ピケオーはボディブローを織り交ぜながら前進。

1R同様の攻防が続くかと思われたが、近藤魁成のワン・右オーバーハンドの右オーバーハンドに対してピケオーが左腕を伸ばして払い除ける様にして右ストレート。ここで近藤魁成は一度目のダウン。

圧力を強めるピケオーに対して近藤魁成のワンツーを打ち体が流れた所に、ピケオーはボディブローで二度目のダウン。

最後は近藤魁成を追い込みアッパー・ボディブローとロープ際に追い込み三度目のダウンを奪い試合終了。ピケオーTKO勝ち。

 

📀ジョーダン・ピケオーVS近藤魁成📀

 

😆👑👑雑感👑👑😆

結論からするとピケオーは本当に強かった。

1Rに近藤魁成が良い打撃を当てても全然怯まなかったのは異様だとすら感じる…

個人的なピケオー対策の一つだと考えていた絶対に至近距離で打ち合わず、隙間から打撃を当てる戦略は崩れてしまった…

かわしてもかわしても効いた素振りも見せず、笑顔で小走りで詰め寄ってくるピケオーは恐ろしい…

近藤魁成はここで勝てば来年3月にK-1王者に挑戦する可能性もあったが…

敗けて一番悔しいのは本人と御兄弟だろう。

ただ近藤兄弟はこれからもまだまだ強くなると思っている。

いずれ王者になる。

それにしてもピケオーもそうだが…

 

 
 
 
少し前まではK-1王者はサウスポーばかりだと言われていたが、現在の主要階級の王者は久保優太を除いてサウスポーであっても“インファイト”の出来る選手ばかりである。
距離を取って巧く戦おうとしてもインファイトで豪打で薙ぎ倒される…
対抗出来るとすればマラット・グレゴリアンの様にそれ以上の豪打で捩じ伏せるか、チンギス・アラゾフの様に他に無い動きで翻弄して倒すか、あるいはm(_ _)m
 
📀江川優生VSホルヘ・バレラ📀
 
📀江川優生VSアーサー・メイヤー📀
 
📀江川優生VS ジャオスアヤイ・アユタヤファイトジム 📀