6-32 狂信者(デヴオ)たち
「――王様!?」
思わず、澪とアーヴは顔を見合わせた。
「あの人が王……じゃなくって、学校の地下に王様が?」
「理事長!」
険しい視線を、マリーナに集中させる教師たち。
そんな機密事項を、軽々しく明かしてしまうなんて、という批難の表情だ。
しかしマリーナは真意の読めない、飄々とした笑みを顔いっぱいに広げ、
「こんな差し迫った状況になって、秘密も何もありませんわー。このシュプロン公国が、
一世紀前まで、王国だったのはご存じでしょ。澪さん?」
問われて澪は、慌てて首を振る。
「は、はい。それで、欧州の大戦のどさくさに、滅亡したって……」
「そう。その最後の王……シュプロン王の、眠りを覚まそうとする不届きな一派がありますの。この揺れは、王の眠りを醒ますために「先触れ」が、城の地下から飛び出そうとしているのですわー」
「――その先触れを」
「ええ」
マリーナは深くうなずく。
「澪さん、ゼロチームがすでに展開しているのには、気付いていらっしゃいますわね?
確実に封じ込めていただきたいのですわ。決して逃さぬように」
「分かりました」
ではすぐに。
澪は一礼すると踵を返し、再びアーヴと顔を見合わせた。
思わず、澪とアーヴは顔を見合わせた。
「あの人が王……じゃなくって、学校の地下に王様が?」
「理事長!」
険しい視線を、マリーナに集中させる教師たち。
そんな機密事項を、軽々しく明かしてしまうなんて、という批難の表情だ。
しかしマリーナは真意の読めない、飄々とした笑みを顔いっぱいに広げ、
「こんな差し迫った状況になって、秘密も何もありませんわー。このシュプロン公国が、
一世紀前まで、王国だったのはご存じでしょ。澪さん?」
問われて澪は、慌てて首を振る。
「は、はい。それで、欧州の大戦のどさくさに、滅亡したって……」
「そう。その最後の王……シュプロン王の、眠りを覚まそうとする不届きな一派がありますの。この揺れは、王の眠りを醒ますために「先触れ」が、城の地下から飛び出そうとしているのですわー」
「――その先触れを」
「ええ」
マリーナは深くうなずく。
「澪さん、ゼロチームがすでに展開しているのには、気付いていらっしゃいますわね?
確実に封じ込めていただきたいのですわ。決して逃さぬように」
「分かりました」
ではすぐに。
澪は一礼すると踵を返し、再びアーヴと顔を見合わせた。
6-31 狂信者(デヴオ)たち
が、
「今、とっても急いでおりますのにー。困りますわあ」
光虫を呼び出しいっそ空を飛んででも、アーヴと一緒に逃げ切ろうと考えた矢先、
「えっ」
人のいるはずなどない豪雪の広場から腕が伸び――
高速で駆け抜けようとする澪の腕を、やわらかく絡み取った。
月見草のような、ふんわりとした声が脳内に響き、
「理事長!!」
叫んだのは追っ手たちだ。
睫毛の先から身体中、雪で真っ白にしながら、彼女たちのもとに走り寄る。
この学校の教師たち。
寒そうなスーツの肩を雪まみれにし、唇を青紫色にしながら、怒りの形相で二人を指さして、
「こいつらですか!! 理事長が捕まえてこいとおっしゃったのは!! こいつら! こんな夜更けに学校で……!」
「はいはいはい。話は後でですわー。今は……澪さん」
ロシア風の帽子を振って、マリーナ理事長は 振り返る。
「お城の地下に眠っている、王様の眠りが解けかかっておりますの。今すぐ、先触れを封じ込める、行動に移っていただきたいのですけれど」
「今、とっても急いでおりますのにー。困りますわあ」
光虫を呼び出しいっそ空を飛んででも、アーヴと一緒に逃げ切ろうと考えた矢先、
「えっ」
人のいるはずなどない豪雪の広場から腕が伸び――
高速で駆け抜けようとする澪の腕を、やわらかく絡み取った。
月見草のような、ふんわりとした声が脳内に響き、
「理事長!!」
叫んだのは追っ手たちだ。
睫毛の先から身体中、雪で真っ白にしながら、彼女たちのもとに走り寄る。
この学校の教師たち。
寒そうなスーツの肩を雪まみれにし、唇を青紫色にしながら、怒りの形相で二人を指さして、
「こいつらですか!! 理事長が捕まえてこいとおっしゃったのは!! こいつら! こんな夜更けに学校で……!」
「はいはいはい。話は後でですわー。今は……澪さん」
ロシア風の帽子を振って、マリーナ理事長は 振り返る。
「お城の地下に眠っている、王様の眠りが解けかかっておりますの。今すぐ、先触れを封じ込める、行動に移っていただきたいのですけれど」

