先日、テレビで「メンタルマジック」を見ました。

まるで超能力のように、相手の心理を見透かすというたぐいのマジックです。

 

私、実はマジック(手品)の世界にも詳しくて、大抵のトリック(仕掛け)を知っています。

 

知恵袋を見ると、「メンタルマジックは心理学を利用している」という回答がありますが、残念ながら正しくありません。まあ、錯覚や思い込みを巧みに利用はしているものの、「種」自体は純粋に物理的なギミックで、市販もされています。

それで生計を立てている方がいるので、詳細は明かせませんが、「種」を購入すれば(ただし、かなり高額)誰でもできるもの。

 

それを、さももっともらしく演じるところが、プロフェッショナルたるゆえんですね。

 

マジシャンに言わせると、「最も騙しやすいのは科学者」なのだとか。

物事を疑ってかかる人のほうが、むしろ簡単に引っかかるのだそうです。

 

この辺は特殊詐欺にも通じますね。「俺は騙されない」と豪語しているやつほど騙されると。

 

 

20世紀初頭に欧米でオカルト(今はスピリチュアルという)ブームが巻き起こり、インチキ霊媒師(つまり詐欺師)が、ちまたにあふれました。

ところが、当時の著名な科学者たちがこれにこぞって引っかかり、「本物である」と太鼓判を押してしまったのです。

 

科学者ではありませんが、シャーロック・ホームズの生みの親であるコナン・ドイルも見事に騙された一人です(参照「コティングリーの妖精事件」)。

自身が生み出した名探偵は人並み外れた「合理的思考」の持ち主だったのに、当の作者はまるで違った、というのは皮肉な話です。

 

発明家トーマス・エジソンのライフワークは、実は死者の魂と交信できる機械の発明だった、というのは、知る人ぞ知る有名なエピソード。

 

オカルトに引っかかるかどうかは、本人の人生体験による部分が大きいようです。

近親者(両親や兄弟姉妹、子供や孫)を不幸な失い方をした人は、超自然的世界(死後の世界や天国)を信じたいがゆえに、そういった話に飛びついてしまう傾向があるようです。

 

そんな「霊媒詐欺」に鉄槌を下したのが、「脱出王」と呼ばれたマジシャン、ハリー・フーディニです。

彼は、インチキ霊媒師が依頼者から多額の礼金を巻き上げているのに腹を立て、次々とトリックを暴いていきました。

世間で「霊のしわざ」と思われていることは、どれも簡単なマジックで再現できることを示したのです。

 

スプーン曲げで有名なユリ・ゲラーは、実はもともとイスラエルの場末のバーで芸を披露していた売れないマジシャンでした。

ところが、幾つかの実験の結果、スタンフォード大学が「彼は能力は本物である」という研究を発表したせいで、いちやく世界一有名な「超能力者」になってしまいました。

このとき、実は研究チームのメンバーの中に、シピという名のユリの助手が入り込んでいて、トリックに関与していたのでは?と疑いが持たれています。

真偽はどうあれ、スタンフォード大の研究は、まったく信頼の置けないものだったです。

 

スタンフォード大学は、映画化され、日本でも有名な「スタンフォード監獄実験」で、壮大な捏造をやらかした研究機関でもあります(別の機関が同じ条件で検証したら、実験を再現できなかった)。

 

アメリカのマジシャン「超能力バスター」ことジェームズ・ランディは、「自分の課した条件で超能力を披露し、それをマジックで再現できなかった場合は1億円進呈する」という「超能力チャレンジ」で有名になりました。これまで名だたる超能力者たちが挑んだものの、誰一人成功していません。

もちろんユリ・ゲラーも、ランディを負かすことはできませんでした。

 

また、ユリは来日した際、Mr.マリックのスプーン曲げを見て、「トリックを教えてほしい」と懇願したという話もあります。

 

そう考えると、マジックのトリックを知っておくことは、詐欺に引っかからないための一助になるかもしれません。

 

 

というわけで、私は「科学」には絶大な信頼を置いていますが、たとえノーベル賞受賞者であろうと「科学者」のことは信用していません。

彼・彼女もまた人の子であり、種々のバイアスや認知的不協和からは逃れられない宿命だからです。

 

そこで大事になるのが、「誰が言ったか」ではなく、「何を言っているのか」です。

これがどれほど重要かは、この4年間でも、皆様も骨身にしみて感じたことと思います。

 

 

このブログは、じきに日本国政府の言論弾圧によって停止に追い込まれると思われますが、これまで4年にわたって愛読してくださった皆様には、

 

とにかく疑ってみる

 

ことを大事にしてほしいと思います。

 

そして、ネットでばかり不確かな情報を拾うのではなく、さまざまなジャンルの書籍を読み漁って、学問の基礎を学んでほしいと心の底から望むものです。

 

基礎を学ぶことはとても大切。なぜなら、すべての価値ある建造物は強固な土台の上に建てられているからです。