「うわぁ、すごい。」
エレノアとマムがベリエールに連れてこられたのは、
彼の私室だった。
城の最上階にあり、城下町、それを囲む堀、
さらに外は森に囲まれている景色を見て、
エレノアは目眩がしそうだった。
「ここなら誰にも聞かれまい。」
ベリエールは扉に鍵をかけ、窓を閉じると、
カーテンで外が見えないようにした。
「どうして窓まで閉めるの?
誰も中へ入ってこれないと思うわ。」
「念には念を入れねばな。鳥が聞くかもしれぬ。」
鳥が聞いてもどうにもならんじゃないかと
エレノアは一瞬思ったが、
ここは魔法の国だということを思い出した。
服を作るクモや二足歩行する魚がいるのだから、
人語を話す鳥が現れても驚くまいとエレノアは心に決めた。
「それであなたの話したい歴史って何?
どこから話すの?」
「うむ。まず我が国の始まりから話すとしよう。」
今から数千年前、この地はあまりにも荒れ果ており、
作物があまり育たなかった。
雨が降ることなどごくまれで、
人々は飢えと渇きに悩まされていた。
「信じられないわ。」
エレノアは窓の方を向いて言った。
「だってあんなに緑がいっぱいなんだもの。
昔は草ひとつ生えていなかったなんて。」
「それについては後で説明する。」
ベリエールは話を再開した。