「エレオノーレ様!」
マムを抱いてベリエールと共に廊下を歩いていると、
レジィが曲がり角から飛び出してきた。
「もうびっくりしちゃいましたよ。
話してる途中で急にどっか行っちゃいましたから、
何事かと思ってしまいましたよ。」
「ごめんなさい。急に気分が悪くなったものだから。」
「それならそうとおっしゃって下さればいいのに。」
誰のせいでそうなったと思うの、
とはエレノアは口にしなかった。
魔物の肉の話をしたレジィに、悪気はないのだから。
「こんな所をほっつき歩いているということは、
貴様の仕事は終わったのか?」
エレノアが下々と親しくするのをよしとしないベリエールが
口を挟んできた。
「いえ、図書館の掃除の手が足りないので、
今向かっていたところです。
あそこ無駄に広いですから。」
「だからこうしておしゃべりして、
少しでも遅れようとしているのか。」
図星だったらしく、
レジィはベリエールから思いっきり目をそらした。
「嫌ですねー。
たまたま御二人に会ったものですから、
挨拶もしないのはいけないと思いまして...」
「もうよい。さっさと行け。」
ベリエールの眼力にすくみ上がり、
レジィはお辞儀してその場を去った。
「ところでベリエール、これからどうするの?」
エレノアはまだ行き先を告げられていなかった。
「貴様には我が国の歴史について知ってもらわねばならぬ。」
「それなら図書館でもいいでしょう?」
「これは国家機密だ。2人だけで話せるところでするとしよう。」