今季 洋|星の断片 -2ページ目

今季 洋|星の断片

屋号は「アトリエえんどうまめ」 / かつては、造形教室の先生と絵を描く人 / 20年くらい、星とタロット / ゆるゆるっと、絵本をつくる人へ移行中 / 『サビアンアート占星術』全13巻 Kindle発売中  Kindle Unlimited対応✨

オルと羊は、丘の上にいました。

 

「どうして世界には、似たようなお話がたくさんあるの?」

オルが尋ねました。

 

悪者をやっつける話。恋をする話。旅に出る話。国も時代も違うのに、なぜか同じような形をした物語が、あちこちにあります。

 

羊は少し考えて、こう言いました。

「人間は、似ているのかもね。」

 

オルは足元の葉っぱを一枚拾いました。

「でも、これと同じ葉っぱは、どこにもないよ。」

 

「うん。似ているのに、同じじゃない。」

羊はそう言って、遠くを見つめました。

 

オルも、同じ方向を見ました。

そのとき、遠くの景色が、少しずつ揺らぎ始めました。

 

 

🐋 オル #14「ステレオタイプ」、よろしければ続きを読んでみてくださいね。

 

 

 

*

実は少し前、庭番日誌にこんなことを書きました。

 

『崖の上のポニョ』も『マレフィセント』も『アナと雪の女王』も、当たり前だと思われてきた物語のパターン(ステレオタイプ)を、静かに書き換えていく作品です。

 

同じような形をした物語(ステレオタイプ)が世界中にあるのは、きっと人間に共通する何かがあるから。

 

でも、時代によって、その物語は書き換えられていきます。そして、一人ひとりが生きる物語も、誰ひとりとして同じではありません。

 

似ているけれど、同じじゃない。オル#14は、そのことを、丘の上でオルが見つめる不思議な光景を通して描いています。

 

🌿 庭番日誌「神話が書き換えられるとき」も、よろしければあわせて読んでみてくださいね。

 

 

オルと羊は、広い荒野にいました。

 

目の前には、巨大なピラミッドがありました。とても大きくて、頂上は雲にかくれて見えません。

 

「これは何?」オルが聞きました。

「昔、誰かがすごく頑張って作ったものだよ。」羊が答えました。

 

風が吹くたび、ピラミッドの石が、ころり、ころりと落ちていきました。長い時間をかけて積み上げたものが、長い時間をかけて、少しずつ、元へ戻っていくようでした。

 

石が崩れて土になったところに、小さな緑が顔を出していました。雑草でした。

 

その雑草のカーペットの上で、女の子たちがままごとをしていました。葉っぱがお皿になり、花がごちそうになり、石ころがお金になっていました。

 

 

 

「どっちが本物だと思う?」

羊にそう聞かれて、オルは答えられませんでした。

 

大きなピラミッドと、雑草の上のままごと。どちらも、誰かが本気で作り上げた、大切な世界でした。

終わるものがある。でも、終わるだけではない。

 

何かが終わると、何かが始まる。草が生えるみたいに。

 

 

 

*

 

実はこの物語を書いているとき、ふと気づいたことがありました。

 

これは13番目のお話です。タロットカードの大アルカナで13番目にあたるのは「死神」。これは、恐いカードだと思われがちですが、実は「終わりと再生」という大切な意味があります。

 

このお話にあった「終わるものがある。でも、終わるだけではない」というテーマと、偶然にも重なっていました。

 

そしてこの気づきから、「オルのものがたり」全21話が、偶然にも、タロットの大アルカナと重なっていることに気が付きました。

 

そのあたりの詳しい話は、🌿庭番日誌「オルは、なぜ21話だったのだろう」に綴っています。よろしければ、あわせて読んでみてくださいね。

 

 

オルと羊は、夕暮れの海辺にいました。

空はオレンジ色に染まり、波の音が静かに響いています。

 

そのとき、海の向こうで何かが光りました。

赤、金、白、乳白色——それらがひとつになって、大きなうずを巻いています。

 

「あれは何?」オルが聞きました。

羊は黙って、うずを見つめていました。

 

 

オルも、もう一度、海の向こうを見ました。

すると、胸の奥が、少しずつ熱くなってくるのを感じました。

 

どくん。

どくん。

 

それが何なのか、オルにはまだわかりません。でも、確かに何かが、体の中で動いていました。

 

生まれる前から、ずっとそこにあったもの。それを、今、初めて感じているのかもしれません。

 

🔥 オル #12「温海の記憶」、よろしければ続きを読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

*

 

この『オルのものがたり』は、「🌱オル ~共創の庭~」の一部です。

ご興味のある方は、こちらの正面玄関から、それぞれの小道を歩いてみてください🌸

 

 

 

オルと羊は、海の見える丘にいました。

 

丘の上では、何人かの人たちが踊っていました。ゆっくりと、手を動かし、腰を揺らし、足を運び、空と海のあいだで静かに踊っていました。

 

 

「何をしているの?」羊が聞きました。

 

「見てる。」オルは言いました。

 

踊っている人たちは、誰かと競っているようには見えませんでした。前に出ようとしている人も、勝とうとしている人もいません。

 

でも、不思議でした。みんな光って見えました。

 

「どうしてだろう。誰も一番になろうとしていないのに。」

 

オルがそう言うと、羊は海を見ながら言いました。

 

「太陽みたい?」

 

🌺 オル #11「フラの太陽」、よろしければ続きを読んでみてくださいね。

 

 

オルと羊は、広場にいました。

 

風が吹くと、人々の顔が、ひとり、またひとりと仮面に見えてきます。

 

気がつくと、広場中が、何万枚もの仮面でいっぱいになっていました。

 

 

風がもう一度吹くと、仮面たちは一斉に空へ舞い上がり、巨大な渦になります。

 

「見えた?」
 

「うん。でも、何だったのかは分からない。」

 

 

🎭 オル #10「仮面」、よろしければ読んでみてくださいね。

 

 

 

*

 

今回、この物語が生まれるまでには、いくつかの段階がありました。

 

普段はあまりお見せしない、ひとつの物語が生まれるまでの道のりを、今回はたどれるようにしてみました。

 

 

🌍 ベルギーのバンシュという街のカーニバルに出会ったエッセイ。

 

  
 

🪞 仮面とAIをめぐる、思いがけず深い対話。

 


 

🎨 ジルの仮面をAIに描いてもらうための、何度もの試行錯誤。

 


 

📖 そしてチャッピーが書いた、物語の第一稿。

 

 

 

 

*
 

ご興味のある方は、さらに、「オル ~共創の庭~」の正面玄関から、それぞれの小道を歩いてみてください🌸

 

 

 

夕方の街を、オルは歩いていました。

 

歩道の片隅に、小さな机を出して座る、紫色の服の女性がいました。机の上には、大きな水晶玉。

 

「気になる?」

女性に聞かれ、オルはうなずきました。「何をしているのですか。」

 

「知りたかったら、しばらく隣に座ってみたら?」

 

オルは女性の隣に座りました。

 

 

しばらくすると、疲れた顔の男性がやってきました。

 

「最近ついてないんです。仕事もうまくいかないし、財布はなくすし、風邪もひくし……運が悪いんですよ。」

 

女性は静かに答えました。

「そうかもしれないねえ。」

 

否定されないことに驚く男性に、女性は続けます。

「でもね。運が悪いときって、運が悪いことばかり探しちゃうんだよ。」

 

男性は考え込みながら、帰っていきました。

 

その後も、占い師の女性のもとには、いろんな人がやってきます。そして、夕暮れの中、オルはひとつの問いを投げかけることになります。

 

🔮 オル #09「神さま」、よろしければ読んでみてくださいね。

 

 

 

 

実は、この物語に占い師を登場させた裏側について、もう一本記事を書きました。

 

挿絵のAIが最初に描いた占い師は、上品すぎる人でした。でも、街角に座る占い師は、本来「街のほこりをみんな吸い込んでも大丈夫なだけのタフさ」が必要な人なんです。

 

(元)占い師としての実体験から感じた、その違和感と、絵を描き直してもらいながらの試行錯誤を、🌿庭番日誌「街のほこりを吸ってきた占い師」に綴っています。

 

よろしければ、こちらもあわせて読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

🌿 初めての方へ

 

『オルのものがたり』は、「オル ~共創の庭~」という創作プロジェクトの中から生まれました。

言葉の種を拾い、
AIと対話し、
絵を描き、
ものがたりを紡ぐ。

 

そんな小さな庭の全体像は、こちらの正面玄関からご覧いただけます。

 

 

 

オルと羊は、町の小さな本屋にいました。

 

古い木の棚が並び、紙の匂いが満ちる店内。窓から午後の光が入っています。店の奥では、店主のおじいさんが本を読んでいました。

 

そのとき、扉が開きました。急いだ様子の男性が入ってきて、店主に尋ねます。

「人生が変わるような本はありませんか。」

 

おじいさんはしばらく考え、棚の間を歩き、一冊の本を持って戻ってきました。男性はその表紙を見て笑い、嬉しそうに帰っていきました。

 

しばらくして、また扉が開きました。今度は女性でした。棚をゆっくり見て、店主に尋ねます。

「ずっと手放せない本って、どんな本かしら。」

 

二人はしばらく、本について話していました。「何度も読み返したくなる本。」「悲しいときに開きたくなる本。」「うれしいときに開きたくなる本。」

 

やがて女性は、一冊の本を胸に抱いて帰っていきました。その顔は、誰かに再会した人のようでした。

 

静かになった本屋で、羊がつぶやきました。

「さっきの二人、違うものを探していたね。」

男の人は人生を変えたかった。女性は、人生のそばにいてくれるものを探していた。

 

店主のおじいさんが、ぽつりと言いました。

「本は不思議だよ。同じ本を読んでも、みんな違うものを見つける。だから面白い。」

 

オルはたくさんの本が並ぶ棚を見つめました。どの本も閉じているけれど、その中には、誰かの人生が入っている気がしました。

 

📚 オル #08「本」、よろしければ読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

🌿 初めての方へ

 

『オルのものがたり』は、「オル ~共創の庭~」という創作プロジェクトの中から生まれました。

言葉の種を拾い、
AIと対話し、
絵を描き、
ものがたりを紡ぐ。

 

そんな小さな庭の全体像は、こちらの正面玄関からご覧いただけます。

 

 

6月30日(火)08時58分、満月を迎えます。

 

今回の満月は、ストロベリームーン。一年の中でも、夜が短く月の高度が低いこの時期、満月がほんのりと色づいて見えることから、この呼び名がついています。いちごのような、やさしい色合いを思わせる満月です。

 

 


蟹座と山羊座が向き合う、満月

 

満月は、太陽と月が正反対の位置に立つ瞬間です。今回は、太陽が蟹座09度に、月が山羊座09度に位置しています。

 

蟹座と山羊座は、オポジション(対向)の関係にあるサイン。どちらも「守ること、育てること」への思いを持ちながら、その方向性はずいぶんと異なります。

 

蟹座が「身近な心や家族、感情のつながりを大切に育む」とするなら、山羊座は「社会という大きな枠組みの中で、積み重ねてきたものを形にしていく」サインです。

 

今回の満月は、その両方のエネルギーが一直線に向き合う、やさしくも奥深い満月です。

 

 


太陽側のサビアンシンボル「水の中の魚へと手を伸ばす小さな裸の少女」

 

蟹座09度のサビアンシンボルは、「水の中の魚へと手を伸ばす小さな裸の少女」という言葉です。

小さな少女が、水の中の魚をつかまえようと、無心に手を伸ばしているーーそんな情景が描かれています。

 

この満月の太陽側は、全体の景色を照らす役割を担っています。今回照らし出されているのは、「思考ではなく、感じることでわかろうとする」景色です。

 

魚のように掴みどころのない「心」というものを、頭で理解しようとするのではなく、ただ純粋に、感受性で受け取ろうとする姿。蟹座が本来持っている、言葉以前の叡智がここにあります。

 

そして、その少女が「裸」であることには、素のまま、むき出しの傷つきやすさで、他者と向き合う様子も重なっています(この度数のドデカテモリーは天秤座)。誰かの心に、無心に、まっすぐ手を伸ばしてみること。それが今、この満月が照らしている舞台です。

 

 


* 『サビアンアート占星術』の解説文は、こちらのnoteをご覧ください →《リンク》

 

 


月側のサビアンシンボル「ハープを運ぶ天使」

 

山羊座09度のサビアンシンボルは、「ハープを運ぶ天使」という言葉です。

 

天使が、やさしく透き通った音色を奏でるハープを運んでいるーーそんな情景が描かれています。

 

月側には「現象化する」エネルギーが宿っています。つまり、この天使がもたらす、おだやかで明るい音色が、今この瞬間、現実として引き出されてくる、ということです。

 

天使がハープを運ぶ先は、「今・ここという現実の環境」、そして「私たち一人一人の心の中」。環境との調和に耳を傾けるとき、そこには活き活きとした、純粋な生命力が満ちています(この度数のドデカテモリーは牡羊座)。

 

無心になる時間を持つこと。それが、この天使からの祝福を受け取るための、ひとつの鍵になりそうです。

 

 


* 『サビアンアート占星術』の解説文は、こちらのnoteをご覧ください →《リンク》

 

 


この満月のメッセージ

 

太陽の蟹座が「思考を超えて、心で感じ取る」景色を照らし出し、月の山羊座がそれを「環境との調和」として現象化する——今回の満月は、そんな流れが描かれています。

 

頭で考えるよりも、感じること。むき出しの素直な心で、誰かや何かに手を伸ばしてみること。そして、その先で、今・ここの環境とおだやかに調和していくこと。

 

ストロベリームーンのやさしい色合いのように、この満月はあなたの心にそっと寄り添ってくれそうです。

 

 


この満月に向いていること

 

頭で理解しようとせず、まず感じてみること。大切な人の心に、無心に寄り添ってみる時間を持ってみてください。

 

また、身の回りの環境ーー暮らしている場所や、日々関わっている人々との関係性に、あらためて耳を澄ませてみるのもおすすめです。「ここに居て、心地いいかな?」と問いかけてみること。

 

ぎくしゃくしたところには、天使はハープを運んでくれません。無心になる時間を、少しだけ作ってみてくださいね。

 

どうぞすてきな満月を、おむかえくださいね🍓

 

 


☆ 『サビアンアート占星術』

 

サビアンシンボルの解説文と、 色鉛筆ぬり絵のマンダラアートの、 『サビアンアート占星術』全13冊が、 Kindleより発売中です。

 

2014年から12年かけて書き溜めてきた言葉たちが、 ようやく一冊ずつ、本になりました。

今回の満月は、蟹座・山羊座のサイン。 それぞれの一冊を、ぜひ開いていただけたら嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

📚 今季洋のその他のKindle本は、《こちら》からどうぞ。

 

☆ アトリエえんどうまめのHPは、こちらです。

 

 

 

よく知らないのに、好き嫌いを決めていることって、ありませんか。

 

森を歩いていたオルは、頭の上を走るリスに出会いました。ふわふわのしっぽ、木の実をくわえて飛び移る姿。見ているだけで、なんだか嬉しくなりました。

 

しばらく歩くと、今度は足元の草の中に、細長い影。ヘビでした。

 

「なんだか怖い。」
オルは小さな声で言いました。

 

その日の夕方、川辺で休んでいると、木の上にはリス、川辺にはあのヘビがいました。二匹とも、同じ夕日を見ています。

 

「リスは好きで、ヘビはだめって、変かもしれない。」
オルは羊にそう言いました。

 

「だって、ぼくは、ヘビのことをほとんど知らない。知らないのに、決めていた。」

 

知るというのは、好きになることではないのかもしれない。同じになることでもない。ただ、相手にも相手の世界があることを知ること。それだけで、少し一緒に居られるようになる——。

 

🐿️🐍 オル #07「リスとヘビ」、よろしければ読んでみてくださいね。

 

 

 

 

🌿 初めての方へ

 

『オルのものがたり』は、「オル ~共創の庭~」という創作プロジェクトの中から生まれました。

 

言葉の種を拾い、
AIと対話し、
絵を描き、
ものがたりを紡ぐ。

 

そんな小さな庭の全体像は、こちらの正面玄関からご覧いただけます。

 

 

「見えているから、いるのかな」

 

丘の上でつぶやいたオルに、足元の羊が聞きました。

「じゃあ、風はいないの?」

 

 

風は見えません。でも、草が揺れ、髪がなびくと、そこにいることが分かります。

 

夢も、思い出も、まだ読んでいない本の中の物語も——きっと同じなのかもしれません。

 

見えないけれど、確かにあるもの。

丘の上で、オルと羊は、そんな不思議な問いを重ねていきました。

 

 

🐑 オル #06「あるようで無くて、無いようであるもの」、

よかったら読んでみてくださいね。

 

 

 

 

 

🌿 初めての方へ

 

『オルのものがたり』は、「オル ~共創の庭~」という創作プロジェクトの中から生まれました。

 

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