オルと羊は、広い荒野にいました。
目の前には、巨大なピラミッドがありました。とても大きくて、頂上は雲にかくれて見えません。
「これは何?」オルが聞きました。
「昔、誰かがすごく頑張って作ったものだよ。」羊が答えました。
風が吹くたび、ピラミッドの石が、ころり、ころりと落ちていきました。長い時間をかけて積み上げたものが、長い時間をかけて、少しずつ、元へ戻っていくようでした。
石が崩れて土になったところに、小さな緑が顔を出していました。雑草でした。
その雑草のカーペットの上で、女の子たちがままごとをしていました。葉っぱがお皿になり、花がごちそうになり、石ころがお金になっていました。

「どっちが本物だと思う?」
羊にそう聞かれて、オルは答えられませんでした。
大きなピラミッドと、雑草の上のままごと。どちらも、誰かが本気で作り上げた、大切な世界でした。
終わるものがある。でも、終わるだけではない。
何かが終わると、何かが始まる。草が生えるみたいに。
*
実はこの物語を書いているとき、ふと気づいたことがありました。
これは13番目のお話です。タロットカードの大アルカナで13番目にあたるのは「死神」。これは、恐いカードだと思われがちですが、実は「終わりと再生」という大切な意味があります。
このお話にあった「終わるものがある。でも、終わるだけではない」というテーマと、偶然にも重なっていました。
そしてこの気づきから、「オルのものがたり」全21話が、偶然にも、タロットの大アルカナと重なっていることに気が付きました。
そのあたりの詳しい話は、🌿庭番日誌「オルは、なぜ21話だったのだろう」に綴っています。よろしければ、あわせて読んでみてくださいね。