前回は、AIが出した結果を保存して、あとから検証できるようにした話を書きました。

AIの回答をその場で見るだけではなく、
観察対象があった日、見送った日、結果がどうだった日を、日ごとのログとして残す。

ここまで作ると、毎日の動きが少しずつ見えるようになってきました。

ただ、運用しているうちに、もうひとつ試したくなったことがあります。

同じ市況データを見ても、AIへの指示を少し変えたら、選ぶ銘柄は変わるのか。

人間でも、株を見るときの性格はかなり違います。

勢いがある銘柄を好む人。
リスクが高そうな銘柄を避ける人。
地合いが悪い日は無理しない人。
少し怖くても、とにかく候補を出して検証したい人。

同じランキングや市況を見ても、どこを重視するかで判断は変わります。

AIでも同じことができるのではないかと思いました。

そこで、ひとつのAI判断だけではなく、複数の見方を用意して比較することにしました。

最初は、標準的な判断をするものを基準にしました。
そこから、少し攻め寄りの見方、防御寄りの見方、慎重な見方を追加していきました。

大まかには、こんな役割です。

標準的に見るAI。
勢いやモメンタムを重視するAI。
下振れリスクを気にするAI。
かなり慎重に見るAI。
比較用として、候補がある日はできるだけ観察対象を出すAI。
価格の鮮度やランキングの重なりを重視するAI。

それぞれに違う役割を持たせて、同じ日のデータを見せます。

ここで大事なのは、同じ材料で比較することでした。

あるAIには朝のデータ、別のAIには昼のデータ、という形になってしまうと、結果の違いがAIの性格によるものなのか、入力データの違いによるものなのか分からなくなります。

なので、同じ日の同じ入力データを固定して、複数のAIに順番に見せるようにしました。

これでようやく、
「同じ市況を見て、攻め寄りのAIは観察対象を出したけれど、慎重なAIは見送った」
という比較ができます。

この仕組みを入れると、ログを見るのが少し面白くなりました。

全部のAIが同じように見送る日があります。
逆に、攻め寄りのAIだけが観察対象を出す日もあります。
標準的なAIは見送ったけれど、比較用のAIだけは候補を出す日もあります。
複数のAIが同じ銘柄を選ぶ日もあります。

単純に「当たった、外れた」だけを見るより、判断の分かれ方が見えるようになりました。

特に、見送りの違いはおもしろいです。

AIに毎日必ず何かを選ばせると、ログは増えます。
でも、それが本当に良い判断なのかは分かりません。

一方で、慎重すぎるAIは、ほとんど見送ってしまうかもしれません。
それはそれで、検証する回数が少なくなります。

攻めすぎても危ない。
慎重すぎても検証が進まない。

このバランスを見るために、複数のAIを並べる意味がありました。

また、比較用のAIも用意しました。

これは「一番優秀なAI」という意味ではありません。
候補がある日にできるだけ観察対象を出すことで、比較用のデータを増やすための枠です。

慎重なAIばかりだと、見送りの日が多くなって、検証材料が少なくなります。
そこで、あえて稼働しやすいAIを置いて、他のAIとの違いを見るようにしました。

ここは少し注意が必要です。

よく動くAIだから良い、というわけではありません。
観察対象をたくさん出せば、そのぶん勝つ日も負ける日も増えます。
逆に、慎重なAIは回数が少ないぶん、数字だけ見ると良く見えたり悪く見えたりします。

だから、単純な勝率だけでは比較しない方がいいと感じました。

見るべきなのは、勝率だけではありません。

どれくらいの日に観察対象を出したのか。
どれくらい見送ったのか。
負けたときの幅はどうだったのか。
同じ日に複数のAIが一致したのか。
特定の銘柄に偏っていないか。
データが足りない日に無理に動いていないか。

こういう観点を一緒に見る必要があります。

複数モデル比較を入れたことで、株シミュレーターはかなり「観察ツール」らしくなりました。

ひとつのAIの答えだけを見るのではなく、
同じ材料を、違う性格のAIたちがどう見るかを並べる。

それによって、AIの判断そのものを少し客観的に見られるようになりました。

もちろん、これも投資判断を自動化するためのものではありません。
あくまで、公開されている市況情報をもとにした個人の検証ログです。

それでも、複数の見方を並べることで、
「AIは何を重視していそうか」
「どんな日は慎重になるのか」
「勢い重視と防御重視でどれくらい差が出るのか」
が見えやすくなりました。

作っていて感じたのは、AIをひとつの答えとして見るより、
複数の視点として並べた方が学びが多い、ということです。

株シミュレーター作りの第5段階は、AIの性格を分けて、同じ市況データを複数の視点から比較する仕組み作りでした。

次回は、これを毎日動かすために、Cronで自動実行する運用へ進めた話を書いてみます。

※この記事は、個人開発している株価シミュレーターの作業記録です。
公開されている市況情報を、個人の検証用に整理している内容です。
特定の銘柄の売買を推奨・勧誘するものではありません。
実際の投資判断は、ご自身の責任でお願いします。