盗人さんが盗んだのは
三種のお札と宝物
無造作に開かれた扉
久しぶりに動いた棚
だらしない心が生んだ埃に
描かれた足跡は
お巡りさんには必要らしい
まるで僕の葬式みたいに
群がる人を俯瞰する
沢山撮られた写真には
主人公だけが映らない
投げつけられ割れた写真立ては
寂寞に拍車をかけるが
飾った場所を覚えていない
警察の方に話した
思い出したくない今日の記憶と
少ない人間関係で
面識のない人の犯行だと
すぐに判明するだろう
「必ず犯人を捕まえてみせます」
警察と盗人の戦いが始まる
こんなに扉が開いているのに
魂は盗まなかった
肉体は盗まなかった
死にたい心は盗まなかった
前の日と同じ様に天井を見つめる
盗人さんの情熱を盗んでみたかった
盗人さんの生き意地を盗んでみたかった
この街に戦争はない
この街に銃声は聴こえない
私たちは確かな平和の中に住む
後日、犯人は逮捕された
僕より楽しそうな顔をしているじゃないか!
誰にも平等に、無機質に流れる時間の中で
一つ増えた扉の鍵を閉めた

