立ち止まった悲しげな絵の前

心の形が強張りを見せる中

閉じた瞳の縁を伝う涙

静寂に鼓動の波が揺れる

 

踏切りの向こう側

電車が通り抜ける間に

少女が大人になった様な

淡い青が群青色に変わる

 

涙の理由を考えた事はあるかと

問われている気がする

時間軸を合わせ鏡で覗くと

永遠まで手が届きそうだ

 

それでも貴女の涙は私には拭えない

程よくくすんだ肌色の手は

反射する美術館の床と

四隅で働く監視カメラが映し出す

 

 前頭葉が勝手にあの絵を逆さにしたんだ

 よく見ると瞳がまるで口みたいに

 涙を吸っているではないか

 

部屋の中央 大きな彫刻が

目眩のせいで傾き出していた

その瞬間 私の描いたモナリザの似顔絵が

本物より少しだけ笑っている気がした