園児の崩れた積み木の音が
小学生の吹いたリコーダーの音が
中学生の落とした教科書の音が
高校生の弾いたギターの音が
私の声の様に聴こえた
その言霊は
病室の窓を抜け出し
近頃 やけに綺麗に見える星になった
か細くなった私の身体に
声帯の筋肉が物憂げに疼いている
声だけは過去に漂流し
記憶は現在に佇み
想いは未来へと発信し続ける
見舞いに来る度に
妻が挿す花瓶の花が
落とす花びらも声を枯らしている
僅かな寝返りに軋んだ骨の音
確かに私の身体が発した声だ
明日 妻が娘の家族と共に会いに来る
孫は話せるようになったかな
点滴が過去から未来へと流れ出す
名前をつけて飾ってあげられない鼓動に
最後に散る花びらが優しい声をあげる

