何処かで負けを知った孤独な光が
窓際に水玉模様を創る
静寂に揺れる鈴蘭は
地に花の顔を向けて咲き誇る
耳を澄ますと
「平和とは何か」と囁いている
記憶の笹舟が
時系列の河を漂い始める
小さな花びらを愛でる様な勝負を
歴史は好んで演じる事はしない
昨夜 私達がした諍いは
確かな哀しみを生んだが
月影を隠す程の闇ではない
遠い国で起こる戦争を想う
風に吹かれると
昂る淡い香りが心を攫い消える
強さの残る夕映えが
頬を茜色に染め上げてゆく
大きな葉に潜んで咲く鈴蘭は
謙虚さの傍をうろつく感情を知る
窓を開けると
間違って入った小さな虫が飛んだ
外に響き渡る
子供達の声
車の群れ
空には真っ白な飛行機が
明日の方角に向かって
雲間に吸い込まれた
鉢に水を与える
鈴蘭は今宵も地を見て咲く
純粋を守る為なのか
謙虚さを維持する為なのか
再び訪れる幸せを願って
光は月明かりに呑まれた

