またひとり 住人が去った

 

この街に吹く風は人の匂いを運んでいた

都会にも引けを取らない程の活気に満ち溢れていた

お祭りでは神輿が担がれ声を埋め尽くし

街灯の下で宴に酔い知れていた

 

自然に朽ちた廃屋は

怖いもの見たさの訪問場所となり

錆び行く橋の先は

開拓者が見た世界へと還ろうとしている

 

故郷の人々はこれを見て

何を想うのだろうか

涙するのだろうか

懐かしむのだろうか

静かに過ごす事を決めた私は

風に問いかけてみる

 

廃墟とは

人間の所業なのでしょうと

神社の大樹は街に語りかけていた