【昨日のビール】

ロング缶:3本

レギュラー缶:2本

芋焼酎ロック:4杯

 

【昨日の実績】

自転車:〇

筋トレ:×

お菓子断ち:〇

 

 

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初めてその方のブログを読んだのはいつ頃だったのだろうと思ったから調べてみた。


読み始めた当初で一番強く印象に残っている記事は、その方がどこかに車で出かけた帰り道、渋滞にハマってしまい、そこから裏道を通って抜け出す作戦を立案、実践してうまくいった内容を、ハラハラドキドキの文章にしたものだった。実際にはその記事の何週間か前からファンとなって読み始めていただろうと推測するのだが調べた結果、その記事は2022年11月5日の記事だという事が分かった。

 

なぜそこまで印象に残っているかというと、文章が面白かったというのは当たり前だが、思い切ってその記事にコメントを入れたのだが、返事が返ってこなかったという理由が大きいかもしれない。その記事には私を含め3人からのコメントが寄せられているのだが、見事に私のコメントにだけ返事がなかったのである。しかも私は一番最初にコメントを入れたにもかかわらずである。

 

しかし、そんなことなどすぐに忘れるほどその方の文章にのめり込んだ。その方が書く記事は毎回面白いので、いちファンとなって次の記事が出るのを楽しみにしていたのである。なぜそんなに惹きつけられたかというと、まずは大酒飲みだという事、それはそれはゆるぎないものである。年齢も近く、そしてデカ盛り好きであるという事も共通点である。その他、当時の私にとっては未経験分野であった自転車に乗られているという事が大きい。自転車に乗って結構遠くまで出かけて行っては、その土地で起きた面白おかしい記事が出てくるのが非常に楽しみだった。所々にプッと吹きだすような、さりげないギャグ的な要素がちりばめられており、私のツボは見事に突き抜かれていた。

 

いちファンとなって記事を読んでいると、もの凄いことに気が付いた。どうもお住まいが我が家の近くにありそうなのである。画像付きの記事をみていると、私の住む街の近くを通った時のものや、何度も利用したことのある駅で電車を降りたと言った内容の記事が散見された。PCやスマホの中で読むモノが身近なところで起きていたのである。

 

そうこうしているうちに私も自転車に目覚める。その方の記事でよく目にするサイクリングロードを走ったりするようになった。私が昨日通った道を、その方がその数十分前に通っていたというような記事を見ると、コーフンしてすぐにコメントでお知らせした。これはついぞ近い将来、突然その方と遭遇するのではないか?という期待が否が応でも膨れ上がった。

 

そして本題に入る。

 

2024年7月20日の土曜日。

前日は当たり前のように大酒を飲んだので二日酔いで目覚めた朝になる。しかしこの日は一大イベントと言える予定が入っていたので出発時間からすると相当な余裕を持って目覚めた。二日酔いなので腹は減っていない。というより、休日は夕飯という名の酒のアテしか食べないので朝食など、はなから摂る気はない。早い時間からソワソワしながら、ある所へ行く準備をしていた。50代半ばのお父さんが休日の朝、明らかにいつもと違う、ちょっと嬉しそうな雰囲気の行動をとっているのを目にした家族はさぞかし不審に思っただろう。

 

そんな家族の視線を横目に炎天下で焼け焦げたアスファルトの上を愛ロードバイクのジョニーくんに跨り、一人走り出した私なのであった。レッツゴー1匹!念願の目的を果たしに、今日こそやるぞ!吉幾三!

 

 

走り出したのは良いが、あまりにも暑すぎる。顎から滴り落ちる汗をぬぐいつつ、このままでは体力的にヤバそうだという事に気が付いた。コンビニに飛び込みコーラを手に入れて急ぎ流し込む。

 

 

一気飲みだけは誰にも負けられない。ウィーップ。

 

 

正々堂々とした酷暑、学生たちにとって夏休み初日の土曜日の空である。

 

 

先週も同じ時間に同じ道を通った。

 

 

今日はサイクリングが目的ではないぞ。

 

 

目的地へ到着。プールである。

 

この日、なんと冒頭に書いたブロガーさんとここで会う約束をしていた。どうやって約束したかというと、ブログのコメントでやり取りしたのだ。一度もお目にかかったことのない人とブログコメントのみのやり取りで会う。なんだか最近の犯罪傾向である、SNSで知り合ったもの同士が会って、そのまま重大事件や殺人事件に巻き込まれるケースとよく似ている。本当に大丈夫か?

 

その方と私は10時30分にこのプールを予約した。先週も同じようにして会う約束をしていたのだが事前の情報不足で同じ場所にいながら会うことができなかった。痛恨の極みである。なので今回はリベンジであり、絶対に失敗のできないミッションでもある。

 

私には策があった。私はその方がどのような乗り物に乗ってやって来るのかを知っていた。ブログで何度も見たことのある乗り物なので間違える訳のないもの、それは自転車である。時間より早めに行って、駐輪場付近の物陰に隠れ張り込む。標的の自転車に乗った人物を見つけたら、意表をつき、満面の笑みを浮かべてスキップで駆け寄り、ご挨拶をしようという魂胆である。ムフフ。

 

しかし出鼻をくじかれる。この日私は愛ロードバイクのジョニーくんに乗ってここまできた。しかし、そのジョニーくんにはスタンドがついていない。自立する術がないという事である。プールにはサイクルスタンドがあるにはあるのだが、すでに満車状態だった。クソーッ!

 

駐輪場で行ったり来たりを繰り返し、なんとか壁際に立てかけられるようなスペースを見つけて停めることができた。フーッ。あとはちょっとでも涼しく感じる日陰で待ち人がやって来るのを見張るだけだ。グヒヒ。

 

5分ほど待っただろうか。あまりの暑さに尋常じゃない量の汗が滝のように噴き出してくる。黒いTシャツに汗ジミが大きく広がり始めるのを見て決断した。作戦変更だ!とりあえずプールに入ってから探すことにしよう。このままだと私自身がトロけて無くなってしまうぞ。急ぎ受付に並ぶ行列に紛れ込んだ。

 

 

この日、私の外見情報は以下のように伝えていた。

 

・カーキ色のサーフパンツ

・口ひげを生やしている

・短すぎない短髪

・ペットボトルのお茶を持っている

・左足首にロッカーのカギを巻いている

 

プールへ入場し、更衣室で着替えながらその情報に狂いが出ないよう一つ一つ確かめながら着替えた。カーキ色のサーフパンツは間違えようがない。髪型、髭も同様だ。ちょっと手間だがロッカーのカギを左足首に巻いた。売店で綾鷹のペットボトルを購入したら準備は万端である。その方が現れるだろう50メートルプールの方へゆっくりと歩き始めた。

 

目的の方の情報は以下である。

 

・海パンは膝上までの黒色パンツ

・サファリハットをかぶっている

・緑色のバスタオル

・黒いサンダル

・日焼けしている

・スキンヘッドである

 

その情報を思い返したのだが、改めて考えると実際にこの情報だけで見つけられるのか不安になってきた。前回、会えなかった時と比べて増えた情報は海パンの形、ハットをかぶっている、サンダルを持っている、バスタオルの色、日焼けだ。一見、かなりの情報が増えたように見えるが、これが果たしてプールの中で泳いでいたとしたらどれくらいの条件とマッチするだろうか?まさかサファリハットをかぶって泳ぐわけがあるまい。もしかぶったまま泳いでいたら、間違いなく監視員に両脇を抱えられて、絶対に探し出すことのできないスタッフルームへ連れていかれることだろう。

 

サンダル、バスタオルも泳いでいる最中は判断材料にならない。海パンの形も水の中だと分からない。その形を判別するためにプールにいる人たち全員の下半身を凝視、あるいは潜水してターゲットをつけ回るような捜索活動をしていると、今度は私の方がスタッフルームに連れていかれてしまうではないか。ウーム。一人考えこみながら50メートルプールの方へ向かう。そしてそっと視線を50メートルプールの方へ向けた次の瞬間のことだった。

 

サファリハットをかぶり、履いているのは膝上までの黒色海パン、浅黒く日焼けした男性がサンダルを履いて100メートルほど前を歩いているではないか!おお!間違いない!あれに見えるはずっとお会いしたかったあの人。2年ほど前からフォロアーとなってブログを読み続けていたあの方ではないか!

 

自然と早足になる。視線の先にいるその方も、急ぎ足でプールサイドへ続く階段を登り終え、キョロキョロと周囲を見渡しているようだ。そして、くるっと進行方向を変えると、すぐさま空いていた日焼け台の上に荷物を置き、サファリハットを脱いでプールに入ろうという姿勢になった。い、いかん。急げ!最終確認として間近に近寄り、事前に入手した情報とそのターゲットの人とに差異がないか確認しておきたい。プールに入ってしまったら、確定情報の数が激減してしまうではないか。

 

急ぎ足でその方に近づく。もうドキドキだ。後ろから見るその姿は記憶している背格好とバッチリ一致する。歩を進めるとその姿が鮮明になってきた。サファリハットを脱いだその頭は綺麗に日に焼けたスキンヘッド。間違いない、ずっと会いたかったアノ人だ。そしてその方が振り返りざまに意を決して話しかけた。

 

「Lさん、始めまして。cornです!」

 

「おおー!やっと会えましたねー」

 

優しそうな柔らかい声でそう返してもらうと、自然と固い握手を交わした。

 

会えた。ついに会えたのだ!

 

「いやー、ついにお会いできました」

 

そう言って、とりあえずプールに入ることにした。肩まで水に浸かり、プールサイド際の一段高くなった部分に並んで腰かけ、まるで露天風呂にでも入っているかのような態勢で改めてご挨拶した。

 

Lさんとは初めてお会いするのだが、いろんなことをたくさん知っている。Lさんも同じだろう。非常に不思議で特異な状況である。ノーヒントで出身地、家族構成、趣味、乗っている自転車、好きな食べ物、好きな酒などすべて当てることができる。ちょっとしたストーカーだ。

 

過去のブログ記事の内容などを確かめ合うように、いろいろな話をした。そしてその話の全てに笑いのオチがつく。こんなことってあるのだろうか?いや、あるのである。目の前で起きている事実がそれなのだ。ブログの記事上という一種の仮想空間のような場でお会いしたブロガーさん、ブロ友、知り合い、知人、お友達、旧友のようになった憧れの方と2年ほどのお付き合いを経て、実際にお会いすることができた。住まいが近所であるという、もの凄い偶然もあり、そしてお互い気になるモノに共通点が多かったということもあった。おそらく自転車に乗ってすれ違うのが最初の出会いだろうと思っていたのだが、意外や意外、時間指定で裸の付き合いから始まったのである。

 

私は終始、内心コーフン状態だったのだが忘れてはいけないことを思い出した。おこがましいようだが連絡先の交換である。電話番号?メールアドレス?などと古臭い昭和チックなことを考えていたが、Lさんから一番自然なLINE交換の提案があった。ありがとうございます!今どき当たり前のことである。

 

バッチリと連絡先を交換し、その日の午後から用事があった私は一足先にプールを出ることにした。お別れの挨拶はLさんのお人柄がにじみ出るような、ご丁寧な挨拶をしていただいた。ブログの文章はそのまま人柄を表すものなのだな、などと改めて納得した。私も気を付けようと身を引き締めた場面でもあった。

 

 

帰り際の盗撮写真。Lさんの愛車とジョニーくんのコラボレーション。ついにというか、やっというか、念願の写真がコッソリ撮れた。


 

 

プールで冷やした体の熱が、あっという間に戻ってきた帰り道。自転車のペダルを漕ぎながら、なんとなく浮ついた気分になっている自分に気づいた。それは、私にとって憧れだった人と知り合えたヨロコビ、大袈裟だが、好きだった女の子とデートの約束をしたような、憧れだった有名人と知り合いになれたような、大袈裟ではなく、本当にそんな気分なのであった。

 

メシツブ、メシツブ。