【昨日のビール】
中グラス:8杯
【昨日の実績】
自転車:×
お菓子断ち:◯
昨日は職場の同僚と飲みに行った。この日、外部講師による研修を終日受けたので、その帰りに「一杯やりまっか」となったのだ。なのでトレーニングという名のダイエット手段である自転車には乗れなかったが、お菓子断ちは大成功である。そして私はこの日素晴らしい成長も見せたのだ。グヒヒ。そのことは、のちほど。
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週明けから腰痛に悩まされている私だが、この日は終日座学での研修だったので不安に包まれていた。朝の電車は一駅手前の駅で降りて歩くことにした。ここ数日、自転車に乗っておらず体を全く動かしていないので何となく焦りのような気持ちが心の中で渦巻いていたからである。
空はこれほど快晴という言葉が合う日はないだろうというくらいに晴れていた。雲もなく、乾いた空気で透き通っている。電車を降りて颯爽と歩きだした私は、10分ほど歩いて富士山が見えるポイントにやって来た。残念ながら霞がかかってぼんやりとしか見ることができなかった富士山だったが、久しぶりに体を動かし、少し汗ばんでくるくらいに体が温まると非常に気持ちが良くなった。
腰痛以外は、であるが、、、
調子に乗って歩いていると、だんだん右腰のあたりに鈍い痛みが蓄積されるような感覚が襲ってきた。スピードを落としてゆっくり歩いたが、その痛みが解消されることがなさそうなので、会社へ行く最短のコースに切り替えた。やれやれ。
車の少ない遊歩道を選んで歩き、会社まであと数十メートルになったあたりで横断歩道が現れた。私は歩みを一旦停止して左右の安全を確認しようとしたのだが、ピタッと立ち止まった瞬間、右腰にビリっと激痛が走った。その痛みで動きがとまった右足に力が入らなくなり、膝からガクッと崩れ落ちるような体制になってしまった。
いかん!
バランスを崩して、右ひざをアスファルトの地面に打ち付けてしまうスレスレのところで左足をグッと踏ん張り、かろうじて立ち上がることができた。一気に冷や汗が全身を走った感じだ。ウーム、まだまだこの腰痛は気が抜けない。辺りを見回すとサラリーマン風の男が数名、通学途中の学生男女も何人かいたが、幸い私の珍事に気づいている人はいないようであった。ホッと一息つくと、慎重に会社へと向かった。歩く、ということにこんなに気を付けたのは初めてかもしれない。
研修は9時半から開始であり、普段の始業時間より30分遅いので、その分ゆっくり行けばよいのだが満員電車が嫌いな私はいつもの出社と同じ早い時間に家を出て、いったん会社へ出社して、そこから研修会場に向かうことにしていた。徒歩30分くらいの場所だったので歩く気満々だったのだが、朝の膝カックン事件があったため躊躇することなくバスで向かうことに決めた。
出社すると、数名の研修参加者がデスクで仕事をしていたのでみんなでバスで行こうと誘っておいた。私はバスで行ったことが無いので連れて行ってもらう段取りを取ったのだ。すると、今回の研修を主催した人事の部長が私の方へやって来た。
「cornさん、私含めてみんなタクシーに乗って行きますか。荷物も持って行かなくてはいけないので」
ラッキーである。バス停までも歩かなくてよくなったのだ!日ごろのおこないが良い私に天からの素敵な贈り物だ。あ、ビールの神様からかな?
そんな思いがけない出来事があった朝だったのだが、長い研修は順調に終わった。途中で腰の鈍い痛みに襲われて何とも言えないつらい時間もやって来たが、ストレッチなどをしてごまかし、なんとか研修会場を後にする時間を迎えることができたのだ。お疲れ様。
仲の良い同僚数名と昼のうちから、研修が終わったら飲みに行く約束をしていたので、ソワソワしながらの研修終了となり、同僚三名が集合すると一目散に繁華街へと繰り出すのであった。ヒャッホイ!
昼間のうちから目星をつけていた店に全速力で向かった我々。入ったのは、無国籍料理といった感じのおしゃれな店だった。
この日、同僚の1名が本部長と話をつけて、懇親会という形にして経費で落とすことで合意していた。なんて素晴らしい人なのだ!尊敬に値する。なんなら神様かもしれない。権現様だ。ありがたや。私なんかはまだまだアマちゃん、見習わなくてはイケない。
時間はハッピーアワーの真っ最中だったので私は気色ばんだ。メニューを手に取り、上から下まで隅々に目を通した。何度も、何度も目を通した。
あれ?
おかしい、おかしいぞ!
おい!みんな!
この店は魔物にとりつかれているかもしれない!
よく見たら店内の内装もハリーポッターの映画に出てくるような感じではないか!
映画は見たことなどないが、、、
何がおかしいかって?
それは、おかしいというより違法、犯罪、しかも凶悪と言ったほうが良いだろう。
なんと、ハッピーアワーのドリンクメニューにビールが入っていないではないか。
何度見返しても、どこを見ても、あるのはハイボールやら焼酎やら、カクテルやらで、私にとって命の次に大切なビールのビの字もBの文字も何もないのである。
おい、こら。
不良だ。
不良店舗だ。
間違いない。
私は怒りに任せて、素早く椅子から立ち上がると、その店の中で一番気が弱そうな女性店員をつかまえて詰め寄った。
「おい!私たちを馬鹿にしているのか?私を誰だと思っている!エッ?cornだ!あのcornだぞ!アメブロ全体で55000位前後の酒飲みブロガー、corn様と知ってのこの仕打ちなのか?あ?ええい!頭が高い!控えおろー!」
と言った気持ちになって、こう伝えた。
「あ、生ビールふたつと、リンゴジュースひとつください。この店、オシャレですね!」
同僚のうち1名は筋金入りの下戸で、コップ一杯のビールを飲むと1分後にゲーゲーになってしまうので1杯はソフトドリンクにしたのだ。
ドーン。あー、来た来たコレコレ、プレミアムモルツ。どうせ会社の金で飲むのだ。ハッピーアワーなんて貧乏人の発想なんぞ、クソくらえだっ!
では行きましょう!
みなさま、今日も一日お疲れ様!
良いか?
会社の金で飲むのだぞ!
一番高くておいしいものをたくさん頼むのだ!
それっ!
乾杯ッ!
ングッ、ングッ、ングッ。
ブハーッ!
甘くて最強!プレミアムモルツ!
あ、すみません、生ビールもう一杯ください!
全部会社の金なんで!
お通しはナントカのマリネだった。旨し。
同僚が生ハムを頼んだ。高血圧ホルダーの私にとっては神にささげるイケニエに等しいご馳走の中のご馳走である。今朝がた、降圧剤を確実に飲んだことを思い返し、にっこりモグモグといただいた。しょっぱくて最強である。
ナントカのカルパッチョ?豪勢ではないか!どうせ会社の金なのだ。どんどんください!旨し。
私はこれを食べるために今日まで長い人生を生きてきたのだ。地鶏ハツの炭火焼き。ウッ、ウウッ、、、最強!
こちらは地鶏のハツモト。こちらも死ぬほど旨い。今日まで一生懸命生きてきたのに、死ぬほど、、、
鶏もも炭火焼。もう何も思い残すことはない。
あ、死ぬ前に生ビールもう一杯ください!
ナントカピザ。旨すぎる。今までありがとう。やっとここまでイタリアン。そして今後もイッタリーッ!
グラスが小さいのでどんどんとビールの杯数を重ね、秋の夜長は更けてゆく。気づけは23時を大きく回っているではないか。ここは会社の近くではない。研修会場の近くだ。我が家に帰宅するには路線乗り換えが1回入るので急いで帰らねば終電近くになること必須である。
では、これにてお開き!
仕事や職場の話でひとしきり盛り上がった我々は、会社の金でたらふく飲み食いして満足な一日を締めくくったのだ。良い会社、最強である。
飲んだ割には頭がしっかりしていた私は途中、電車で乗り過ごすこともなく、しっかり自宅最寄りの駅に降り立った。ここからはもちろん、自宅に帰ってから飲みなおす用にビールとその他イケないお菓子などを買いにコンビニに行くのである。
ショーケースに陳列されたラーメン、パスタ、塩焼きそばなどを目の前にニヤついている私だったのだが、そういえば今日の昼間もコンビニのラーメンを食べたことを思い出した。しかも最近は腰痛で運動も全くしていない。私は罪悪感に包まれるとともに思い切って心に誓った。
ヨシッ!今日は柿ピーだ!
。。。
一番搾りのロング缶と柿ピー1袋を手に取り会計を済ませると、痛む腰を押さえながらスキップで帰宅するのであった。
玄関を開けると中は静まり返っていた。時計は25時を回っているので当たり前である。大きな音が出ないように忍び足でシャワーを浴び、飲み直しのビールを飲もうと冷蔵庫をこっそりあけた。ウヒャヒャなのだ。
しかし、成長したcornはそこで思い直すのである。これから飲んだら寝るのは26時を過ぎる。明日は朝いちばんから外部の人と会議があることが気になっていたのだ。
ウーム、、、ここは大人しく我慢して、このビールと柿ピーは明日の華金に譲ることにするか、、、無国籍料理屋で旨い酒と肴を味わいながら、人生の終わりと始まりを悟った私は54歳にして、ついに飲み会から帰って自宅で飲みなおすということが我慢できるようになったのだ。
テッテレー♪
ヤルでないか、私。
普通なら、大人になって酒を飲み始めた20代ですぐに気づきそうな、こんなことを半世紀以上生き抜いてからやっと気づいた、遅咲きの大酒飲み中高年cornなのであった。
次回はどうなるか分からないがね、、、
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今宵は華金。
最高ではないか
今日は少しでも体を動かしてからビールを飲むと決めている。
なんてったって、昨日買ったのに我慢した一番搾りと柿ピーが待っているからね。
ビールをこよなく愛する皆さま。
ナニゴトも人生で遅いということはない。
初めて気づいた時が一番若い時なのである。
外に酒を飲みに行って、帰ってから飲みなおすことを我慢できるようになった中高年のオジサン
その翌日の華金に
今宵も
乾杯ッ!
なのである。
ムフフフフ。










