【12/14のビール】
ロング缶 : 2本
レギュラー缶 : 1本
芋焼酎お湯割り : 1杯
14日水曜日、平日だがロング缶ビール2本までのルールが守られていない。
レギュラー缶が1本多いではないか。
よかろうもん!
それくらい。
お使いを頼まれてスーパーに行ったのでつい魔が差したのだ。
これはしょうがない。
後悔も全くない!
珍しく私の晩酌の時間に娘が登場した。
妻と息子はそれぞれのタイミングで食べてしまっていたので娘と二人の食事となった。
ホッケを買ってきていたのだが、冷凍庫にずっと保存したままだった。
今日しかない!と思い立ち焼いてみた。
思いのほか身が少なかったのが、ちと残念だった。
しかしホッケは定期的に欲する肴。
味も塩が効いていて、なかなか旨かった。
我が家で最近はやりの冷凍食品塩からあげ。
これがなかなかうまい。
バターが効いていて、どこかしら炭火の香味が漂う。
子供たちにも大人気!
娘がパクパクと気持ちよく食べた。
娘のリクエスト、フライドポテト。
塩をきかせた。
「ごちそうさま」をした時、なぜか最後の一個だけ残していた。
キムチくん。
たまに会うね。
豆腐社長。
お席はこちらです。
今日も揃ったね。
週の真ん中水曜日。
いつもよりビール一本よけいに贅沢させてもらう。
グラスにトクトク、シュワシュワ。
この時点ではまだ膝は痛くない。
スッキリ晴れやかにビールの神様へ感謝の気持ちを述べる。
今宵もおいしいビールが呑めます。
感謝を込めて。
カンパイッ!
ブハーッ!
あぁーッ!マンモスおいピー!
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今夜は飲みに行くことになったのでこのブログは早朝に書いている。
ババっと書いて、仕事が終わったら速攻で盛り場へと繰り出すのだ!
私は今から約三年前の2020年3月に前の会社を辞めた。
いろいろな事情が重なり、思い切って転職を思い立ったからだ。
前職ではいろいろなプロジェクトに携わったが、最後のほうは社員の教育などバックオフィス的な業務が中心になった。
新卒入社、中途入社、既存社員などの教育を企画したり、実際に講義したりとガラにもなくエラソーな仕事をしていた。
講義と言ってもプロフェッショナルな内容などできるわけもなく、新入社員向け、主に中途採用された新入社員向けのものを担当した。
中途で採用される社員なので新卒と違い前職を持っている若者たちがやってくる。
そして私たちの業界を未経験で入社してくるのだ。
何を隠そう、私もそのようにして業界未経験でその会社に入った。
何にしても新しくチャレンジするということは未経験の分野になるので自然なことだ。
前職を持っていて、新しくこの業界に入ってくる人間には向き不向きがある。
講義をやっていて「あぁ、この子は長続きしない」「こいつは活躍する」といった傾向はなんとなくわかり、そして当たる。
私がもしも入社当時、私の講義を受けていて私が教える立場だったとしたら、長続きしないタイプに分類していたであろう。
歳をとってからこの業界に入ったので非常に苦労したし虐められた。
小僧たちに、、、
しかし最後はほとんどブッ飛ばしてやった。
あ、暴力ではなく存在としてである。
そのような教育をしていた中で、なんとなく気になる新入社員がいた。
歳は24歳、身長は私より少し高いくらいで175センチほど、中肉中背で眼鏡をかけている。
ギョロッとした目でちょっとだけ長めの髪をツンツンにセットしていた。
そして声がでかい。
ここではデカ声くんと呼ぶ。
前職はゲームセンターの店員をやっていたそうだ。
何より驚いたのがタイピングが猛烈に早いのだ。
入社教育中でPCを使うのだが、カタカタカタカタとほかの社員と比較して群を抜いていた。
タイピングの速度をはかるサイトがあったので試しにやらせてみたらそのサイトでもトップクラスだった。
そのような印象に残る若者、私とは20歳以上歳が離れていた。
入社教育期間が終わり、そいつがプロジェクトに入ってから数年は会わなかったのだが、ある日ひょっこりと私のフロアのデスク近くに戻ってきた。
業務で永続的に配属になったそうだ。
私とは部署が違うのだがデスクが近いのでよく話す仕事仲間になった。
どことなくぶっきら棒でとにかく声がでかい。
声がでかい人というのは周りをあまり気にしない人が多い。
私は話の内容を他の人に聞かれるのが嫌なので自然と小声で話すことになる。
デカ声くんは小声で話す私の声が聞こえないのか「エッ?」と大声で聞き返す。
そして、まして大きな声でしゃべりだすというデリカシーにかける性格をしていた。
そのことで注意をすると「そっすかー?スイマセン!」と大声で返すような奴だった。
会社のイベントで11月の休日に社員が集まりバーベキューなどをしていた時のことである。
なぜか、握力測定大会が会場の隅のほうで開かれていた。
握力測定をして強かった人に景品を出す企画をやっていたのだ。
私はそのようなものには興味がないので、仲の良い同僚たちとビールを飲みまくっていた。
おもしろおかしい話を仲間としていた時に、遠くのほうから聞こえてきた。
「corn!コノヤロー!」
な、なんだ?
私の名前を大声で叫ぶ奴がいる。
聞き覚えのある声。
デカ声くんだ。
私に用があるのか?
振り返って目を凝らしてみてみると、デカ声くんが握力測定大会に参加していて、測定器をぎゅっと握りしめるときに私の名前を叫んでいたのだ。
あの野郎。
20も歳の離れた小僧に呼び捨てにされて黙ってなどいられない。
私は握力測定会場に走り寄り、デカ声くんをつかまえるとすぐさま怒鳴りつけた。
「なんで俺の名前なんだよ!お前舐めてんのか?」
「あー、すみませーん」
デカ声くんは淡々と謝罪した。
表情は引きつっているが、感情のこもっていないような謝罪。
私も本気かウソかわからないような酔った勢いの怒鳴り方だったのでそのようなうやむやな感じでその場は終わった。
デカ声くんはそのようなぶっきら棒で淡々としたサイボーグのような存在の奴だった。
BBQイベントがあった翌年の3月に私は退職することにしていた。
3月といえばちょうどコロナが日本にも広がり始めて自粛ムードが盛り上がってきた頃だ。
出社の最終日。
3月の初めの頃で、残りは有給休暇で過ごすという夢のような生活が待っている。
私は次の職場へのチャレンジと有休消化期間に胸を躍らせ、ソワソワしながら出社最終日を迎えていた。
コロナ禍でもちろん私の送別会など開くような雰囲気ではなく、業務時間中に職場の仲間が集まってくれて花束などをいただくささやかなセレモニーで終わりとなった。
それでも仲の良かった仲間がこっそり飲もうということで仕事が終わると集まってくれた。
非常にうれしかった。
会社から少し離れた居酒屋で送別会を開いてくれることになったのだ。
10人ほど集まってくれただろうか。
送別会など人生の中で何度も味わえることではない。
みんなに感謝しながらビールで乾杯した。
長く勤めた会社だったので思い出話は尽きない。
送別会が始まって20分くらい過ぎた頃だったろうか。
会場に息を切らしてやってきた一人の男がいた。
デカ声くんだった。
「おぉ、なんだ来てくれたのか。ありがとう」
どこからかこの送別会の情報を聞きつけて、仕事が終わったら飛んできてくれたそうだ。
嬉しいではないか。
とりあえず、私の横に座らせた。
グラスを持たせてビールを注いてあげる。
「いろいろ世話になったね。ありがとう。」
私のお礼の言葉をきっかけにグラスを合わせてカンパイとなった。
二人ともゴクゴクと一気にグラスの中のビールを空にして一息ついた。
デカ声くんは神妙な面持ちでグラスをテーブルに置くと私に右手を差し出した。
握手の要求である。
ムムッ!
私も右手を差し出しその手を強く握りしめると、左手でデカ声くんの肩のあたりをポンポンとたたくとデカ声くんが喋り始めた。
「いろいろとお世話になり、本当にありがとうございました」
デカ声くんは私に対して最後の挨拶を、やはり大声でていねいに、そしてぶっきら棒にしてくれたのであった。
少し長めの話の最中、私は固く握りしめたデカ声くんの手を見ながら聞いていた。
たどたどしく、しかしよーく考えながら感謝の気持ちを述べてくれている。
嬉しいものである。
と、デカ声くんの右手を握りしめている私の手の甲に何か冷たいものが落ちてきた。
私はハッとして顔を上げる。
デカ声くんの顔を覗き見た。
彼は顔をクシャクシャにして涙をポロポロと流しながら声を詰まらせてしゃべっていたのだ。
私に会えて本当に良かった、お世話になった、いろいろなところで助けられた、本当は辞めてほしくない、寂しい、でも頑張ってほしい。
そのようなことを一生懸命考えながら言葉にして私に伝えてくれていたのだ。
私もつられて涙がポロポロとあふれ出した。
ありがとう。
私のことをそのように思ってくれていたなんて。
意外だったが、それ以上にこのぶっきら棒なデカ声くんが優しい感情をあらわにして話をしてくれることに感動した。
その日、送別会の別れ際にふたたび固い握手を交わし、またいつか会おうと約束した。
しかし、もうそれっきりで3年近く会っていない。
今は何をしているのだろうか。
会社を辞める時のよくある話だろう。
しかし私たちは違った。
今夜飲みに行くのはそのデカ声くんと当時の仲間たちなのだ。
非常に嬉しいに決まっている。
朝から浮き足立っているのだ。
今宵はその懐かしい顔に会いに行く。
再会を祝してカンパイなのだ。
旨い酒が待っている。
ビールをこよなく愛するみなさま。
本日、華金ですな。
思う存分ビールを浴びようではありませんか!
力強く。
再会に乾杯なのである。
ムフフフフ。






