30年前の感動をもう一度
30年前、初めてこの美術館を訪れたときのことを思い出します。
当時の私は、モネのことを全然知りませんでした。
それでも、この絵の前に立った瞬間、言葉を失い、ただただ感動に立ちすくんだのを今でも覚えています。
今回の旅では、美術館めぐりをする予定はありませんでした。
けれど、このオランジュリー美術館だけは別。
どうしても、もう一度足を運びたい場所でした。
変わってしまったもの
30年前の平日のオランジュリー美術館は、ひっそりとしていて観覧者もまばら。
あの頃は、絵の前でぼんやりと立ち尽くしていても誰に気をとがめられることもなく、
静かに余韻にひたることができました。
でも今は、沢山の人が写真を撮り、作品の前は常に賑やか。
あのときのように静かに感情を浸らせる空気は、もうそこにはありませんでした。
30年という月日
もうひとつ、心に残った“変わってしまったこと”。
あの時、一緒に感動を共有した仲良し3人組。
今は一人が欠け、二人だけになりました。
30年という月日は、景色や美術館の雰囲気だけでなく、
人の人生にも大きな変化をもたらすのだと、改めて感じさせられました。
それでも特別な場所
変わってしまったこともあれば、変わらずにそこにある絵の存在もあって。
その両方を思うとき、「やっぱりここは、私の好きな場所なんだ」と強く思いました。