JISスパナ レアな4社
スパナでJIS認証を取得した全25社の内、15社は既に廃業または事業転換しています。
そして、その15社中の4社は、JISを取得してから程なくして廃業しているため、見つかっているスパナが少くなく、ブランド毎の個別ブログを作るには至っていません。
そのため、新たに見つけた時に掲載する適切な場所が無く、困っていました。
今回、その4社全てでJIS取得以前の製品が見つかりましたので、これを機に4社合同の個別ページを作った次第です。
これまで複数のページに書き分けていましたが、それらを合体し、さらに掲載写真を増やすと共に、会社情報を徹底的に調べ直したうえで解説文章を全面的に書き直しています。
1.服部スパナ製作所/TORI
・スパナ/B4630の第1号としてJIS認証を取得。(1952年11月に7社同時)
・ロゴは服部の"TORI"。
・JISに登録している会社名は服部スパナ(株)ですが、実際は服部スパナ製作所。
・100年以上の前の1918年/大正7年に創業していて、戦前の1941年にスパナの広告を出していました。
・JIS認証取得前年の1951年まで社名は服部廣鐵工所。
・1967年スパナJIS認証会社リストに載っているのが最後の企業活動記録であることから、1970年前後に廃業したものと思います。
1-① 戦前
・刻印が薄く、『正体不明』として保管してあったのですが、ロゴ枠の中身をじっくり見ると"TORI"であることに気が付きました。
・"TORI"より服部スパナ製であるが分かります。(JIS認証モデルでも"TORI"を使用)
・スパナ形状や鍛造の粗さから戦前のモデルと推察されます。
・六角形風ロゴ枠の左側が丸くなっていて、中に"TORI"と刻印されています。![]()
・一方で、後述する戦前1941年のスパナ広告には同じ六角形風ロゴ枠の右側が丸くなって、中に"トリー"と表示されています。![]()
・カタカナとアルファベットの違いならびに枠形状の左右差はありますが、同じデザインコンセプトのロゴであることから、本品は広告が出されている1941年頃に生産されたものと推定します。
・残念ながらトリー/TORIの商標登録は見つけられておらず、商標登録から生産年代の推定は出来ていません。
1-② JIS取得前
・"TORI"刻印より服部スパナと分かります。
・刻印されているのは"TORI"だけであることから、JIS認証を取得する1952年よりも前の製品だろうと思います。
・また、かっちりした作りより戦後製と思います。
・したがい、1945年~1952年の生産と推定します。
・なお、鍛造の粗さを消すためか、表面全体が研磨されていて、非常に綺麗な仕上がりになっています。
1-③ JIS認証モデル

・”TORI"刻印と、JISマーク付き。
・服部スパナは1952年にJIS認証を取得します。
・JIS規格にN/普通型とH/強化型が設定されたのが1955年で、本品にはそのクラス分け表示がありませんので、1952年~1955年の生産と思います。
1-④ 三菱メイキ向けOEM with JIS 
・三菱メイキ向けエンジン整備用スパナ、JISマーク付き。
・製造者記号の"TORI"とJIS認証番号の"1979"が刻印されています。
・JIS認証取得は1952年で、その27年後に認証番号が西暦に追い付き、生産年と間違われるとは思ってはいなかったでしょう。
・この製品にもJISクラス分け表示がありませんので、上の1-③と同様に1952年~1955年の生産と分かります。
1-⑤ 三菱自動車向けOEM with JIS
・三菱自動車向けの車載スパナ。
・JIS-N/普通型を示す"N"が刻印されていますので、1955年以降の生産と分かります。
1-⑥ VICTOR/湯浅金物向けOEM JIS無し
・本品にはJISマークは無いものの、服部スパナのJIS認証番号である"1979"が刻印されていることから、服部スパナの製品と分かります。
・したがい、"H.S.M F"は"Hattori Spanner ManuFacturing"の略と思います。
・"VICTOR"は、湯浅金物(現・ユアサ商事)の登録商標ですので、販売元である湯浅金物向けのOEMだろうと思います。
・他社も含め認証番号の表示はJIS認証取得直後にしか行われていないことから、1952年またはその後数年間のモデルと思います。
☆JIS認証番号/1979の表示について
・JIS製品には製造者表示が義務付けられています。
・製造者表示として服部スパナの"TORI"が刻印されていますので、JIS認証番号 "1979"の表示は不要だと思っていました。
・JISを規定している工業標準化法に以下と定められています。
・『JISマーク、規格番号(B4630)、等級、許可番号(1979)、製造年、製造者を記載しなければならないが、記載事項の省略申請が認められれば省略できる』
・本品1-④の場合は、B4630と製造年が省略され、製造者記号の"TORI"と許可番号の"1979"が規則通りに記載されていることになります。
・したがい、規格番号/B4630と製造年については非表示の申請したのだと思います。(等級についてはまだ規格が未設定の時代なので、表示無し)
・最初にスパナ認証を同時取得した6社で見ると、昭和スパナとKTCは許可番号が表示された商品はありませんので、非表示を申請しているのでしょう。
↓工業標準化法施工規則 第65條(記載と省略)
☆スパナJIS認証取得…最初の7社(1952年11月10日に同時認可)
※JIS認証取り消し資料は見つかっていません。
☆自衛隊向け
・1959年『自衛隊年鑑』に工具納入実績企業として服部スパナが載っていますので、なんらかの工具が自衛隊に納入されていたことが分かります。
・服部スパナは主要製品がスパナですので、納入されたのはスパナでしょう。
★会社情報
1941年の広告より、戦前からトリー印(TORI)でスパナを作っていたこと、前身の会社名が『服部廣鐵工所』(服部廣は社長名)だったことが分かります。
さらに、1942年資料から創業が1918年/大正7年と分かります。
↓1941年『全国工場通覧』
↓1942年『名古屋工場要覧』
↓1943年『工業仕入案内』
・製作品目として『JF.S 両口.スパナ』と記載されていますが、"JF.S"とは何でしょうか?
戦後になり、1949年資料にて取扱製品が『輸出向スパナ』になっていますので、輸出向けスパナで商売を再開したのだろうと思います。
↓1949年『全国工場通覧』より
JIS認証を取得する前年の1951年にはまだ『服部廣鐵工所』だったことが残っている資料から分かりますので、1952年にJISを取得する直前に『服部スパナ製作所』に名称変更したものと思います。
2.東亜鍛工所/TOA

・服部スパナと同様に1952年11月に最初のスパナJISを取得した7社のひとつ。
・ロゴは、自社ブランドには
(鍛工所の"工")、OEMには"TOA"と推定、例外的にひとつだけ"TOATANKO"。
・終戦1年前の1944年2月創業。(工具会社としては珍しく石川県の会社)
・会社の存在が確認できる最後の資料が1966年であることから、1966年頃に廃業したものと思います。(詳細は東亜鍛工内の最後にて)
2-① JIS取得前、初代モデル
・東亜鍛工所のロゴ"◇工"だけが刻印されたスパナです。("工"は鐵工所から)
・東亜鍛工所の初代スパナだろうと思います。
・創業は終戦直前の1944年ですが、工具生産は終戦後でしょうから、本品は1945年~1952年の生産と推定します。
2-② JIS認証モデル-1

・東亜鍛工所の製造者記号
とJIS認証番号の"No.1980"より東亜鍛工所製と分かります。
・JISクラス分け(NまたはH)の表示がありませんので、服部スパナ1-③、④と同様に1952年~1955年の生産と思います。
2-③ JIS認証モデル-2

・JIS-N/普通型モデル。
・JIS-Nのクラス分け表示より1955年以降の生産と分かります。
・また、認証番号の"1980"も表示されていることから、生産は1955年以降の短い期間と思います。
2-④ JIS認証モデル-3、クロモリ鋼

・クロモリ製もあります。
・材質変更によりJIS-H/強化型になっています。
2-⑤ JIS認証モデル、変わったTOAロゴ
・"TOATANKO"とJISマークを平行四辺形▱で囲ったロゴの東亜鍛工所製です。(JISマークをロゴに組み込んでしまうのは初めて見ました)
・裏面の"1980"は東亜鍛工所のJIS認証番号であり、これが製造者記号になっています。
・なお、他社も含めてJIS認証番号を製造者記号として刻印するのは認証取得初期だけです。
・したがい、JIS-N/普通型のクラス分け表示がありますので、1955年またはその後数年間の生産と推定します。
2-⑥ ダイハツ向けOEM-1

・ダイハツ車載スパナのOEMです。(JISマーク付き)
・製造者記号としてJIS認証番号の"No.1980"表示があることから東亜鍛工製と分かります。
・手書き風ロゴはダイハツの初期に採用されていました。
・JISクラス分け表示が無いことから、1952年~1955年の生産と思います。
2-⑦ ダイハツ向けOEM-2

・同じくダイハツ車載スパナで、手書き風ロゴに楕円枠が追加されています。
・JIS-N/普通型のクラス分け表示があることから、1955年から1966年(廃業)までの生産と思います。
・JIS製造者記号としてOEM用の"TOA"が使用されています。
☆スパナJIS認証取得…1952年11月10日に7社同時認可
↑1954年『石川県商工要覧』より
※JIS認証取り消し資料は見つかっていません。
☆自衛隊向け
・服部スパナと同様に1959年『自衛隊年鑑』に工具納入実績企業として東亜鍛工所が載っていますので、なんらかの工具が自衛隊に納入されていたことが分かります。
・恐らくスパナを含む工具キット?
★広告
↑1956年『石川県商工要覧』
・確認できた一番古い広告です。
・残念ながらスパナ等の工具写真またはイラストが載っている広告は見つかっていません。
★会社情報
東亜鍛工所に関して基本情報は判明しているものの、文章による解説資料が見つかっておらず、細かなことは分かっていません。
(見つかっているのは会社概要、広告1件、JIS認証取得、自衛隊納入実績の資料だけ)
全く同名で、かつ同じ鍛造業で規模の大きな(株)東亜鍛工所が名古屋にあることから資料が豊富にあるように見えますが、工具の(株)東亜鍛工所に関する資料は少なくなっています。
工具の(株)東亜鍛工所と同名別会社は、以下の通り。
↑1966年『帝国銀行・会社要録』(両社共に)
・同時期に完全に同名で同じ鍛造の会社が名古屋にも存在していました。
・石川県会社が作業工具、名古屋会社が自動車鍛造部品を取り扱っていて、両社は全く別の会社です。
・なお、毎年発行されている『帝国銀行・会社要録』に1966年までは両社の資料が載っていますが、1967年からは名古屋の同名別会社だけになっていますので、1966年頃に工具の(株)東亜鍛工は廃業(または大幅事業縮小)したのだろうと思います。
3.杉本鍛工/FJP、Fuji.Peace
・杉本鍛工は、冨士機工のグループ会社で、富士ピース印
工具の製造部門。
・JISスパナ認証は、1963年9月17日に冨士ピース印工具の生産工場として杉本鍛工が取得。(冨士機工は"富"ではなく"冨")
・ロゴは、初期に"FUJI.PEACE"、JIS認証の前に
に変更。
・実は冨士ピース印スパナの生産にさらに4社の名前が登場していて、ややっこしくて話が長くなりますので、商品紹介の後、会社沿革の中で。
3-① JIS取得前 /FUJI.PEACE-1
・フラットパネルで"FUJI PEACE"が刻印されたJIS無しの代表的なモデルです。
・ロゴはJIS無しモデルは"FUJI PEACE"、JIS認証を取得する前に
に変わっています。
・冨士ピース印工具は、1954年から生産が開始され、1958年から杉本鍛工の生産に移行し、1965年にJIS認証を取得していますので、本品は1954年~1965年の生産になります。
・後述するように冨士ピース印工具は5社で生産されたと解説している資料もあり、このスパナが1954年~1965年のどの時期に生産されたかを示す表示が無いため、5社いずれかでの生産と言うことになります。
※5社…冨士機工、石原鍛工、富士熱錬製作所、杉本鍛工、富士工具製作所
・本品にはFUJIとPEACEの間に"."が無く、他は全て"."付きの"FUJI.PEACE"になっています。
・また、フラットパネルを3種入手した中で本品だけ裏面に製造記号"R0"が刻印されていますので、本品は後半モデルなのかもしれません。
・製造記号"R0"の"0"が生産年を示しているとすれば、1960年製と推測できます。
・裏面のインチ表示は、ボルト頭部サイズでは無く、ネジ径のサイズになっています。
3-② JIS取得前 /FUJI.PEACE-2
・"."付きの"FUJI.PEACE"で、刻印面が3-①とは異なります。
・ミリサイズ表示側が表面とすれば、ロゴは裏面刻印と言うことになります。
・また、製造記号がありませんので、初期モデルと思います。
・したがい、1954年~1958年の生産?
↑フラットパネル3種
・スパナ形状が微妙に異なります。
・上から横長卵形、丸形、丸に近い卵形。
3-③ JIS取得前 片口スパナ /FUJI.PEACE-3
・片口のフラットパネルもあります。
・ロゴ等の浮き出し刻印が機械彫りに見えること、ならびに作りがかっちりしていることの2点から、JIS取得前モデルの中では後期タイプなのだろうと思います。
3-④ JIS取得前 /FJP-1
・JIS取得の1958年よりも前にFUJI.PEACEから
に変更されたのだろうと思います。
・裏面の"STAMP"が珍しい表示です。
・"DROP FORGE"(落とし鍛造)では無く、エアー加圧などの機械鍛造なのだろうと思います。
3-⑤ JIS認証モデル /FJP-2

・JISマーク付きです。
・1965年(JIS認証取得)~1970年頃(推定廃業/後述)の生産になります。
・裏面に英国ウィットねじ径が刻印されています。(JIS規格に基づく表示)
・裏面の"STAMP"も継続しています。
3-⑥ JIS無し 片口スパナ /FJP-3
・3-④の片口スパナ版です。
・本品の寸法要件(24mmで全長220mm等)はJIS規格に合致していますが、JISマーク無しですので、1958年よりも前の生産と思います。
☆スパナJIS認証取得…1963年9月17日
※JIS認証取り消し資料は見つかっていません。
☆JISスパナ設定サイズ
↑1968年5月『日機連月報』内の『新しいJISねじが世界をつなぐ』より
★広告

↑1960年『機工取引便覧』
★会社沿革
冨士ピース印工具の生産工場として5社の名前が出てきますので、解釈が難しいところです。
・1949年/S24年4月…冨士機工を創業。
・1954年/S29年8月…富士ピース印工具生産のために鍛造工場を設置。
・(1)冨士機工内に工場設置と読み取れる資料と、協力工場として(2)石原鍛工と(3)富士熱錬製作所の別会社2社を設置との2種類の資料あり。
・1958年/S33年4月…富士機工の製造部門として富士ピース印工具生産のために(4)杉本鍛工を設立。
・同年同月に同じく富士ピース印工具生産のために(5)富士工具製作所を設立との資料もあり。
・杉本鍛工がスパナとソケットのJIS認証を取得していることから、JISスパナとソケットは杉本鍛工でしか作ることが出来ないため、スパナとソケット以外を富士工具製作所が生産?
・1965年5月~8月…スパナJIS認証を取得。
・1970年頃…廃業。(企業活動情報の最後が1970年であることからの推測)
★会社資料
上記の生産工場5社に関する部分に赤線を引いてあります。
↑1956年『立売堀新町振興会十年史』
↑1970年『産経会社年鑑』(冒頭掲載と同じ資料)
↑1963年『機械工具取引案内』
↑1962年『日本機械工業名鑑』
・両社の社長が同じであることと会社の規模より冨士機工が親会社であることが分かります。
★同名の別会社
"冨"ではなくて"富"の富士機工(株)が乱立していて(少なくとも5社)、判別が難しくなっていますが、"冨"は富士ピース印の冨士機工(株)1社だけのようです。
但し、富士ピース印は会社名と異なり"富"を使っていて、かつ会社名を"冨"ではなくて他社と同じ"富"を間違って使っているものもあり、資料を読んでいて混乱を極めます。
↓別会社、富士機工(株)の例
4.大内鉄工所/LONG
・ロゴは"LONG"。
・創業は戦前の1941年。(陸軍向けに発動機用工具を生産)
・終戦後、速やかに一般販売向けに作業工具の生産を始めています。
・1965年(5月から8月の間)にJIS認証を取得。
・1968年4月から1969年3月の間にJIS認証を取り消していて、この時期以降の会社活動情報が無いことから、1969年頃に廃業したものと推察しています。
4-① JIS取得前 /フラットパネル
・"LONG"刻印より大内鐵工所製と分かります。
・他社例を見るとフラットパネルを最初に発売しているところが多いことから、本品も大内鉄工所/LONGの最初のモデルだろうと思います。
・"LONG"の商標登録を1951年に出願していますので、1950年頃には"LONG"ロゴを使い始めていたと推察します。
・したがい、本品の生産は1950年頃~1965年(JIS認証取得)と思います。
・スパナ形状が大きく横長の卵形なのが特徴になっています。
4-② JIS取得前 /凹帯パネル
・凹帯パネルをオークション等で比較的良く見かけますので、LONGで一番ポピュラーなスパナです。
・JISマークがありませんので、上の4-①と同様に1950年頃~1965年の生産と思います。
・1963年の広告を拡大すると、この凹帯パネルLONGが写っていますので、少なくとも1963年には販売されていたことが分かります。
・さらに、1959年『日本機械工業年鑑』に載っている広告も凹帯パネルのように見えますので、本品なのだろうと思います。
4-③ ISEKI向けOEM /JIS無し
・井関農機へOEM供給。
4-④ JIS認証モデル
JISモデルは見つかっていません。
JIS認証を取得してから3年ほどで認証を取り消していて、JISモデルを生産する期間が短く、市場に出回っていないと推察しています。
かつ、JIS認証取得前に倒産の可能性もあったことから、経営状態が不安定で、JISモデルをほとんど生産していなかった可能性もあります。
4-⑤ "LONGLOY"は大内鉄工所?
・"LONGLOY"というスパナを見つけました。
・"LONG"と言えば、大内鉄工所しかありませんが、MITO/水戸工機の"MITOLOY"を真似てネーミングしたのかな?
【参考】KTC/LONG

・"LONG"はこんなところにも登場。
・HONDA2輪向け車載スパナで、KTCの刻印も。
・KTCロゴが他には無いデザインで、かつLONGは大内鉄工所を示しているのか単に長いLONGなのか良く分からず、正体不明な逸品です。
☆JIS認証取得…1965年5月10日から同8月14日の間
☆JIS認証取り消し(=廃業)…1968年4月1日から1969年3月31日の間
☆商標登録
・出願日…1951年/S26年2月7日
・登録日…1952年/S27年3月6日
・登録番号…409309
※今回の4社の中では唯一商標登録が確認できています。(実は後述する裁判記録から)
★経営状況
LONG商標権を譲渡しようとし、そのトラブルに関する裁判記録の中で1963年に倒産の危機にあったと記されています。
このことより、その後1965年にJIS認証を取得しながらも、経営は順調では無く、1969年頃の廃業につながったものと推察しています。
1963年の商標権譲渡判例 ⇒ こちら(閲覧には国会図書館ID要)
★広告
↓1959年『日本機械工業名鑑』
↓1963年『機械工具取引案内』
★会社資料
↓1962年『大阪府工場要覧』
↓1961年『日本の自動車工業』
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★JISスパナ25社を探し当てるまで
当ブログを書く"目的"は、ハンドツールに関して、時の中に埋もれている『誰が、何を、いつ、どのように』の情報を拾い出し、そして記録として残すことです。
例えば、今回解説しているスパナでJISを取得した25社に関して、全貌が分かる資料はどこにもありませんでした。
今はインターネットで何でも情報が得られる時代ですが、インターネットが普及した1990年代後半以降に過去をまとめた資料を誰かがインターネットにアップしていない限り、それ以前のことは検索をしても何の情報も出てきません。
JIS認証取得に関しては現存する工具メーカー10社の情報がヒットするだけで、廃業している残り15社についてはインターネットの中にはわずかな情報しかありません。
40年よりも前のことになると当時のことを知っている人は大半が引退していて、さらに記録も残っていないことがほとんどだと思います。
つまり、40年前に情報の壁が立ちはだかっています。(これまで何度この壁に跳ね返されたことか)
JIS規格制定と初期の認証実務を担当した"通産省/現・経産省"、ならびに規格と認証結果を管理していた"JIS/日本規格協会"、さらに規格制定時に深く関わった"全国作業工具工業組合"などに直接確認しましたが、認証メーカーの記録はいずれも『残っていない』との回答でした。
調査過程で、何社かの社長殿と電話で直接話をすることが出来、過去の貴重な経験談等をお聞きしましたが、『他社の情報については分からない』とのことでした。
JISを何社が取得したのかを最後まで調べるのに丸2年掛かりました。
そして、その調べた結果を残さなければ、未来永劫きっと誰も分からないままになってしまうと思ったのです。
したがい、100年前まで遡って個々の工具メーカーの情報を追い掛けていて、当ブログにその調査結果を記録として残し続けている次第です。
調査に苦労していた過程は、例えばこちら。
なお、今は『戦前スパナ』や『JISスパナ』などとインターネットで検索すれば、私のブログがいくつもヒットします。
スパナJIS取得25社については、日本規格協会の"月報"と"JIS表示許可工場名簿"が国会図書館に所蔵されていて、2022年5月にデジタル一般公開されたことで、やっと1社1社の認証情報を調べることが出来るようになり、判明した次第です。
なお、"JIS表示許可工場名簿"は、1962年~2001年の間に何回か発行されていますが、1952年からの最初の10年間が無く、また認証取得してから次の名簿発行前に返上してしまい名簿に登場しないメーカーもあり、全貌は"月報"に頼るしかありません。
この"月報"と"JIS表示許可工場名簿"を同協会自身は保存しておらず、聞き取り時に話も出ませんでしたので、当初は存在すら分からず、たどり着けなかった情報でした。
なお、"月報"全600冊(50年x12ヶ月/1950年~2000年)の確認は気が遠くなるような作業でした。
しかしながら、2022年末に検索方法が一新され、探り出すのがだいぶ簡単に出来るようになっています。
この回、終わり



















































